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カテゴリー「JAZZ」の15件の記事

2012.12.24

マイルス・デイヴィスのロスト・クインテット期のライブ音源、 Live In Europe 1969 が公式リリース

●マイルス・デイヴィスのブートレッグ・シリーズの第2弾が1月29日に出ます。1969年のライブ音源。タイトルは Miles Davis Quintet: Live In Europe 1969、公式サイトの情報はこちらに。

Miles Davis Quintet: Live in Europe 1969 [Box set, Import, from US]
Miles Davis Quintet: Live in Europe 1969 [Box set, Import, from US]

 69年物としては、去年の2月にBitches Brew Liveのタイトルで出た、7月5日のニューポートでのライブ音源以来。というかリリースが69年の音源に偏っていませんか。自分は好きだから良いですけど。

●内訳は、なぜか7月25日公演が日本盤だけ出ていたフランス、アンティーブ・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏が26日公演も含めて2日分、11月5日のストックホルム公演。それからベルリン・フィルハーモニーでの11月7日の映像で3CD+1DVDと、ロスト・クインテット期の音源と映像。

 すべてブートでしゃぶりつくされてきたものですが、遅いというかとろいというか。Kind of Blue のリマスターを何回も繰り返してる暇があったらこういうものをとっとと出せば良いのにと思いますけど。マイルスが亡くなってから何年経ってるんだか。その辺のブート屋さんの店主を企画担当にでも据えた方が筋の通ったリリース企画を考えてくれるのではないですか。

 ちなみに、11月4日のコペンハーゲン公演もアナログで変則的にリリースされましたが、さすがに普通の人?には買えません。

●自分は電化マイルス期(実際は一部のみ電化)ではロスト・クインテット期が一番好きだし、アンティーブ2日目のブートは持ってないのでとりあえず楽しみということにしておきます。もうブートに散在しなくて済む仕上がりになるといいですね。

2011.02.15

マイルス・デイヴィスの Bitches Brew Live (Sony Legacy)

●Sony Legacy から先週発売されたエレクトリック期のマイルス・デイヴィスのライブ盤。

Bitches Brew Live
Bitches Brew Live

●収録されているのは、一つが1969年7月5日、ニューポート・ジャズ・フェスティバル出演時のライブ。もう一つが、1年以上飛んで、翌1970年8月29日、ワイト島での有名すぎるライブ。どうしてこの2つが合わさって Bitches Brew Live なのかよくわかりませんが。
(ちなみに、かの Bitches Brew は69年8月中旬の録音)

Md_bbl_rear_3●ワイト島の演奏はDVDで見れた他、2009年に出たコロンビア・ボックス(70枚組)のオマケに付いてましたが私は後者は買ってません。本盤のブックレットの表裏を逆にすると左写真のようなワイト島仕様になります(なんだかなぁ・・・)。

●興味は初出の69年ニューポートでの演奏になるわけですが、当日出演予定のウェイン・ショーターが出演時間に遅刻するという間抜けな事情により、ロスト・クインテットからウェインの抜けたマイルスのワンホーンによるカルテット編成。

 24分程しか入ってませんがこれが当日のすべてだそうです。フェイド・インで始まりますが音は悪くなく、公式発売されてる約3週間後のアンティーブ(フランス)でのライブよりもステレオ感があり聴きやすいです。

●ショーターが抜けて4人になっても、ロスト・クインテット期特有の異常なテンションの高さは変わりがないし、ワン・ホーンだからといってマイルスのブローイング度が特に高いという印象もありません(5人揃ったアンティーブでも吹きまくってるし)。

 むしろ、アンティーブでは、ホランドのベースの自由度がかなり高まっているのに比べ、ベースがまだ大人しいという印象。その分、アンティーブの演奏で聴けるような「5つ巴」的な緊張感は薄いというか。それは、ホーンが1人いないという理由だけではないのではないかと。

 ま、もうちょっと聴き比べてみます。それにしても、凄いグループです。私的にはマイルスの全キャリア中、最強。

●面倒くさいのでワイト島は省略。タイトルはちょっとあれですが、いいもの出してくれました。
「銀盤クローズアップ」さんの情報によると、箱のおまけディスクより音質がかなりアップしてるそうです。

 なお、69年のマイルスについては、中山康樹氏の「マイルスの夏、1969」という本が出てます。
 いつもの中山節ですが、あまり脱線しておらず、関係者の証言等、資料を使いながら、69年のマイルスをクロノジカルに検証していて読み応えがあります。

