●Oh Susannah というと、中年以上の世代なら、小中学校で聞かされたはずの有名な「オー、スザンナ」(スティーブン・フォスター作)を思い浮かべると思うのですが、ニール・ヤング・サイト Thrasher's Wheat のブログ Neil Young News にAmericana のライナー解説を引用する形で、Oh Susannah という曲についての興味深い記事が出てました(と思ったら、その部分はなぜかもう消えてる。先走って怒られたか)。
それによると、1848年に初演されたスティーブン・フォスターの曲 Oh Susannah には、
(1) 1963年にティム・ローズという人が新たなメロディーを付けて改作し、The Big Three というグループが演奏したもの
(2) 1964年にティム・ローズ自身によって彼のグループ Tim Rose and the thorns のために再度改作したもの(有名なショッキング・ブルーのヒット曲「ヴィーナス」の元ネタ)
●1曲目がOh Susannah、2曲目がClementineで、9曲目にはThis Land Is Your Landも。アルバムタイトル通りもろアメリカーナで、Tom Dooley、Gallows Pole、High Flyin’ Bird、Wayfarin’ Strangerといった非ロックのアメリカ古典曲がずらり。あげくはお子様ソングのShe’ll Be Comin ’Round The Mountainまで。
Rolling Stone誌の記事によると、ニール自身、「誰もが幼稚園時代から知ってる曲のクレイジーホース版だよ。今は俺たちの物だ」というコメントをしてます。「これらの曲を結びつけているのは、今は存在しないアメリカを表してるということ」、「曲の背後にある感情や舞台は、今、この国で起きてることとも同じように共鳴する」というのがニールの言葉ですが、ニールとホースがどんな風にやってるのか興味津々。
1 Oh Susannah
2 Clementine
3 Tom Dooley
4 Gallows Pole
5 Get A Job
6 Travel On
7 High Flyin’ Bird
8 She’ll Be Comin ’Round The Mountain
9 This Land Is Your Land
10 Wayfarin’ Stranger
11 God Save The Queen
●音楽だけ聴ければいい、コンサート・フィルム以外はつまらないというような人は見ても無駄だと思いますけど、プロダクションにABC放送の報道記者だったMike Cerreが関わってることもあり、構成は緻密。ロック・ミュージシャンの政治活動にありがちな自分たちの立場だけまくしたてて終わりになっていない、一級のドキュメンタリーだと思います。ところどころに流れる Living with War のピアノ・ヴァージョンが心に染みます。
ヴェダーの声は圧倒的で、男が聴いてもほれぼれするような声。初日はニールの Don't Cry No Tears から歌い始めて途中でストップ。何か喋った後にビートルズの「悲しみをぶっ飛ばせ」。それから、Don't Cry No Tearsをちゃんとやり直し。2日目の Don't Cry No Tears はニールとのデュエット。2日目は好きな Last Kiss も聴けたし。参りました。最新作のウクレレ・ソロのCDも良かったし、パール・ジャムはサウンドがヘビー過ぎてあまり熱心な聴き手ではないのですが、彼のソロはお気に入りです。
●ニールの登場は、最初の挨拶代わりのような短いセットと最後のセット。歌ったのは、I Am a Child、Comes a Time、Sugar Mountain、Long May You Run、Heart of Gold といった黄金の旧作ばかり。アコースティックギターとハーモニカだけで淡々と歌ってましたが、印象的だったのは、ステージ後方に座っているブリッジ・スクールの生徒達の方を向いて歌う時間が長かったこと。このハイライト動画の最後の方でその様子がわかります。
●ニールは最初とトリどちらのセットでも Get Together を歌いました。Love and Peace 時代のアンセムだったこの曲を、オープニングのセットでペギとデュエットで、トリのセットでも出演者総出のラスト曲としても演奏。後者は、Come On, People now/Smile on your brother/Everybody get together/Try to love one another right now なんてベタな歌詞と相まって、まるで60年代のフォーク・フェスティバルの光景のよう。
そりゃ、全7時間、8時間の長丁場。ニールの2ndセットが始まるのは夜中の12時過ぎ、10時過ぎですから仕方もなし。でも、Long May You Run にこちらがジーンとしてる時に、身支度してすたこら帰って行く客には正直面くらいました。こっちにしてみれば、「ニール抜きにブリッジはないだろ」ですから。
●Harvest Moon リリース前に行われた92年のソロ・ツアー音源は、オレゴン公演(1月23日)の Such A Woman がストリングスのオーバーダブが施されて Harvest Moon に収録されましたが、本盤の収録データは不明。クレジットもなし。
ブートは、TSPから出た Silver and Gold というタイトルの極上オーディエンス・ソース(3月22日フィラデルフィア公演)が定番でしょうか(左)。といってもブートはこれしか持ってません。
●いまさら10曲だけかよ、と思いながら Dreamin' Man Live '92 を聴き始めましたが、さすがオフィシャル。ニールの細かな息づかい、デリケートな発声までわかる生々しさ。いくら極上でも所詮はPAから出た音を拾ってるオーディエンス・ソースではこうはいきません。
92年ソロツアー音源なら Long May You Run で始まって欲しいですけど、聴けるだけありがたや。拍手や歓声は抑えめに収録。
●胸を締め付けるような Such a Woman の素晴らしさ。私的には、甘ったるく厚化粧された Harvest Moon ヴァージョンより遙かにこちらの方を好みます。
昔の Birds、最近だと It's a Dreamでも聴けるような、独特の終末感を漂わせた彼のラブソングはあまりの美しさに泣けてきます。Living With War のようなアルバムを作れる一方で、なんでこんなに哀しい歌を歌えるんでしょう、この人は。
●以前から気になっていたニール・ヤングのライブ記録本、Ghosts On The Road: Neil Young In Concert 1961-2006 です。2006年までのデータが補充された第2版。
今月中頃、やたらデカイ Royal Mail 便が届き、一瞬「いったい何を買ったんだと?」と思いきやこれでした(届いたブツが何か瞬時に分からんようになったら終わりです・・・)。
CDサイズと比べても分かると思いますが、現物はかなりサイズが大きいです。B5サイズのラップトップPCより一回り大きく、重さもPCより重いです。ちなみに1996年に出た第1版のカバーはこんな感じでした。
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