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カテゴリー「クラシック音楽」の36件の記事

2012.08.27

第20回サイトウ・キネン・フェスティバル松本のオーケストラ・コンサートを聴く

●長野県松本市で毎年開かれている音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」に行ってきました。今年で20周年ですが、もうそんなに経つかという感じ。10年くらいしかたってない感覚なので愕然。歳取るわけだ、こりゃ。

Matsumoto_saito2

 これも「夏フェス」と言えば「夏フェス」ですが、一泊の短期滞在だったので自分が聞いたのは残念ながらオーケストラ・コンサート1つだけ。ダニエル・ハーディング指揮サイトウ・キネン・オーケストラで、シューベルト交響曲第3番とリヒャルト・シュトラウス「アルプス交響曲」。2日目の8月25日の方。

●サイトウ・キネン・オーケストラはもちろん常設のオーケストラではなく、日本のオケ団員中心に海外のオケ団員等も参加した臨時編成のオーケストラなのですが、同じく非常設のオーケストラが弾くバイロイトやルツェルンの「フェスティバル管」同様、臨時編成的な不満感はほとんどありません。上手い奏者を寄せ集めれば良いオケになるわけではないので、精神的に核になるものがずっと続いているということなのでしょう(初期のメンバーはほとんどいませんし、亡くなってる方もいます)。

●今年は管楽器群に目を引く奏者が参加していて、例えばホルンには元ベルリン・フィルのバボラク、トランペットは現ベルリン・フィルのソロを吹くタルコヴィ、クラリネットはフィラデルフィア管弦楽団主席のモラレス等。シビアに聴けば毎年微妙に凸凹はあったりしますが、今年の管楽器群の分厚い響き、安定感は抜群でした。特にアルプス交響曲でのタルコヴィの演奏は素晴らしかったです。

 クラリネットを吹いたフィラデルフィア管のリカルド・モラレスも非常に印象的。彼は開演前にステージ上で音出し練習をしてたのですが、単に音階的なパッセージを吹いてるだけなのに暖かで柔らかい、均質な響きが素晴らしく、思わず舞台前方の方まで歩いて聞き惚れてしまいました。実際シューベルトのアンサンブルの中から聞こえてくるクラリネットはいい感じでした。この曲でクラリネットが目立つ箇所は少しだけなのですが。

●2曲ともかなり夢中になって聞けて非常に満足。特にアルペンの演奏はこの曲を生でこれだけの質で聴くことは二度とあるかな、と思ったくらい。そんなに演奏される曲ではないし、編成が大きく楽器編成が特殊なので外国の超一級のオケが日本公演でやる可能性も低いので(不思議なことに、来年の1月この曲を定期演奏会でやる在京オケが2つあります。読響と新日フィル。今後何十年もないような偶然、おそろしや)。

 ハーディングのシュトラウスは、今年新日フィルで「英雄の生涯」を聴いた時には、少し神経質というか、響きの繊細さを求めすぎるような印象があったのですが、この日のアルペンからはそのような感じは受けませんでした。

 公式のダイジェスト映像が見れます(冒頭から10分くらい)。

●92年に松本でフェスティバルが始まる前の87年にサイトウ・キネン・オーケストラが初めてヨーロッパ公演を行った時のキャッチは Philharmonic soloists of Japan (調和を愛する日本のソリスト達)で、この一文を考えたのは今年亡くなった吉田秀和だったと記憶してます。

 アンサンブルを志向するだけでなく、ソロイスティックな表現意欲に満ちた弦楽器群の演奏を聴くと、この一文が完全に音楽的に保たれているの実感します。斉藤秀雄も、音楽監督としてこのフェスの核になっている小澤征爾も(どんなに偉大でも)ただ1人の個でしかないし、参加者には初期のような斉藤秀雄との間接的な師弟関係すらないのに、音楽というのはどうしてこういうマジックを可能にしてしまうのかなと。

●このフェスのオーケストラ・コンサートでは終演後に全員がいったん退場後、再度オーケストラ団員、指揮者が全員一緒に仲間のように挨拶に登場するので、通常のシンフォニー・コンサートのように指揮者だけが一人呼び出されて喝采を浴びるシーン(いわゆる一般参賀)はないです。

