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カテゴリー「本」の19件の記事

2012.05.02

グレッグ・オールマン自伝、My Cross to Bear が発売

Gregg_crosstobear●待望の自伝出ました。私は安いので米AmazonでKindle版を買いました。オーディオ・ビジュアルの仕掛のついたエンハンスト版で9ドルちょっと。本の冒頭には「母さんとデュアンに捧ぐ」とあります。

●先にRolling Stone 誌にほんの一部分が抜粋掲載されていて、案の定というか元妻のシェールがらみの場面だったので、世間の興味は結局それかいと苦笑。

 ただし、内容は赤裸々にシェールと出会った時のことを語っていて驚かされました。ビッチ女(失礼)に舞いあがってちんちんにされてる様子が笑えましたが、リムジン奮発して初デートに乗り込んだら「こんなクソ霊柩車で来んな」と小馬鹿にされたとか、よくぞこんなに覚えてるもんです。何十年前の女の子とのデートがどうだったかなんて私しゃ何も覚えてません。ははは。

●出たばかりなので、本当にさわりを飛ばし読みしただけです。有名すぎるレイラ録音時のクラプトンとのマイアミでの伝説的な出会い、デュアンの死あたり。

 後者で印象的なのが、デュアンの死が、彼を兄のように慕っていたベリー・オークリーにとっては人格を崩壊させるような衝撃的な出来事だったということ。

 オークリーがデュアンの死後アルコール漬けになっていく様子が書かれていて、オークリーの事故死は自暴自棄の自殺と捉えられても仕方ない旨のことが書かれてます(書き方自体はペンディングですが)。グレッグの言葉、I don't think he wanted to die; I just think he didn't want to live は、2人のお墓が兄弟のように寄り添うように並んでいることを思い出すとやはりジーンとしてしまいます。

●クラプトンとの件については、ABB40周年のバックステージでの話が短いですが感動的。
 レイラセッション時の話も当時者が語るだけあって重みを感じます。トム・ダウドがデュアンに、ドミノスのセッションを見に来れるか尋ねたときのクラプトンの反応は、グレッグによると、「見に来れるか?ヤツが来るなら弾かせるにきまってんだろ」だったそうで。

 クラプトンのバンドでプレイするデュアンをディッキー・ベッツは嫉妬の目で見ていたとグレッグは書いてますが、同時に、自分がギタープレイヤーだったら同じ気持ちになっただろうとも書いてます。

 かと思うと、デュアンの死後一時的にバンドをサポートしたレス・デュデク(ジェシカでアコギを弾いてる)のことには一言も触れられていません。

 あと、全体的にfuckという言葉が多いです(笑)。

●エンハンストの中身は、写真や音楽ファイル、グレッグのインタビュー動画などで、Statesboro Blues はフィルモア・イースト音源だし、あっと驚くようなレアなものはない感じです。というか、Kindle版はなんでオマケのあるエンハンスト版の方が通常版より安いんでしょうか?間違って通常版も買ってしまいましたが、文字部分の収録量は同じに見えるんですが。(追記:価格の逆転はプレオーダー時だけだったようです)

●公式サイトではグレッグの直筆サイン入り本も売り出されましたがあっという間に売り切れたそうです。グレッグ・オールマン級の大物なら当然邦訳を期待したいですが、最近の洋楽ニーズを考えるとどうでしょうねえ。

●電子版なんでいつでもスマホでちょっとずつ読めるので、ちびちび読みます。

2011.02.02

ボビー・ホイットロックの自伝 A Rock'n Roll Autobiography

●ようやく出たボビー・ホイットロックの自伝です。

Bobby Whitlock: A Rock 'n' Roll Autobiography
Bobby Whitlock: A Rock 'n' Roll Autobiography

 当初、2010年の秋発売予定だったのが年末に延び、さらに2011年の春先に延びたと思ったら、あっさり1月下旬に出ました。レイラの40周年盤に微妙に合わせたのかなという気はしますが。

●巻頭の謝辞によれば、この本を書くきっかけとなったのが、アメリカの音楽掲示板 Steve Hoffman Music Forum に寄せられた質問だったそうで、「レイラ」のアルバム・カバー内側に写っている女の人は誰なのかという質問を彼の妻のココが偶然発見し、ココ経由で彼が答えたことから始まって質疑応答が膨らんでいき、そこから本を書くことになったとのこと。
 本にするよう勧めたのはマーク・ロバーティで、この本にも協力者として表記されてます。序文はクラプトン。自伝の端緒になった Steve Hoffman Music Forum の該当スレッドはこちら

