●2009年の10月29日、30日の2日間、マディソン・スクエア・ガーデンで行われたロックン・ロール・ホール・オブ・フェイム創立25周年記念コンサートのブルーレイ・ディスク2枚組。DVDより1ヶ月ほど遅れてようやく発売。
25th Anniv Rock & Roll Hall Fame Concert [Blu-ray]
ブルーレイの画質、音質は素晴らしいです。特に画質。音は DTS-HD の2chと5.1chの2種収録。
●WOWOWで2時間10分の短縮バージョンが何度か放送されましたが、こちらは数曲のみカットされた長尺版で、総収録時間は5時間20分!
ただし、100%の完全収録ではなく、さらに、曲によってはボーナス扱いにされて本編の流れからは外されてるものもあり。例えばS.ワンダーは11曲やったうち、本編収録6曲、ボーナス3曲みたいな感じ。また、実際のコンサートでの登場順とも違います。
●カットされた曲では、
ダーリン・ラブ/スプリングスティーンの Da Doo Ron Ron
J.フォガティ/スプリングスティーンの Proud Mary
A.フランクリン/L.クラビッツとの Think
なんてあたり、激しく聴いてみたかったんですが収録されなかった理由は何でしょう。Youtubeあたりにあるのかしらん。
●まず仰天したのがスティーヴィー・ワンダーのセット。
ジェフ・ベックとの「迷信」もちろんですが、スモーキー、BB、スティング(意外な組み合わせなのにまったく違和感なし)と次々出てくるわ。Michael Jackson! と言って歌い始める The Way You Make Me Feel の途中で感情が昂ぶって歌えなくなったり。Once in a Life Time でよく声出てること。
ジェフ・ベックは胆石手術で出演をキャンセルしたクラプトンの代役だったわけですが、スティーヴィーとの「迷信」や単独セットでの素晴らしいパフォーマンスを見せられると、(不謹慎ながら)ECでなくベックでよかったじゃないと思わずに居られませぬ。ECが出てたらどんなセット、共演があり得たのでしょう。
●これだけでもお腹一杯なのに、さらに怒濤のU2セット、スプリングスティーン・セットが・・・
きりないので一曲だけ触れると、ボスのセットにレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが加わって演奏された The Ghost of Tom Joad のヘビー・ヴァージョン。
ボスは、ロックのルーツとして振り返るべき人たちとして、H.ウィリアムス、ディラン、P.シガー、ガスリー、レッドベリーや彼らが歌ってきた世界、「今日ここに来れない人達」について語った後、この曲をやるわけですが、聴きながら、一見違和感あるようなモレロのアクロバチックなギターですら全部包み込んじゃうようなアメリカ大衆音楽の巨大な伝統というか、そんな世界を感じましたですよ私は。
●もちろん往年の力を欠いてる出演者もいるわけで。両日とも冒頭に登場したJ.L.ルイス(現役というにはちょっと辛い)やA,フランクリン(でも十分現役、立派です)とか。出演していただいたことを素直に喜びます。
●出ていない超重要人物は多数。すでに故人はともかく、ディランは?、ビートルズは?、西海岸方面はCSNだけ?、スタックスは?、HR代表がメタリカ?、アメリカのイベントだけど英国勢少なくない?、とか言い出したらキリがないですけど。歴史を全部網羅するなんて無理だし、そもそも「出ろ」と言われても出ない人もいるでしょう。
●全収録曲は発売元のこちらで(DVD編ですが)。
両日の完全セットリストは、この辺にあり(初日、2日目)。
●司会はトム・ハンクス。クリエイティブ・アドバイザーとして、ロビー・ロバートソン、キャメロン・クロウ、ロブ・ライト。前2者は説明不要でしょうが、最後の人は誰かと思ったら、ただの(失礼)大手エージェントの偉い人。
●全部見たらお腹いっぱい。というか空前絶後。この種のショーでは97年の「モンセラト島救済コンサート」でのP.マッカートニーのセットが唖然とするようなセットでしたが、それが出演者を変えながら何回も押し寄せてくる。
出演者の多くが60年代、70年代という「ロックンロール」の黄金時代をくぐり抜けてきた人達だからこそ可能だったのは間違いないでしょう。仮に50周年記念があるとして、どれだけのことが可能なのか考えるとちょっと複雑。
●2夜をルポ形式で解説したローリング・ストーン誌のミニチュアみたいな冊子付。
音だけでも聴いてたいので4枚組のCDも買おうかな。
25th Anniversary Rock & Roll Hall of Fame Concert
●とにかく、すごい。
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