ウィンターランド最後の瞬間、あるいは We Bid You Goodnight
噂のお店は、単なる小休止、近々再開のようで。まずは、めでたしめでたし。
ということで、思わぬことから注目浴びることになった? We Bid You Goodnight について少々。
●このトラッド曲は、特に60年代末~70年代初期、80年代後半の一時期、グレイトフル・デッドのコンサート・エンディング曲の定番であったわけですが、おそらく最も美しかった瞬間は、1978年12月31日、サンフランシスコ、ウィンターランド最後のコンサートの時でしょう(と勝手に決めつけてみる)。
幸い、その晩の演奏は、FM と TVテレビで中継されており、今ではDVD(素晴らしい!)で見ることができます。演奏は神レベル(と勝手に決めつけてみる)。
当夜出演したブルース・ブラザースの片割れD.エイクロイドが張りぼての宇宙船に乗って登場して始めるお馬鹿過ぎるカウントダウン。続いて始まるオープニング Sugar Magnolia(多すぎる風船で舞台がしばらく見えない(笑)) 。アンコールの Casey Jones、Johnny B. Goode まで、6時間以上続いたデッドの演奏が終わっても誰も帰ろうとしません。
(もっとも、「ビル・グレアム ロックを創った男」(大栄出版)によれば「デッドの場合、コンサートが終わっても、そのまますたすた帰っていく客はいない」そうで)
ウインターランドでのショウ終了後の儀式、会場に流れる「グリーンスリーブス」。それでも誰も帰ろうとしません。映像はそこで終了。
そして、始まるのが We Bid You Goodnight
おそらく、帰らないオーディエンスに応えて、デッドのメンバー達が突然舞台に出て演奏が始まったのでしょう。
映像はすでに撮影はされてなかったと思われ、DVDでは、その箇所はフェイド・インのスチール写真。発売されている4枚組のCDでもフェイド・イン収録です(ただしDVDよりフェイド・インする箇所は早い)。
裏方さん達はすでに撤収体制に入っていたのでしょう。録音隊が慌ててテープを回す光景が想像できます。
We Bid You Goodnight 終了後、さらに続くのがビル・グレアムの長いスピーチで(DVDの英字幕で確認できます)、最後の言葉は、
「君たちは居たいだけここに居てもいいよ。いいね」
・・・・・・泣けますな。
●まさに、「これから規制退場を行います。皆様ご協力ください」「まもなく閉館でーす、お帰りくださーい」なんてのとは対極の世界。幸せな時代だったんですね。「ビル・グレアム ロックを創った男」の「第16章ウィンターランドの閉鎖」を読むと舞台裏では苦労もあったようですが。
おそらく今のアメリカでもこんなことは過去のノスタルジーでしかないでしょう。
ちなみに、ウィンターランドの閉館は、老朽化した建物(コンサートをやる度に天井から石膏が落ちてくるほど)の修理に莫大な費用がかかるため決められたそうです。
「ウィンターランド以降、サンフランシスコは様変わりしてしまい、ショウを見にいっても、共同体的な意識を感じることはなくなった」(ビル・グレアム、前掲書「第16章ウィンターランドの閉鎖」)
●ウィンターランドは、もちろんザ・バンド最後のコンサート「ラスト・ワルツ」(1978年4月11日)の会場であったわけですが、セックス・ピストルズ最後のコンサートもウィンターランドなのでありました。その場所には現在マンションが建ってます。
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