マイルスの夏、1969 (扶桑社新書)
マイルスの夏、1969 (扶桑社新書)


2010.07.10

ウェザー・リポートのDVD、Live In Germany 1971 を見る

 ちょっと書き込みが中断しましたが、多忙で、ほぼ精神がシャットダウンしておりました。いただいたコメントはしっかり読ませていただいてます。お返事せずにすみませんです。m(__)m

 再開。

●旧西ドイツの音楽番組 Beat Clubのために収録された1971年のスタジオ・ライブのDVD化です。

Wr71germany 黄色い看板のショップの店内で流れてるのを見つけたときは、どうせブートまがいの半端物だろと思ったのですが、小さなモニター上で見る画質が良く、安かったので買ってみました。

 家で再生してみても71年のビデオ映像としては極上。モノラルですが音も良いです。今までブートで見れたものかどうかは知りません。

●ウェザーリポートのステージ映像がまとめて見れる公式盤としては、76年モントルー(Eagle Eye Media)、78年オフェンバッハ(4枚組コンピレーションBOX Forecast:Tommorowに収録)の映像に続いて3本目(でよかったかしらん)。

 なぜか3本の中で収録時期が一番古い本映像の画質が一番良いです。奇を衒ったところのない手堅いカメラワークも良し。ドイツの放送局は本当に良い仕事します。

●観客はおらず、演奏用のセットもない殺風景なスタジオで演奏してます。撮影クルーが映像に映り込んだり。ビートルズのトゥッイケナム・セッションみたいない感じ。 ただし、演奏はスパーブ。あらためてWRは驚異的なグループだったのだなと。

Wr71a_2

●ベースがミロスラフ・ヴィトゥスだった時代のWRですが、「ソロと伴奏」的な固定的な役割分担がなく、「オレが主役でお前は脇役」みたいなヒエラルキーのない集団即興演奏でしか出せない緊張感の高い演奏は素晴らしいです。

 ジャコ期のウェザーは、集団即興演奏による興奮の極地が味わえるような Teen Townですら、ジャコが刻むビートが中心というか土台にでーんとあったわけで。こういう「中心点」のない演奏の面白さは、後のWRでは聴けなくなってしまいました。

 役割分担がルーティン化していった隠遁前のマイルスもそうですが、こういうコレクティブな演奏スタイルが長続きしない、というのはちょっとミステリーというか興味深いです。ミケルス/クライフのオランダ・チームには引き継がれましたが(ウソ)。

Wr71b
Wr71c

●ザビヌルとヴィトゥスとの間の確執で、ザビヌル/ショーター/ヴィトゥス期のWRは終わったわけですが、「ヴィトゥス期こそ真のウェザー・リポート」という人の気持ちがよくわかる極上演奏。演奏時間は49分弱ですが、こういう緊張度の高い演奏はそのくらいの演奏時間が限界なのかなと。

 全編でポリリズミックなリズムを刻み続ける Alphonse Mouzon のドラムも素晴らしいです(ヴォーカルはご愛敬ですが)。パーカッションのDom Um Romãoが机の上、床にずらりと並べた無数の打楽器も見物。木製サンダルまで叩いてますが(笑)

Wr71d_2

●得たいの知れないレーベルからのリリースですが、カバー裏にはBeat Club を放送していた Radio Bremen のロゴがちゃんと入ってるし、マスター級の高画質。冒頭にちゃんFBI Warning も出るし、どういうプロダクションなのかちょっと不思議。

 今年聴いた/見たディスク中、最驚愕かも。大手のレーベルは、ヨーロッパの放送局のアーカイブにたくさん眠ってるこういうものを単品でストレートにリリースしてほしいです。ごてごてと変な抱き合わせのオマケ付デラックス・エディションなんていらんので。

Weather Report / Live In Germany 1971

1 Umbrellas
2 Orange Lady
3 Waterfall
4 Seventh Arrow
5 TH
6 Morning Lake
7 Improvised Medley Including Dr Honoris Causa

Joe Zawinul (key)
Wayne Shorter (sax)
Mirosrav Vitouš (bass)
Alphonse Mouzon (dr)
Dom Um Romão (per)