 そういえば、デラニー&ボニーのアルバム On Tour with Eric Clapton がかなりオーバー・ダブされている、というボビーの種明かしがあったのも Steve Hoffman Forum で、たぶんそのネタもそこでの一連の質疑応答の中で披露された話だったのでしょう。

●当然、興味があるのは、デラニー&ボニーへの参加からドミノスでの活動について書かれた箇所なのですが、かなり興味深い話が満載です。

 特にジョージの All Things Must Pass と Layla の2アルバムについては、それぞれ All Things Must Pass Track by Track と Layla Album Song by Song という章を設けて、収録曲についてかなり興味深いエピソードやデータを語ってくれてます。特に前者は曲毎の参加ミュージシャンのデータに不明瞭なところがあったので一線級の資料になることは間違いないです。

●Layla については、例えばフェイド・インで始まるのが不思議だった Key To The Highway について、

Key To The Highway は録音中に発生したジャム・セッションの中の一つで、もともとは、Hard and Heavy というアルバムをレコーディング中のサム・ザ・シャム(Sam The Sham)がこの曲をやろうとしているのを知ったエリックが自分たちもやってみよう、ということで始めた曲だった。我々はトム・ダウドがちょうど中座した時に自然に演奏を始めてしまった。この曲が途中からしか収録されていないのは、トムが戻ってきた後だけが録音されているからで、彼は「フェーダーを上げろ!」と叫びながらスタジオに駆け戻ってきたのだった。(p96)

 スタジオ内での演奏はすべてテープを回して収録させていたというトム・ダウドにしてみれば、テープを回してないところで勝手に演奏されるというのは一大事なわけで。そりゃ叫びたくもなるでしょう。
 というか、もしダウドが戻ってこなければあの超ド級の演奏は録音されずに消えていたということですから恐ろしや・・・

 ちなみに、トム・ダウドの二股プロデュースの下、ドミノスと同時期にクライテリア・スタジオで録音していたサム・ザ・シャムの Hard and Heavy の中で、少なくとも1曲(Goin' Upstairs)はデュアン・オールマンがゲストで弾いているそうですが私は聴いたことがありません。

●あるいは、アルバム最後の曲 Thorn Tree in The Garden について、

この曲は、かつて私の住み家からいなくなってしまった子犬についての歌で、我々はレコーディングの最終日に演奏した。我々は意図的に無指向性マイクの周りを囲むように座った。木製スツールに座った私の左にエリック、ジムは彼の左、やや下がり気味のところでベルを鳴らした。デュアンは私のちょうど向かい側、やや右寄りの位置に座りドブロを弾いた。カールはジムとデュアンの間でベースを弾いた。我々は通しで2回演奏して、最適なポジションを確認し、テープを回した。ワンテイクで完了。トム・ダウドは自分の行った最高のステレオ録音だと語った。全員で1つのマイクを囲み、完璧という他なかった。(p97)

 「庭の木」って犬の話でしたか。ずっとラブ・ソングと思って聴いてましたが・・・

●関心のあるところだけの摘み読みですが、驚くのはホィットロックの記憶力のすごさ。例えば、かなり高音質のソースが残されたフィラデルフィアの Electric Factory で演奏した時の話。

 当日、ホテルに向かう途中、コンサートの告知看板が Eric Clapton and His Band になっているのに気づいたクラプトンがガソリン・スタンドで車を止めさせてロンドンに国際電話をかけ、看板から自分の名前を消さない限りショーをキャンセルするとゴネたそうで、実際、看板は書き換えられたそうです。ソールドアウトのショーだったので一瞬みんなビビったと。

 デュアンが参加したタンパ公演の録音も最近聴いたそうですが(当然ブート音源でしょう)、レイラ・セッションでのデュアンについてはかなり賞賛する一方で、ライブでのデュアンについては微妙に音楽の方向性が違うのではないか、ということを自分とグレッグ・オールマンの演奏スタイルの違いに触れながら語ってます。デュアンは数回参加したと語っているので、デュアンがタンパ以外でも弾いたのはほぼ間違いないと思われます。