 こういう振る舞いは、指揮者・オケ団員間には厳然としたヒエラルキーがあるべしと考えるような旧巨匠系的な美学を持った指揮者は出来ないように思います。そうだよね、ダニエル(笑)。古い美学の巨匠然とした指揮者はこの松本の指揮台に立つことはないんでしょう。

●会場から見える風景は東京のコンサート会場とは違いすぎ。短い滞在でしたが幸せな気分で帰宅。ちょっと疲れましたが。NHKの放送が楽しみ。(関東地区の放送は2013年1月、NHKではなくBS朝日でした)

Saitokinen

2011.03.17

ベルリン・フィルから日本の人たちへのメッセージ

主席指揮者サー・サイモン・ラトルと第1ヴァイオリンのセバスティアン・ヘーシュです。


2011.03.14

こんな時でも音楽を聴いた / ティーレマンの「ミサ・ソレムニス」

●少し前にUKから届いたブルーレイ。日曜夜にようやく視聴。金曜以来、まったく音楽を聴いていなかったのだけど。

Missasole_thieleman_skd_2●クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン。2010年2月13日に彼らの本拠地ゼンパーオーパーで行われた、ドレスデン爆撃戦没者追悼演奏会のライブ。ディスクの詳細はこのあたりで。

 ティーレマンのいつもの音楽通り、力ずく、ごり押すような部分は皆無、全体がほとんど完璧な設計図の下に冷静に進行していく感じ。絶叫調になりがちな Gloria、Credo ですら、バランス良く、響きの純度の高さを保ったまま進む。シュターツカベレ・ドレスデンの出す、刺激的とはかけ離れた響きの素晴らしさにもあらためて驚く。こんな室内楽的な透明感に溢れたミサ・ソレを聴いたのは初めて。

●会場にはゴルバチョフ元ソビエト大統領の姿。追悼演奏会なので、指揮者、歌手が登場しても拍手はなし。終演後の拍手もなし。終演後はしばらくの黙祷後、演奏者も聴衆も退席。

 発売は先のティーレマン/ウィーン・フィルのベートーヴェン全集と同じく C Major で製作はユニテル。日本語字幕が出るのもベト全と同じ。Amazon UK で送料込み18ポンドちょっと。



●数え切れない数の犠牲者、被災者がいらっしゃる中、職場に一夜缶詰にされ、満員の始発で土曜朝帰宅という、どうでもよい程度の不具合に見舞われただけの私は、帰宅後、来週行く予定だったコンサートのことを考えた。19日のミューザ川崎でのチェコ・フィルはホールの天井が崩落したため中止。17日のハーディング、新日フィル公演は前日に決定の模様(中止になりました)。

●「こういう時期にコンサートやるなんて不謹慎」という意見も見た。

 私は被災とはまったくかけ離れた立場のただのお目出度い人間。けれど、自分はどんな辛い時でも音楽が聴けたからこそ生きて来れたと思う。満員電車の中で癒され、心がズタズタに引き裂かれて眠れない夜も癒され、何の希望も見えない時でも音楽を聴いた瞬間にポジティブな気持ちになったり。そうして生きてきた。今の私の状況は被災とはまったくかけ離れたものだけれど。

●音楽家というのは、そういう喜びを人々に与えることを生業としてきた人たち。それが、ある日、「今お前達が仕事をするのは不謹慎だ」と言われる。もしその言葉が正しいなら、いつから演奏家は音楽を奏でるという仕事をすることが許されるのだろう。それは誰が決めるのだろう。批判があることは承知している。コンサートを成り立たせるための最低限の物理的な条件もあるだろう。でも、こんな時だって人間は音楽ができるんだ、という姿を私は見たい。

●フルトヴェングラーは戦火の最中にも指揮をしたし、ウィーン・フィルは砲撃音が聞こえる中でも定期演奏会をした。新響も終戦の半年前までは定期演奏会を続けた。もちろん悲惨な自然災害と戦争はまったく同じではないけれど。