2008.11.18

マッコイ・タイナー / Guitars

●長いキャリアを誇るマッコイ・タイナーの新作。ギタリストとのセッション・アルバムです。CD と DVD の2枚組。輸入盤で購入。

▲
Guitars

 参加ギタリストは、

 マーク・リボー
 ジョン・スコフィールド
 ベラ・フレック
 デレク・トラックス
 ビル・フリゼール

の5人(フレックはバンジョー奏者)。

 マッコイの他、固定メンバーはロン・カーター(B)とジャック・デジョネット(Dr) 。
 解説によると、意外にもマッコイはギタリストとレコーディングするのは初とのこと(共演はあるはず)。演奏曲は各ギタリストの提案によるそうです。

●自分は、マーク・リボーと ベラ・フレックについては全く無知。ただ、個人的に一番面白く聴けたのがリボーとのセッション。冒頭からいきなりフリーフォームで、ノイジーなギターをかましてます。マッコイもこういう音楽によく合わせますね。

 ただし、解説によるとリボーとのセッションは一悶着あったようで、ソロのオーバーダブを望むリボーを、そういうギミックを嫌うロン・カーターがユーモラスに諭すという場面があったとのこと。一時、リボーはリズム・セクション抜きでの演奏を望んだそうで、track1&6はデュエット演奏です。デュエットでの演奏はDVDのボーナストラックにも収録されてます。

 フレックについては、正直、バンジョーという楽器のこともよく知らず、当方がフレックさん初体験なのでようわからんです。フリゼールもあまり聴いたことがないので何も書けません。もうちょっとちゃんと聴いてみます。

 一番組み合わせに違和感のないのがスコフィールドで、Mr..P.C.では格好良く飛ばしてます。デレクはちょっと遠慮気味でしょうか。DTBでの奔放なプレイからすると控えめな感じです。Greensleeves はDTBでの演奏とは異なりスロー・ヴァージョン。

 面白かったですが、常時活動してるグループのような一体感はなく、どこか他流試合的な遠慮というか、こなれのなさが感じられるというのが正直なところです。スコフィールドとの共演に一番違和感がないのは、やはり音楽のお里が同じだからかしらん。

 などと軽々しく語ってますが、ボキャ貧ゆえ、マッコイとリズム隊を含め、皆さん一聴にしかずということでお許しを。

●DVDの方は、民生用のハンディ・カメラ数台で取った映像の編集で、あまり画質は良くありません。メンバー間の会話も聴き取りにくいので、メンバー間のやりとりまでちゃんと理解したい方は12月に出る国内盤の方がよいかもしれません(字幕がどれだけつくか不明ですが)。

 本編は約53分。各曲ともリハーサル・シーン+本番シーンから成ってます。
 これは、デレクとのリハーサル・シーン。

Mccoy_derek

 本番シーンは、(1)通常編集、(2)4分割映像(下の写真)、(3)~(6)各メンバーのみの映像と6種のマルチアングルで見れるようになってます。

Mccoy_john

 他に、ボーナス・トラックが約14分。上で触れた Marc Ribot の弾くノイジーなギターに合わせるフリー・フォームでのデュエットはなかなか聴き物です。ある意味、全編中で一番面白いです。特に「xxxx(聞き取れません)トーナル(アトーナル?)でやろう」と言うマークに合わせるアグレッシブな後半部分は強烈です。

●予告編はこちらで見れますが、この中のインタビュー場面はDVDには収録されていません。

 ギター好きの方いかがでしょう。

McCoy Tyner / Guitars

McCoy Tyner (p)
Ron Carter (b)
Jack DeJohnette (dr)

CD
1 Improvisation 2 (w/ Marc Ribot)
2 Passion Dance (w/ Marc Ribot)
3 500 Miles (w/ Marc Ribot)
4 Mr. P.C. (w/ John Scofield)
5 Blues on the Corner (w/ John Scofield)
6 Improvisation 1 (w/ Marc Ribot)
7 Trade Winds (w/ Bela Fleck)
8 Amberjack (w/ Bela Fleck)
9 My Favorite Things (w/ Bela Fleck)
10 Slapback Blues (w/ Derek Trucks)
11 Greensleeves (w/ Derek Trucks)
12 Contemplation (w/ Bill Frisell)
13 Boubacar (w/ Bill Frisell)
14 Baba Drame (w/ Bill Frisell)

DVD
1 Mr. P.C. (w/ John Scofield)
2 Contemplation (w/ Bill Frisell)
3 500 Miles (w/ Marc Ribot)
4 Trade Winds (w/ Bela Fleck)
5 Greensleeves (w/ Derek Trucks)

-DVD Bonus Track-
Duets (guest: Marc Ribot)
Checking the Piano
McCoy's Thoughts
Rehearsing at the BlueNote (guest: Bela Fleck)