 興味のない人間にとってはどうでもいいような音楽とは無関係な話もありますが、少なくともドミノスに関しては、埋められるパズルのピースについては、音源はもちろん、ヨタ話の類まですべて知りたいと思っている私のような人間にとっては、非常に興味深い話が色々出てきます。

●私的に興味深かったのが、The Domino Flat という章の中に、ロバート・スティグウッドがロンドン滞在中のドミノスのリズム隊3人のために、地下鉄 South Kensington 駅そばの 33 Thurloe Street というところにアパートを借りたという記述。グーグルマップで検索したら、なんと、South Kensington 駅舎の向かいじゃないですか。


大きな地図で見る

 ロイヤル・アルバート・ホールの最寄り駅なので、ここの前を何度か通ったことがあります。何も知らずにすたこら通り過ぎてましたが、もしまた行く機会があったら、拝みながら通ることにします。

●読んでたら、ドミノスの音源をいろいろ聴き直してみたくなり、実際聴きました。そうやって40周年盤も買わせようとするのがあちらの手なんでしょうけど(笑)。でも、この本を書いてくれたホイットロックには感謝せずにはいられません。全部読まないかも知れませんが(ごめんボビー)。

 翻訳版も出るという話も聞きましたが具体的な情報はまだ分かりません。地味なジャンルなんでどうでしょう。

2010.04.18

『現代思想』臨時増刊号「総特集=ボブ・ディラン」(青土社)

●こういう文芸誌の特集になってしまうのですから、偉大な人なのでしょう。自分は彼の音楽が好きで聴いているだけですが。

現代思想2010年5月臨時増刊号 総特集=ボブ・ディラン
現代思想2010年5月臨時増刊号 総特集=ボブ・ディラン

 今まで「現代思想」で特集されたポップ・ミュージシャンっているんでしょうか。たぶん類をみない売れ行きになることでしょう(ほんとかい)。ちなみに一つ前の臨時増刊号はドストエフスキーでした。さすがはノーベル文学賞候補(笑)。

●主な内容は青土社こちらのページで確認できます。本邦未訳だったLAタイムズの2004年インタビュー、菅野ヘッケル+ピーター・バラカン対談といった、音楽雑誌に載っても不思議でないものから、仏教学者ポール・スワンソンによる「ディラン・イン・ジャパン その魅力と言語の壁」といった、なかなか興味深い記事もあります。

●週明け、4月19日発売です。月曜は昼休みに書店にゴー。ひきこもりの人はポチリと。

2009.08.14

飛び出す本、BOB DYLAN SCRAPBOOK 1956-1966

 書くネタが支離滅裂、目茶苦茶になってきましたが・・・

●ボブの、飛び出す絵本型バイオグラフィーです。バイオといっても 1956年 から 1966年 まで。

ボブ・ディラン スクラップブック 1956-1966
ボブ・ディラン スクラップブック 1956-1966

 2005年に日本語版が出ましたが、買わないうちに見当たらなくなり、「英語版でもいいから買うか」状態だったのですが、少し前に日本語版を見かけ、今年になってようやく買いました。

●テキスト部分の執筆はロバート・サンテリ(Robert Santelli)で、邦訳は菅野ヘッケル氏ですが、目がいってしまうのは、新聞記事、ボブの手書きの歌詞、チケット、プログラム等々、当時のブツが復刻されてるヴィジュアル部分でして。タイトル自体「スクラップブック」なんで仕方ないか。

 ヴィジュアル系物体は本のあちこちに作られた大小様々なポケット部分に差し込んであります。

 61年11月4日のカーネギーホールコンサートのプログラム。

61ch

 63年のワシントン大行進出演時のパス。その下は「風に吹かれて」の手書き詩。

63wm

 65年のメロディー・メイカー紙の記事。執筆はレイ・コールマンです。

65mm

 最強のバカ物体はこれですかね。Bringing It All Back Home の宣伝用ポップ。よう作るわ(笑)。

65pop

 なんで66年まで?、と一瞬思いましたが、こんなものその後40年分も作ってられっか、というのが正直なところでしょう。
 無責任な感想としては、ローリング・サンダー・レビューあたりまでなら面白いものが作れるような気がします。

 時々開いては、このように遊んでます。ダメ人間になっていく感じがたまらんです。

2009.05.02

「ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック」(ミュージックマガジン刊)