●昨夜寝る前に、もしや自粛中かなと思って見たCS局のエロチャンネルが、平常運行でガンガン放映中なのを見て、これで良いと思った。もちろん電気は貴重だ。でも、快楽の喜びがあるからこそ生きていられるのが人間だと思う。自粛なんてことにはなりませんように。

●こんな時でも私は音楽を聴いた。

2010.06.19

マシュー・ハーバートによるマーラー交響曲第10番
(RECOMPOSED BY MATTHEW HERBERT MAHLER SYMPHONY X)

●あなたがクラシック音楽も好きで、CDショップのポップ系新譜コーナーで、名門ドイツ・グラモフォンの古典的なアートワークによるこのカバーを見つけたらギョッとするでしょう。私もギョッとしました。そして買いました。

RECOMPOSED BY MATTHEW HERBERT MAHLER SYMPHONY X
RECOMPOSED BY MATTHEW HERBERT MAHLER SYMPHONY X

 マシュー・ハーバート(Matthew Herbert)による、マーラー交響曲第10番。正式タイトルは、RECOMPOSED BY MATTHEW HERBERT MAHLER SYMPHONY X です。サンプリングの下敷きに使用されたのは、シノポリ、フィルハーモニア管の演奏。シノポリは第1楽章の録音しか残していないので当然素材は第1楽章のみ。

●私はマシュー・ハーバートという人をまったく知らなかったので、一度このCDを聴いてから調べてみたら、ポップ系のジャンルではけっこう有名な人だったのですね。特にHerbert名義での作品。サンプルも聴ける米Amazonので検索すると、こんな感じで出てきます。iTunes環境があればこんな感じで、ジャンル分類は electronic です。

 ビョークのアルバムをプロデュースした経歴もあるそうですが、私はとにかく彼については何も知らず。

●で、本盤のマーラーですが。

 約37分。便宜上10トラックに分割。上にあげたHerbert名義の作品のように聴きやすい音楽ではまったくありません。

 彼のプロフィールにあるようにミュージック・コンクレートからの影響が濃いですが、マーラーの10番が無加工に近い形で鳴る場面も多く、中途半端に原曲のイメージが呼び起こされます。もっとズタズタに切り刻んだ方がよろしかったのでは。

 原曲の再現部に出てくる金管の咆哮、特に有名なトランペットのロングトーンの場面がこちらでもクライマックスのように扱われていて、結構強烈なサウンドが聴けます。強烈過ぎてここだけ何度も聴きそう。でも、あなたの傍にいる人から「ステレオ壊れた?」と言われるかも。

●マーラーの音楽なんて何も知らない人が聴いた方が楽しめるかも。ショップのディスク紹介はこんな感じ
 紹介文によると、「ハーバートはカー・ラジオを棺に詰め、ジュゼッペ・シノーポリ指揮によるフィルハーモニア管弦楽団が演奏した第10番をそのカーラジオでかけて、その音を録音」、「プレリュードからのヴィオラのソロはウィーンにあるマーラーのお墓で新たに録音。その後火葬場でアダージオを大音量で流し、カーテンの後ろにマイクを置き録音した」とありますが、そんなこと音だけ聴いていてわかるわけありません。

●付属のブックレットにはハーバート本人による解説の他、シェーンベルク、ヴェーベルン、アルマ・マーラーがマーラーについて語った言葉の引用3つ。

 作者本人が語る動画。案の定、貶しコメントあり。コメント者の気持ちはよく分かる(笑)。


2010.04.03

ティーレマン、ミュンヘン・フィルの横浜公演を聴く/ブルックナー8番

Mp●ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の横浜公演。3月28日、みなとみらいホール。曲はブルックナーの8番で指揮は首席指揮者のクリスティアン・ティーレマン。

 ティーレマンとミュンヘン・フィルのコンビを聴くのは3度目。
 最初が2007年の日本公演、東京でのブルックナーの5番。
 2度目が、去年の5月にロンドンに行く途中に強引に立ち寄ったウィーンで聴いたブルックナーの8番。その時の感想は、この辺に書きました。