2008.10.09

中山康樹著「マイルスを聴け!8」

●好評のマイルス・デイヴィス・ディスクガイドのバージョン8です。文庫本の厚さとしてはそろそろ限界か(笑)。

マイルスを聴け!8
マイルスを聴け!8

 内容の一部は、アサヒ・コムの有料サイト、アサヒ・コム プレミアム掲載されたものが、転載されているそうです。

●写真(左)は初回文庫版と並べたもの。488頁→1153頁に膨らみました。それだけ聴ける音源が増えたということなので、素直に喜んでよいんでしょう。膨張分はほとんどブートですが(笑)。

Miles8

 写真(右)は、この種のディスクガイドとしては、画期的だった、松本常男著「ビートルズ海賊盤辞典」(講談社文庫)と並べたもの。「ビートルズ」は、文庫本としては当時(昭和60年)破格のブ厚さでしたが、「マイ聴け!8」はそれすら追い越しました。

 ちなみに、ビートルズの方は2400円で、25年後の「マイ聴け!8」も2400円(本体2286円+税)。「ビートルズ海賊盤辞典」が厚さだけでなく、値段も破格だったことがおわかりになると思います。

 発売当時「文庫本が2400円って何じゃ~」と思いつつ買いました(笑)。まあ内容が素晴らしかったので。

●マイルス・ブートはそれほど買っておらず、自分の食指が伸びるのはウェイン、ハービー、ロン、トニーとの第2期クインテット~隠遁前の音源ですが、大変便利で助かります。読み物としても面白すぎます。
 けして万人受けするような「客観的な」視点で書かれた本ではないですが、中山氏のぶれない視点が素晴らしいですね。

 一箇所引用。


「マイルスのような世界遺産の場合、残された音源は、どういうかたちにせよ、すべて出す必要がある。それを聴く・聴かないは別問題。さらにブートレッグということに関していえば、文字通りミソもクソも出そうという意思がなければ、また実際に出さなければ、ダイアモンドが出てくる可能性もそれだけ減少する。大量に出す。その中に宝石がある、すなわちブートとはそのようなものであり、最良最上最強のブツばかり出つづけるということは、ありえない」(490頁)


 ここまで言い切られると清々しいです(笑)。

 さて、今後どこまで文庫化に耐えられるでしょうか。分冊化の日も近い?(笑)

2007.09.11

ジョー・ザビヌル死去 (1932-2007)

●本日、生まれ故郷ウィーンの病院にて死去。皮膚ガンを患っていたそうです。

 非公式ファンサイト Zawinul Online記事によると、ザビヌルは、6週間のヨーロッパツアー終了1週間後の8月7日に入院。この時点で病状はシリアスだったようです。
 ツアー中も、ステージでは車椅子を使用し、立つことも困難だったそうです。8月1日のハンガリー公演では、ウェイン・ショーターが飛び入りで参加し、バラードを演奏。おそらく、このとき2人は今生の別れを意識していたものと思われます。

●ディープに追っかけたミュージシャンではありませんでしたが、それでも、体の中の何かが落ちたようでやはり寂しいです。享年75。ウェインより10才以上年上でしたか。公式サイト、トップページのスライドショーを見てると泣けてきます。ザビヌルってこんなに微笑む人だったかなぁ・・・

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(写真は Wikipedia より、今年3月28日、ドイツ、フライブルクでのステージ)

 さようなら。

(9月12日加筆)

2007.08.27

富樫雅彦、死去

●ジャズドラマーの富樫雅彦が、先週22日に亡くなっていたことを今日知りました。享年67(Sankei WEB 8月24日付け記事)。2002年以降、演奏活動から退いていたそうです。

 ジャズという地味なジャンルの、さらに注目される機会の少ない邦人演奏家の訃報ゆえか、各紙とも、短文でキャリアを伝えているだけです。ミーハー受けする音楽とは対極にあった彼の音楽ですが、タブロイド紙夕刊フジのWeb版 zakzak に、交流のあったミュージシャンの話を含めた追悼記事が載っているのがちょっと不思議です。同紙の訃報はこちら

●かくいう私、彼の熱心な聴き手であったとはとても言えず、自分が買った富樫名義のアルバムは、LP時代の「兆」という山下洋輔と共同名義のデュオ・アルバムだけです。正直、彼の音楽をすぐに好きになることはなく、そのまま短くない時がたってしまいました。

