ボブ・ディランのブートレッグ・シリーズ第11集はベースメント・テープス集
●リリースされるのは、Complete というタイトルの6CD138曲収録の完全盤と、Raw というタイトルの2CD38曲収録の抜粋盤の2種類。
The Basement Tapes Complete: The Bootleg Series Vol. 11
ディラン・ファンには有名な、バイク事故後の隠遁期のザ・バンドとのセッション音源。75年に The Basement Tapes という2枚組で公式にリリースされたものですが、それに先立って、ロック史上初のブートレッグ、Great White Wonder で世に出た音源です。
●公式ソースでは、
・ガース・ハドソンが、資料研究をしてるジャン・ハーストという人との共同作業でテープを修復
・新たに発見された、Red Room と呼ばれるディランの自宅の部屋で録音された音源を収録
・Garth Hudson's numbering system によって実際の録音順に収録
ということが発表されてます。
また、1975年に公式盤 The Basement Tapes として発表されたときの加工された音ではなく、「1967年の夏」に実際に演奏、録音された時の音に近づけているとされていますが、先行で公開された Odds and Ends の音はブートレッグで聴ける、ヴォーカルが片チャンネルに寄った左右チャンネルに分離した音ではなく、ヴォーカルがセンターに定位した調整された音になってます。
●リヴォンの自伝によれば、彼がウッドストックで他のメンバーに合流したのは1967年の終わり頃(それ以前の録音にリヴォンは不参加。ドラムを叩いているのはリチャード・マニュエルですが、ドラムレスの録音も少なくないです)。その後も録音はもちろん続いたので、ベースメント・テープスの音源は今回のリリース情報にある「1967年の夏」だけではなく、67年から68年にかけてまたがってるはずです。
データ等の詳細はブックレットで明らかになるはずなので楽しみです。収録順を決める基準になった Garth Hudson's numbering system というものがどんなものなのかは不明ですが、リヴォンの伝記には「あのとき何曲が録音されたのか、正確な数字を知っているのはガースだけだ」と書かれているので、ガースは後から辿れるようなデータ記録を残していたのかもしれません。
●90年代に入ってから大量に非公式に流出し始めて、100曲以上の曲が聴けるようになっているベースメント・テープス音源ですが、マスターを持っていたというガースは以前、自分は音源の流出には関与していないと語ってました。マスターのコピーを持っていたと思われるボブのマネージャーだったアルバート・グロスマンがなくなったのが1986年なので、音源はグロスマンの死去後のグロスマンの周辺から漏れたと考えるのが自然なんでしょう(ただの推測です)。
ちなみに。75年リリースの公式盤と今回の収録曲を突き合わせると、75年盤の収録曲は今回のディスクの3、4枚目に集中しています。2トラックのレコーダーで録音された音質はピンキリ。先行公開の Odds and Ends はもちろん「ピン」の方です。
●11月4日発売。国内盤は11月19日予定。
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