●2005年1月号から2008年4月号にかけてのレコード・コレクター誌への連載をまとめたもの。連載時のタイトルは「Once Upon A Time In England~ピーター・バラカンが語る十代の音楽体験」。

ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック
ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック

 全40章。若干の加筆と、所蔵してる当時のコンサートのチケットやポスター紹介が巻頭にあり。

 レココレ誌は興味ある号しか買っておらず、自分が読んだことがあるのは一部だけだったので、こうしてまとめて読める喜びは大きいです。全部読んでても買ったでしょうけど。

●ほとんどが当時の身辺雑記や音楽体験の個人的な回顧なんですが、なんたって60年代から70年代にかけてのロンドン。「身辺」で起こってたことが凄すぎるわけで。当時ロンドンで暮らしていた若者と同一目線で Swinging London を仮想体験できるのですから面白くないわけがない。

 69年のワイト島フェスティバルに行ったときの記述なんて淡々と語ってるだけですが、現場体験者だけが語れる興味深い内容。70年のバス・フェスティバルで土砂降りにたたられて、当時も今も苦手だというZepの演奏に合わせてやけくそでヘッド・バンギングしているうちに体が暖まり救われた、とか。

 他に、マーキーでのジミ・ヘンドリックス体験、クリームの解散コンサート「体験」、「Ready Steady Go!」「Old Grey Whistle Test」のリアルタイム体験、ジョン・ピールの話、当時のラジオ放送事情と海賊放送局等々・・・溜息。

●連載時は知りませんでしたが、ピーターさんご自身は、自分の語れる話のうち読者にとって何が面白く、何がつまらないかわからなかったので、レココレ誌編集部の人による質問、聞き取り形式で文章がまとめられていったそうです。そのため本誌も若月眞人さんとの共著扱い。
 でも、「何が面白いかわからない」って・・・たぶん全部面白いと思いますよ(笑)。

 聞き取り場所は、去年取り壊されたキャピトル東急ホテルにあったカフェ「オリガミ」。自分も行ったことありますが、あそこが現場でしたか。「オリガミ」は近くのエクセル東急ホテル内に移転してまだあります。

●ちなみに、ピーターさんの初のコンサート体験は、63年にフィンズベリー・パークのアストリアで見たビートルズのクリスマス・ショーだそうで。

 日本人がかなうわけないわな・・・

2009.03.03

Eric Clapton - Live File 1(福井章彦 著)

●Live File というタイトルからも分かるように、ライブ音源でたどるクラプトンの音楽研究です。ソフト・カバーで、本文は197ページ。1400円(税別)。

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Eric Clapton - Live File 1

●初巻の今回は1963年から1975年まで。福井氏については、Beatleg誌のレビューや記事ですでにご存じの方も少なくないでしょう。本書もBeatleg誌の連載をまとめたものということです(おそらく加筆あり)。は書き下ろし。

 同様の作業として、Web上では Mark Deavult氏(Geetarz) の力作が知られています。Geetarz氏の作業は、音質・演奏の客観的な評価に重きが置かれた感じでしたが、本書ではそれに加え、さらに人間クラプトンに迫ろうとする視点が感じられます(特に各ツアーの概観部分)。

●音源は、年代順に時系列的にまとめられていて、オフィシャル音源と非正規音源の区別はされておらず、両者は等価のものとして扱われてます。

 演奏レビュー、音質評価、初出ディスク、定番ディスクが簡潔に整理されていて非常に読みやすいです。

Ec_file1a

●各音源は、「必聴」「定番」「ファン限定」「マニア限定」「コア・マニア限定」の5段階総合評価が下されていて、こういう本を買うヤバイ道に入り込んでしまった人は、各音源については自分で落とし前を付けてしまえるかなとも思うのですが、それでも興味深く読ませていただきました。

 例えば、ドミノスの1970年10月のフィラデルフィア公演(AUD)は「必聴」ですが、フィルアモ・イースト公演(SBD)は「定番」になっています。
 あるいは、アルコール漬けだった74年のカムバック・ツアーを(負の意味で)象徴するような泥酔ぶりが聴ける7月4日のコロンバス公演は「ファン限定」という評価です。コロンバス音源はECのキャリアを振り返る上ではまさに「必聴」であるとは思いますが、その辺、著者はあくまで冷静です。一ファンとしての本音は別かも知れませんが。