 訃報を機会に、という安直の極みではありますが、今、彼の音楽が自分にどのように響くか、あらためて体験してみようかと思う次第です。

 月並みながら、ご冥福をお祈りします。

2007.08.18

My Favorite Things: Coltrane at Newport を聴く

●少し前に出た、コルトレーン・カルテットの63年と65年のニューポート・ジャズ・フェスティバルにおけるライブ音源のコンピレーション。
 初出音源ではありませんが、収録アルバムがバラバラだったり、無用な編集があったりした音源がようやく筋のある形でまとまりました。
 スリーブ・ノーツの記載によるとは、3トラックのマスターリールから新たにリミックスしたとのこと。音は申し分ないです。

My Favorite Things: Coltrane at Newport
My Favorite Things: Coltrane at Newport

●私的にヘビーローテーション化してます。特に63年の3曲は素晴らしいです。

 冒頭、I Want to Talk About You のとろけるような優しいテナーの音に、まずメロメロ。徐々に激しさを増し、最後は無伴奏の一人爆裂インプロヴィゼーション。「頭」と「最後」は一見(一聴?)別世界。でも、なんの違和感もなく自然に移っていく素晴らしさ。

 続く My Favorite Things. コルトレーンは冒頭のテーマをテナーで吹いた後、マイクからオフになっていき、すぐにソプラノに持ち替えて戻ってきます。こういうドキュメント性たまりません。演奏について、同曲最高の名演に挙げる人も多いこの My Favorite Things、私ごときが付け加えることはございません。

 3曲目が Impressions. 今度は、冒頭、ソプラノでテーマを吹いた後、マッコイ、ギャリソンのソロを挟んでテナーに持ち替えて戻ってきます。こういうドキュメント性たまりません(しつこい)。途中からマッコイが離れ、ギャリソンが離れ、バックがドラム・オンリーになってもガンガン突っ走ります。もう人間業でないですわ。

●以上、ボキャ貧で情けないですが、素晴らしいです。
 たった3曲。でも完璧な3曲。50分があっという間。

 CDではこの後に65年の2曲が続きますが、こちらはかなりフリーフォーム色あり。年取ったせいか63年の演奏に強くひかれますです。

 マニア向けのコンピレーションというだけでなく、コルトレーン初めて聴くという人にも最良の1枚かと。

2007.07.25

「アトランティック・レコード:60年の軌跡」を見る

 2007年、アメリカ PBS 製作で、同局の American Masters シリーズの一作。114分。
 原題は、Atlantic Records The House Ahmet Built で、原題の方がカッコイイですね。

 「日本盤出るか微妙だなぁ・・・」と思ましたが、ちゃんと出してくれました。発売元サイトの関連ページはこちら。PBS の American Masters の本作関連ページはこちら

アトランティック・レコード:60年の軌跡
アトランティック・レコード:60年の軌跡

 25日発売ですが、お休みの本日、即見しました。

●「アトランティックの通史+アーティガンの個人史」風な作品ですが、初期の作品をあまり知らない自分は、アリサ、オーティスが登場するあたりからが一番楽しめました。初期アトランティックこそがアトランティックの本領、という方には心外でしょうけど。

 作品中、ジェリー・ウェクスラーが、

 「メジャーカンパニーの中で経営者がスタジオで一緒にレコードを作っていたのはアトランティックだけだ」

と語りますが、重いお言葉です。 

 アリサ・フランクリンがコロンビアで売れずにくすぶっていた頃の話が出てきますが、アリサ曰く、「コロンビアでは経営者がスタジオに来ることなどなかった」ということです。

 とにかく、昔を回想する登場人物達が皆楽しそうなのが印象的です。

●もちろんクラプトンが出てこないわけはなく、以前ご紹介した、ロンドン滞在時、ウィルソン・ピケットのパーティーで、クラプトンを初めて聴いたときのあのエピソードが、アーメット本人の口から語られます。

 クリームの傑作ドキュメンタリー「クラシック・アーティスト・シリーズ / クリーム」でも、アーメットが同エピソードを語る場面が出てきますが、そちらはオフィス内の映像、本作のは屋外での映像です。「アトランティック・レコード物語」にも出てくる、この時の体験、よほど強烈な印象を、アーメットに与えたと思われます。

 NY で、クラプトンが、アリサ・フランクリン&バンドとセッションした時の話なんて秀逸ですが、ネタバレになるので、内容のご紹介は止めておきます。

 その後、アリサの Lady Soul のカバー写真とクラプトンの写真がオーバーラップするシーンがあり、背後に流れるのはもちろん、Good To Me As I Am To You でのクラプトンのソロです。寝転がって見てましたが、この辺で体がむくっと起きましたです、はい。