 ということで、ほぼ10ヶ月振りに自分の国、違うホールで聴く同じコンビ、しかも同じ曲の印象がどうなるのか興味津々で行ってまいりました。

●結果は、ほとんど同じ印象。当たり前か。

 第1楽章はテンポゆっくりで、音楽の表情もやや穏やか。展開部後半でオーケストラが大音響で咆哮する場面でも悲劇的な高揚感というかカタスロトフ感があまりしません。スケールは大きいし、全体の見通しのよい素晴らしいバランスで鳴るんですけど。

 第2楽章の主部もゴツゴツ感あまりなし。むしろ中間部でのリリカルな音楽が素晴らしい。当然、第3楽章は全曲の頂点。音のうねりの中でただ溜息。至福の二十数分間。

 終楽章はテンポの速め。ガツンガツン度も十分で聴き応え満点。

 ということで、ウィーン・横浜の2度とも、前半楽章、特に第1楽章に少々欲求不満感が残りましたが、ティーレマンにとっては、この曲の第1楽章というのはこういう音楽なのでしょう。まあ、全体的に力任せに押しまくるような演奏とは正反対の、慎重に慎重に頂点に向かって行き、最後は圧倒してしまうスケールのデカさみたいなものを感じましたです。

●まもなく出るこちらの4番、7番のDVDもほぼ同印象なので、ド派手な咆哮型の演奏がお好きな方には彼のブルックナーは物足りないかも知れません。自分はクラシカの放映を録画しましたが、画質・音質はずっと上でしょうから買おうかなと。あのドジョウすくいみたいな、下から振り上げる指揮姿が堪能できます。

Symphony No 4 / Symphony No 7
Symphony No 4 / Symphony No 7

●演奏後のお客さんの沈黙は上々。福岡公演はうるさい客がいたそうでミュンヘン・フィル公式ブログにまで書かれちゃってます。いったいブラボー馬鹿はいつ死滅するんでしょうか。

 ソロ奏者を立たせるシーンではティンパニー奏者にひときわ大きな拍手。お客さんはちゃんと分かってます。ティーレマンは一般参賀1回付きの大拍手。

 ティーレマンは2011年でこのオケの主席指揮者からの退任が決定しているので(次のポストはシュターツカペレ・ドレスデンの主席指揮者)、このコンビを日本で聴く機会はしばらくないかもしれません。

●日曜なので3時開演。早すぎる開演はちょっと苦手。

 でも演奏は大満足。

2009.12.07

テスタメントによる、ジュリーニ/ベルリン・フィルのライブ音源を聴く

●偉大なるTestament レーベルから出た、偉大なるジュリーニ指揮ベルリン・フィルのライブ音源から、ブルックナーの2曲を買ってみました。
 1984年2月録音の第8番と1985年3月録音の第7番。ベルリンの壁崩壊のわずか4、5年前。たぶん共に定期演奏会のライブ。当時ジュリーニは69才から70才にならんとしてた頃で、キャリアの頂点かと。

Giulini_berlin_testament

 当時は、NHK-FMで定期的に放送されるヨーロッパの放送局収録のライブ音源の放送日程をFM誌で律儀にチェックしては、せっせと聴く生活を送ってたのですが、85年のブルックナーの7番は、自分が驚愕しながら聴いた演奏で、カセットテープの録音を繰り返し聴きまくりました。あげくカセットでは音が物足りないのでブートにも手を出すわで。

●彼はこの2曲をほぼ同時期にウィーン・フィルとも演奏していて、ドイツ・グラモフォンはそちらの録音をリリースしたわけですが、ノヴァーク版準拠でアッチェレランドする7番の1楽章コーダで、付点リズムで咆哮する金管群の剛直さをベルリン・フィルの演奏で味わってしまうと、ウィーンの演奏はちょっと物足りないです。

●7番でのクラリネットの演奏が非常に素晴らしく、少し太めの音が印象的なのでザビーネ・マイヤーかな、と思ったのですが、Wikipediaの記述で調べるとマイヤーは例の騒動で退団したのが83年とあります。とすると、このクラリネットは誰なのだろう?