 ちなみに、「コア・マニア限定」はそれほどあるわけでなく、ドミノスだと、70年8月14日、UKでのモルヴァーン(Malvern)公演がそれに該当します。同日の I Don't Know Why を聴いて喜びに浸ったことのある人はコア・マニアです。犯罪者にならないうちに早く更正してください(笑)。

●音質的にかなりバラつきのある非正規音源をここまで聴き込んで整理するだけでも大変な作業であったと思われます。思わず目を見開かせてくれる視点が至るところにちりばめられていて集めた音源をあらためて聴き直してみよう、というアブナイ欲求がむくむくと沸いてきて、喜んでいいのやら、嘆いていいのやら・・・

●75年までの音源だけでもかなりのヴォリュームがあり、本書をめくっていると、著者も書かれているように「(クラプトンが)ライブに生きてきた人」であることを痛感させられます。アルバム・アーティストとコンサート・アーティストという分類があるとすれば、クラプトンは明らかに後者なのだなと。もちろんアルバムも十分魅力的ですけど。
 この先あと30年。しかも後に行くほど音源が大量。天国か地獄か。

●主にGetty Imagesの提供する多数のレア写真が収録されていて楽しめます。75年日本公演の写真は著者自ら望遠レンズを使用して撮影した上質かつ感嘆させられるものですが、当時の著者は数十年後にこういう書物をしたためるとは想像だにしなかったでしょう。

Ec_file1b

 力作。同好の士は買いましょう(笑)。

2008.12.29

ニール・ヤングのライブ記録本 Ghosts On The Road

●以前から気になっていたニール・ヤングのライブ記録本、Ghosts On The Road: Neil Young In Concert 1961-2006 です。2006年までのデータが補充された第2版。

Ghostsontheroad

 今月中頃、やたらデカイ Royal Mail 便が届き、一瞬「いったい何を買ったんだと?」と思いきやこれでした(届いたブツが何か瞬時に分からんようになったら終わりです・・・)。
 CDサイズと比べても分かると思いますが、現物はかなりサイズが大きいです。B5サイズのラップトップPCより一回り大きく、重さもPCより重いです。ちなみに1996年に出た第1版のカバーはこんな感じでした。

 送料込みで34ポンドと、1ポンド=約200円超時代ですと(わずか半年前。トホホ)躊躇してしまうようなお値段でしたが、ここにきての一気の円高、というか異常なポンド安でかなり割安感。
 なにより、Sugar Mountain のリリースで、ニールの初期のライブ・データへの好奇心も芽生えたこともあり販売元でポチり。Paypal決済。

●この手の本の宿命で、収録済みの2006年までのデータからすでに2年分のデータが発生しているわけですが、新規データや修正データは補訂版がファイルで配布されてます(現在2008年8月分までのデータ)。

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 見にくいですが、上写真は、先にリリースされたライブ盤 Sugar Mountain 関係のデータです。上が修正前の本掲載データ、下が修正ファイルのデータ。
 まだ未知の部分もありますが、ミシガンの Canterbury House 公演は8~10日の3日間あったらしいこと(8日は未録音)、CDでは単に November 9 & 10 とだけ記されていた音源は、9日の演奏がやや多いことが分かります。

 余談ですが、Sugar Mountain のCDには収録されなかった10日の I Am a Child が、iTunes 版では Bonus Track として付いていて、この曲だけ単独で買うことができます(要iTune環境、米アカウント)。ポチ。

●各ツアーについての概略解説、セットリストの他、該当ブート・タイトルの併記ありと、非常に便利です。正直、ブート・ショップを月に何度ものぞいていた頃、これを見ていたらヤバかったと思いますが、もう安心(笑)。

 こういう研究本を一般の書籍として採算ベースに乗せるのは絶対に無理で、ネット時代でなければ、求道者による趣味・道楽・研究の世界で完結してしまっていたものと思いますが・・・おそろしや(笑)。

 同様の研究では、ディランについての Olof Bjorner氏による労作がありますが(製本版の販売もありますが、pdfファイルの無料ダウンロードも可)、本書はそのニール版ですね。

 多くの Rusty の持ち寄ったデータがベースになっていて、潜在的には多くの匿名子による「共作」とも言えると思いますが、本にまとめあげた Pete Long さんに遅ればせながら感謝。