●もちろんツェッペリンも登場。ゼップについては、アーメットがペイジ、プラントと会うことなしに、ウェクスラーが契約したそうですが、興味深かったのが、彼らの契約内容で、「バンド側がアートワークとサウンドの決定権を持ち、経営陣は録音中スタジオに入れない」旨を、口約束でなく契約書で明文化したとのこと。これはそれまでの契約慣行にはなかったことだそうです。

 実際、コンサートの楽屋のような場所で、ゼップの名物マネージャーだった故ピーター・グラントが、初老の男性に「俺に指図するな。出て行ってくれないと始められない」と凄むシーンが拝めます。あの巨体が腕組みして。相手ビビってます(笑)。

●終盤は音楽以外の私生活の話などもあり、少々散漫な印象を受けました。個々の話は面白いのですが・・・・
 会社がワーナーに売却されビッグビジネス化し、Blues、Jazz、R&B というタームだけでは語りきれない音楽が増え出したわけで、音楽面の話が散漫になるのはやむを得ないかと。

 ミック・ジャガーの登場シーンもあり、ストーンズのお蔵入りした現在未発売のライブ映画 Ladies & Gentlemen が部分的に見れますが、なんとか正式に発売できないものでしょうか。

 あまり書くとネタバレになるので止めますが、アトランティックというか、アメリカポピュラー音楽史に興味のある方は必見。出てくるミュージシャン等については、冒頭のリンク等をどうぞ、

 私的に、「アトランティック・レコード物語」(書籍)、トム・ダウドのドキュメンタリー映画「Tom Dowd & Language of Mugic」、本作を、アトランティック三部作と勝手に命名させてもらいます。

Atlantic60

 日本盤には、登場人物について簡潔にまとめられた冊子がついていてます。よく知らない人物もいたので非常に助かります。冊子の最後に、参考文献「アトランティック・レコード物語」って書いてありますが(笑)。早川書房さん、こんな重要文献、早く再発しましょうよ。罪ですぞ。

●エンディングで流れるのは、アリサの Don't Play That Song で、これは DVD のメニュー画面の BGM にもなってます。

2007.06.23

D.トラックス、Jazz At Lincoln Center 2007 Spring Gala で W.マルサリス七重奏団と共演

 デレクねた、もう一丁。

●やや旧聞になりつつありますが、5月14日、Jazz At Lincoln Center の 2007 Spring Gala というイベントでデレク・トラックスがウィントン・マルサリス・セプテットと共演しました。「んなこともう知っとるわい?」。すみません.....この Gala 開催前に両者が共演というニュースを聞いたときは興味津々でしたが、その後コロッと忘れてしまい、今頃また調べてみた次第です。

 NEW YORK SOCIAL DIARY というサイトのこちら(真ん中あたりにあるCLICK TO PLAY VIDEOというやつ)で、この共演の一部が動画で見れます。演奏スタイルはジャズコンボによる紛れもないジャズで、舞台が遠く、「どこにデレクがいるんじゃ?」状態でしたが、なんと!

 途中聞こえるアンサンブル・リフは、まごうことなく Elizabeth Reed ではございませんか。よく見ると舞台向かって右側にデレクがいます。珍しくスーツ姿で演奏するデレクの写真は、Jazz At Lincoln Centar の公式サイト中のこのページで見れます。これ

 この映像では、残念ながらソロはマルサリス部分しか聴けず、デレクがどんなソロをとったか不明です。うーん残念。

●当夜の記事については、5月16日付けのNew York Post Web版に記事があり、たしかに、Superb guitarist Derek Trucks transformed the septet into a jazzy version of the Allman Brothers Band on "In Memory of Elizabeth Reed," と書いてあります。記事中の For the occasion, the terrific Wynton Marsalis Septet backed up a gallery of stars from the world of film, theater, rock and pop. という部分からすると、マルサリス・セプテットに各界からゲストが入れ替わり参加だったようで、デレクが出ずっぱりでギターを弾いたわけではないようです。

 マルサリスの公式サイトにもこの日のリポートがあり、過去にはディランやクラプトンも出演してるようですが、どんなんでしたっけ?(ボケ爆)
 
●ちゃんとフルで聴いてみたいですが、Dime や Den といった有名どころには音源なし。マルサリスは音源管理には厳しそうですけど。ソニーだし・・・デレクもソニーか(笑)。

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