●昔放送で聴いたライブ音源のディスク化では、イコライズが過剰に施されてることがしばしばで、ディスクで聴いてがっくりということも少なくないのですが、このジュリーニ/ベルリン・フィルのブルックナーは当時聴いた印象と完全に一致する音質で、4半世紀前の当時の感動がまざまざと蘇ってきます。マスタリングは Paul Bailey.

●この演奏をオフィシャルリリースで聴けるとは至福。Testament恐るべし。

2009.08.12

廃墟ゾフィエンザールを見る

 盆休みでダラけてるので、廃墟訪問ネタでも書いておきます。

●50年~80年代にかけて、デッカ・レコードのウィーン録音会場として使用されたゾフィエンザールです。行ったのは5月下旬。

 クラシック音楽好きなら、デッカのウィーン録音のディスクに記載された「ゾフィエンザール(Sofiensaal)」というクレジットを数え切れないほど目にしていると思います。DGやフィリップスといった大陸系レーベルの音とは明らかに異なる、あの派手目でブリリアントなサウンドのウィーン録音の本拠だったのがこの場所。

 現在の姿です。

Sofi_front

 下は現役時(1965年)の姿。BBCのドキュメンタリー The Golden Ring のDVDより。

Sofi65

●ここでの録音セッションは無数にあるわけですが、デッカが当時専属契約していたウィーン・フィルの録音会場を、必ずしも録音向きとは言えなかったムジークフェライン・ザールからここに移したのは1950年代中頃でした。メインのプロデューサーだったヴィクター・オロフがHMVに移籍した機会に、後任のプロデューサー達が判断したようです。

 以下、デッカの名プロデューサーだったジョン・カルショーの「リング・リザウンディング(Ring Resounding)」(学習研究社刊、山崎浩太郎訳)より。


「ウィーン・フィルは(中略)ゾフィエンザールへの移動には強硬に反対した。ゾフィエンザールは舞踏会場で、会議などが開かれる場所だった。一時は水浴用のプールだったこともある。演奏会場だった時代にはヨハン・シュトラウスが指揮したこともあるが、そんな事実もウィーン・フィルには関係なかった。彼らの目には、さえない環境で不便なものとして映っていた。」(105p)


「《指輪》録音の期間を通じて、ゾフィエンザールのある場所を使用する必要がときどき生じた。そこは表通りに面しているので、通行止めにしないと録音することが不可能だった。しかし警察は、どんなときでも面倒を厭わずに(迂回させられる運転者たちのことは言うまでもない)私たちを助けてくれた。」(110p)


 正面にある道路は、車1台通るのがやっとという狭さで、それほどスピードを出して通過するわけではないと思うのですが、外部からの遮音はその程度だったようです。上のカルショーの著書によると、録音時に屋根の上にいる鳥たちが演奏に合わせて鳴くので困ったそうです。


 正面やや右より。完全に廃墟。建物右部分がごっそりなくなってます。

Sofi_side

 裏側より撮った2枚。廃墟、というか解体中。

Sofi_back1
Sofi_back

●この建物が建ったのは1826年。当初は Sofienbad と呼ばれるスチーム風呂場だったそうで、その後ダンスホールに改修。デッカの録音には56年から80年代中頃まで使用されたそうですが、2001年に火災によりダメージを受け、現在は上のような状態です。
 火災後、内部に入った方の貴重な写真がこちらで見れます。

 将来的にはアパートに改修される予定だそうですが、上の写真でわかるように改修というより建て替えに近いです。

 Decca のDVD、The Golden Ring で見れる録音時の内部。1965年のショルティの「神々の黄昏」のセッション。

Sofi65_gotter

●場所は空港からの電車が着くミッテ駅の東側、駅から徒歩10分程度です。音楽好きの廃墟マニアの方は現地に行かれることがあればどうぞ。こんなところに来る物好きはいないので人混みが嫌いな方はお勧めです。