 何はともあれ、はるか極東の物好きはペラペラめくりながら、物思いにふけっているのでありました。

2008.10.09

中山康樹著「マイルスを聴け!8」

●好評のマイルス・デイヴィス・ディスクガイドのバージョン8です。文庫本の厚さとしてはそろそろ限界か(笑)。

マイルスを聴け!8
マイルスを聴け!8

 内容の一部は、アサヒ・コムの有料サイト、アサヒ・コム プレミアム掲載されたものが、転載されているそうです。

●写真(左)は初回文庫版と並べたもの。488頁→1153頁に膨らみました。それだけ聴ける音源が増えたということなので、素直に喜んでよいんでしょう。膨張分はほとんどブートですが(笑)。

Miles8

 写真(右)は、この種のディスクガイドとしては、画期的だった、松本常男著「ビートルズ海賊盤辞典」(講談社文庫)と並べたもの。「ビートルズ」は、文庫本としては当時(昭和60年)破格のブ厚さでしたが、「マイ聴け!8」はそれすら追い越しました。

 ちなみに、ビートルズの方は2400円で、25年後の「マイ聴け!8」も2400円(本体2286円+税)。「ビートルズ海賊盤辞典」が厚さだけでなく、値段も破格だったことがおわかりになると思います。

 発売当時「文庫本が2400円って何じゃ~」と思いつつ買いました(笑)。まあ内容が素晴らしかったので。

●マイルス・ブートはそれほど買っておらず、自分の食指が伸びるのはウェイン、ハービー、ロン、トニーとの第2期クインテット~隠遁前の音源ですが、大変便利で助かります。読み物としても面白すぎます。
 けして万人受けするような「客観的な」視点で書かれた本ではないですが、中山氏のぶれない視点が素晴らしいですね。

 一箇所引用。


「マイルスのような世界遺産の場合、残された音源は、どういうかたちにせよ、すべて出す必要がある。それを聴く・聴かないは別問題。さらにブートレッグということに関していえば、文字通りミソもクソも出そうという意思がなければ、また実際に出さなければ、ダイアモンドが出てくる可能性もそれだけ減少する。大量に出す。その中に宝石がある、すなわちブートとはそのようなものであり、最良最上最強のブツばかり出つづけるということは、ありえない」(490頁)


 ここまで言い切られると清々しいです(笑)。

 さて、今後どこまで文庫化に耐えられるでしょうか。分冊化の日も近い?(笑)

2008.09.17

ロブ・ボウマン著/「スタックス・レコード物語」

ロブ・ボウマン著の「スタックス・レコード物語」の邦訳が6月末に出たので買ってみました。
(シンコー・ミュージック・エンタテイメント刊、原題:SOULVILLE U.S.A. THE STORY OF STAX RECORDS)

▲
スタックス・レコード物語

 読む時間があるか微妙ですが、売れる部数が限られたまともな音楽書ほどすぐ絶版になってしまうので、とりあえず手元に置いておこうかなと。

●グロウニックの「スウィート・ソウル・ミュージック」が、若干学究的て晦渋な箇所があるのに対し、本書は現場にいた当事者の証言が非常に多く、具体的なエピソード満載でさくさく読める感じです。スタックスにどっぷり浸かってる人にはたまらんと思います。

 4月に出たバラカンさんの「魂(ソウル)のゆくえ」新版の「お勧めのソウル本」欄は、邦訳のあるものに限定しているので、そこでは紹介はされていませんが、本書の出版時期がもう少し早ければ当然紹介されていたものと思われます。

●まだ摘み読み、斜め読みですが、興味を引いたのは、ビートルズが「リヴォルバー」をスタックスで録音する可能性があったという箇所です。まっとうなソウル・ファンには邪道な興味でしょけど。


「1966年3月ブライアン・エプスタインがビートルズの次作のレコーディングをスタックスで行う可能性を探るためにメンフィスを訪れると、社内の興奮のレベルは最高潮に達した。
(略)
 だが悲しいかな、ビートルズがレコーディングでスタックを訪れることはなかった。スティーブ・クロッパーによれば、エプスタインはメンフィスのセキュリティ態勢の不整備を理由に、ビートルズをニューヨークのアトランティックに送ることを決めたと耳にしたという。クロッパーはそれでも、いつかはレコーディングに参加できるのではないかと希望を持っていた。『エプスタインが戻ってからおれに電話をくれたんだ。『次のプロジェクトまで待たなくちゃならないかもしれないな。今のアルバムのレコーディングは、もうほとんど終わっているからな』」