 古い建物が多いウィーンですが、訪問時ミッテ駅は建て替え工事中で、敷地はほぼ更地。

Wien_mitte

 完成後は下のような姿に生まれ変わるようです。ちょっと町並みに合わない気もしますがどうなんでしょう。

Neue_mitte

2009.08.09

ラトル指揮ベルリン・フィルのブラームス交響曲全集

●サー・サイモン・ラトルのバリバリの新譜で3CD。

ラトル指揮ベルリン・フィル/ブラームス交響曲全集
ラトル指揮ベルリン・フィル/ブラームス交響曲全集

 日本盤のみ全4曲を収録したDVD2枚付き。しかも、DVD扱いで、CDのような再販指定商品からは外れるため値引きされ、4000円台で入手できます。ウマ~

 ということで、この不景気下に破格の商品で、売れるのは当然。クラシック系は新譜即買いとは無縁の私もポチっと。

●映像の方は予想通り、ベルリン・フィルの提供している有料のコンサート映像配信「 デジタル・コンサート・ホール」で使用しているものを流用したもので本拠地フィルハーモニーでのライブ。録音用セッションをまとめたCDとは別テイクです。DVDは、同サービスの日本向けプロモート目的の破格のサービスなのでしょう。CDのブックレットでもしっかり宣伝されてます。

 こちらの記事によると、同サービスのドイツ国外からの利用は日本からのものが最多だそうです。
 ヨーロッパ在住なら飛行機に乗ってちょっと飛べば生で聴けるわけですから、ただでさえマニアの多い遙か極東の利用者が多くなるのは当然なわけですが、マニア皆さんの地道な散財活動はこうしてちゃんと報われるわけですから、これからも皆さんせっせと散財しましょう。

●ラトルの音楽はいつもそうですが、音楽の表情が細部まで入念に考え込まれていて、手癖というか惰性で演奏してるようなところがないです。見方によっては気を衒っていてあざとい、ということになるんでしょう。私は好きですけど。

●DVDで見るベルリン・フィルの団員達は、いつものように大きなアクションで弾きまくっていて素晴らしいです。

 ヘビー・ローテーション状態。おかげでCDの方はまだ聴かず。

2009.07.31

PMFオーケストラ、2009年東京公演

 ヘロヘロのこの頃です。暑いですが、皆さん頑張りましょうね。

●札幌で毎年行われている教育音楽祭PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)オーケストラの東京公演を聴きました。前から聴いてみたかったのですがようやく体験。

 7月29日、サントリーホール。指揮はマイケル・ティルソン・トーマス(MTT)でマーラー5番とMTTの自作曲。

Pmf

●教授陣も舞台に乗るのかなと思いましたが全員学生さんのようでした。狭いサントリーホールの舞台に溢れるような人数のオーケストラを見て下品な私は「ニター」。

 コントラバスなんて10本。ヴァイオリンは6列でしたか。休憩時間中にオケのメンバーが出てきて音出し始めてしまうアメリカン・スタイル。

●大編成のせいか音がデカく、2階の上の方で聴いていた自分のところにもかなりのヴォリューム聞こえてきました。

 オーケストラは均質ないい音で鳴っていて、短期集中でもここまで仕上がるのだなと。オーディションで選ばれた学生さん達なので皆さん上手いです。音楽学校の学生オケ体験はそれほどありませんが、だいぶ前に聴いたジュリアード音楽院のオケと比べても立派な出来だったと思います。

●生MTTは初体験で、自分の中の彼はメジャーになり始めた頃の青年指揮者といった印象が強かったのですが、1944年12月生まれなので現在64歳。

 60年代から活躍してるロッカー達と同じ世代ですが、イケメン、スレンダーで格好良かったです。それにひきかえクラプトンのあの腹はなんだ。どっちがロックだよ(笑)

 評判の良いサンフランシスコ響とのマーラー録音も聴かずに行ったのですが、リリカルな部分でゆったりと歌わせるところなど、こちらの勝手なイメージとは異なり意外でした。この指揮者はもっと聴こう、っと。
 札幌でのMTTの会見の様子はこちら

●1ヶ月続くお勉強の仕上げ、PMF公式日程の最後の公演なので、終演後は、舞台上で学生たちの打ち上げモード全開の抱擁大会。プロのオーケストラの公演では味わえない良い光景でした。

 7月のフェス中は、本拠札幌の野外会場で芝生に寝ころんで聴ける公演もあるのでそちらもそのうち。

2009.06.13

ジミ・ヘンドリックスの住んでいたアパートをうろつく

 ディスクもそんな買ってないので、旅ネタ追加しておきます。

●1968年から1969年にかけて、ジミ・ヘンドリックスがロンドンで住んでいたというアパートに行ってみました。

 オックスフォード・サーカスの交差点から南にボンドストリートを進み、ブルック・ストリートという通りを西側に入ってすぐです。例の青い円形のEnglish Heritage の表示があるので、事前に位置と外観を確認しておけばすぐ分かると思います。

Jimi_house

 このアパートについて、ハリー・シャピロ著「エレクトリック・ジプシー」(岡山徹訳、大栄出版)にこんな記述があります。

「(ガールフレンドの)キャシー・エチンガムは、自分とジミのためのアパートを自分で決めるようになっていた。彼が金を送ってくると、二人はメイフェアーにあるブルック・ストリート25番地に引っ越した。  (略)  そのアパートは、かって17~18世紀に作曲家のジョージ・フレデリック・ヘンデルが住んでいた場所だと分かった。ジミはこれにえらくご満悦で、ヘンデルがやったようにここで作曲すると言い出し、キャシーにヘンデルのLPを全部買ってくるように言ったりした。ある面で、ヘンデルは当時のジミ・ヘンドリックスだった。ヘンデルはかってヴォクスホール・ガーデンのリハーサルを見にくるだけで1万2千人の観客を集めたことがある。音楽を勉強している学生などは、そのアパートを見学に来て、ツアー・ガイドがジミ・ヘンドリックスなので唖然としたものだ。」(下巻140p)

 そりゃ唖然とするわな(笑)。

 引用文中にあるように、右の建物(Brook25番)は18世紀にヘンデルが住んでたところで、現在、当時の内装に復元した上でヘンデル・ハウス・ミュージアムという博物館になっていて5ポンド払えば中に入れます。

 白い建物(Brook23番地)がジミのアパートで、右の茶色の建物(Brook25番地)がヘンデル・ハウス。旗はヘンデル・ハウスの案内です。

Jimi_house2

 青い円形表示の拡大です。「ジミ・ヘンドリックス(1942-1970)ギターリスト・作曲家 1968-1969 にかけてここに住む」。

Jimi_plaque

●上のシャピロの著書ではジミのアパートはBrook25番地となってますが、ミュージアムのフロアマップを見るかぎり、ジミの住んでたアパートはBrook23番となっています。

 ミュージアムがBrook25番なのでジミのアパートには入れないように見えますが、Brook23番の建物の2、3階部分(あちらでいう1st、2nd Floor)にミュージアムが拡張されているので部分的にですが入れます。
 23番の3階の裏庭側の一部屋にはかつてそこにジミが住んでいた旨の説明文とジミの写真6点が飾られてます。

 下は、2003年にこちらで開かれたらしいジミに関する催しのポスターです。どんなものだったかは残念ながらわかりません。

Jimi_poster

●ヘンデル・ハウスの方にもちょっと触れておくと、館内は当時の室内が再現されていて床の軋み音がすごいです(笑)。展示物は復元されたベッド、楽器、自筆譜、肖像画といったシンプルなものですが、250年タイムスリップしたような感覚になれます。そっち方面に興味があればそれなりに感慨に浸れると思います。

 館内の一室が演奏家のためのリハーサル室に開放されていて、自分の訪問時は、チェンバロとリコーダーという編成で若い演奏家がリハーサル中でした。あちらの木で内装された部屋っていい音で響きますなあ。

 見物後に裏庭で、ジンジャー・ベイカーみたいな顔したも物乞いに、「なー、何ペンスか恵んでくれないかなぁ」と話しかけられましたが、自分の未来のような気がしたので1ポンドあげました。わはは。

●繁華街のオックスフォード・ストリート、リージェント・ストリートやビートルズのアップル・ビル(空きビルになってました)のあるサヴィルも近いので、行きやすいです。お出かけの際はどうぞ。

 周辺の雰囲気はグーグル・マップでヴァーチャル体験できます。


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