 ということです。ちなみに、ビートルズは、「ニューヨークのアトランティック」にレコーディングに行くこともありませんでしたが。

●また、オーティス・レディングによるストーンズのサティスファクションのカヴァーについて。


「アルバム収録曲の候補を探していたスティーブ・クロッパーは、ふと面白いことを思い付いた。「あれはおれのアイディアだったんだ。レコード店まで戻って(ストーンズの)レコードを手に取り、バンドのみんなに聴かせ、歌詞を書き取った。オーティスは<サティスファクション>を<~ファクション>じゃなくて<~ファッション>って歌ってるだろ。あれが最高だね。あそこにオーティスらしさがよく現れている。あいつはいつも、余計なことは何も考えずに、とにかく一気に歌うことが多かった。がんがん突っ走るみたいにね。あの曲のことは知りもしなかったよ。たぶん聴いたこともなかったと思うな。」フィル・ウォルデンもこれに同意する。「オーティスは歌詞に1、2回目を通しただけで、本当にいきなり始めたんだ。何の準備もなし。ぶっつけ本番で録ったんだ。ローリング・ストーンズのオリジナルは、一度も聴いたことがなかったね」(94頁)


「オーティス、サティスファクション原曲知らずに録音」説は、ちょくちょく目にしますが、こういうふうに語られると生々しさが違います。


Bowman_stax●ボウマンがスタックスについて調べ始めたのが1985年、出版が1997年と、出版まで12年を要した力作。雑誌の掲載記事をまとめた、「○○名盤100選」なんて本とは次元が違います。
 邦訳は二段組み、469頁。「スウィート・ソウル・ミュージック」も訳された新井崇嗣氏の翻訳文がこなれていて、非常に読みやすいです。

 INDEXがないのが残念ですが(DTPのご時世ならINDEX項目を抽出すること自体は容易なはず)、各頁に固有名詞が大量に登場するので、難しかったのかもしれません。

2008.09.05

ディラン写真集、「時代が変わる瞬間」(REAL MOMENTS)を買う

●当ブログに8月8日付で書いたバリー・ファインシュタインによるボブの写真集「時代が変わる瞬間」(原題 REAL MOMENTS)が出ました。

Realmoment1a_2 本夕(4日)、移動中に、「明日5日発売だけど、もしやもう並んでるかな?」と東京駅近くの某大規模書店をのぞくと、1冊棚に刺さってたので買ってしまいました。

 サイズがでかく、二重シールドだったので、本を開いたのは帰宅してからでしたが。

 フロント・カバーのでかい日本語が書かれた部分は帯になっていて、帯を外すと英語版と同じフロント・カバーになります。

●内容ですが、すべてモノクロ。撮影場所とファインシュタインの簡潔なコメント、という形で構成されていて、原文の英語部分も一部活かされました。


 159ページまでページが打たれてますが、そのうち137ページ(全体の約85%)までが66年ツアーの写真です。

 個人的には74年の写真を楽しみにしていたので、その少なさにちょっとガックリ。とはいえ、見たこともなかった写真満載でニヤニヤです。

●74年の写真は少ないながら、ファインシュタインが一番好きな写真と言っていた、ライブ時にステージ背後から捉えた、テレキャスターを抱えて微笑むボブの写真は、しっかり収録されてました。場所はLAフォーラムだったんですね。

 ステージから引き上げる?ボブがファンから一輪の花を嬉しそうにもらう、私の好きな(野次と怒号とは無縁の)74年ツアー時の写真はありませんでした。

 ゲテ物扱いされボロクソ言われている、74年ツアー時の写真(上の「花一輪写真」も)がかなり拝めるファインシュタインをメインにしたDVD は、やはりまんざらでもないんでないのと、あらためて思った次第(菅野ヘッケル氏も本書の解説で触れてます)。

 写真集の中はこんな感じです。

Realmoment4

●以上、秋のボブ祭り第1弾の始まり。

 第2弾はブートレッグ・シリーズvol.8で、第3弾はジャパンツアー???



Bill Pagel のBob Links によると噂された、秋の日本ツアーはキャンセルされたということです。

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