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2014年8月の記事

2014.08.19

UNCUT誌8月号のクラプトン・インタビュー その2

Uncut3●お友達に面白いねと言ってもらったので、少し付け足します。実は前回、ここも書こうかな思いつつ明け方まで粘って力尽きました。

 カバー曲について述べている、「逃げてると思うだろうけど。」の部分の続きです。とっても興味深いことを言ってます。

 インタビューワーは、「それは謙虚すぎるように思えますが」と、どんぴしゃりな問いかけをするのですが、それに対してECは、「謙遜かどうかはわからない。はぐらかす戦術かもしれない」と答えてます。

●それに続くやりとりが以下の部分。


- インタビューワー: 何をはぐらかすんですか?

 ハードワークにならないようにはぐらかしてる。でも、分からないというか、ある程度までは、カバー曲をやるのは簡単な抜け道なんだよ。カバー曲をやろうとしたら、まず曲を習得しなきゃならない。That Lucky Old Sun をやったとしようか。素晴らしい歌だよね。「なんだ、出来るじゃない」って思うんだよ。そこまでが自分の諦めみたいな結論。そのうえで「何だ、出来るじゃない。ちょっとレイ・チャールズっぽくやってみようか。でもギターでだよな」。ところが、ダンスフロアに出て、どうプレイするか分かってるピアノ弾きと一緒にやるとしよう。あれこれコードを覚えなきゃならなくて、それでもちゃんと鳴らせないんだよ。実際は、まさかと思うようなチャレンジしなきゃならないことが、どんとひとまとまりでやってくる。ちゃんと歌詞が分かってるように、歌いこなさなきゃみたいな感じでね。それで、曲の中に入り込んで、偽物ぽくない、他のたくさんの古いカバーみたいに出来るにはどうこの曲を解釈すればいいか考えなきゃならない。ある曲を解釈するのは、一曲書くより骨が折れる、それが自分が言ってること。ある程度までやって、そこで止めてしまって、「なんだ、簡単な抜け道じゃない」っていうのが、ありがちなんだよ。でも、昔の曲に息を吹き込むっていうのは、もっとタフなことなんだ。

●まあ、実に誠実と言うか。何気ないカバーの背後にこんな思索があったとは、という感じです。ダンスホールで演奏するなんて、今のECにはあり得ないわけですけど、そういうことまで想定して曲を解釈してるということです。立派。

 自分の経験では、たまにプロのリハーサルを見る機会のある時に(バンドじゃなくプロのオーケストラですが)、意外なところにこだわって繰り返しやり直したりしてるのを見て、自分が考えたこともなかった曲の意外な側面が見えてきたり、ここはこんな音が背後で動いてたんだ、みたいに目からウロコになることがあるんですね。だから聴く側も、一度聴けば全部分かるぜ、みたいな自信家の人以外は、「なんだまたカバーかよ、けっ!」なんてタカをくくらずにちゃんと聴いてあげましょう(笑)。

●あと、前回紹介した部分にあった「働きたくない」とか、今回も「ハードワークになりたくない」という部分がありますけど。それは単純に怠けたいというのとは違うんじゃないのという気もします。以前、デレク・トラックスがECから学んだことは、「弾き過ぎないこと、エリックが弾き過ぎないのは作曲する人だから」みたいな発言をしてましたけど。作曲する人は弾き過ぎない、という、凡人には理解しがたい深い話はともかく、音楽やるのにテンパった、余裕のない状態になりたくない、みたいなそんな感覚なのかなと、思うのでした。

●インタビューワーは Graeme Thomson という人です。それにしても、「それは謙虚すぎるように思えますが」って、さりげなくいいツッコミしますね。

2014.08.17

UNCUT誌8月号のクラプトン・インタビュー

Uncut●UNCUT誌の2014年8月号にクラプトンへのインタビュー記事が載っていて、とても面白いので紹介します。自分は身の周りに物が増えていくことに対する嫌悪感がじわじわ広がっているので電子版で買いました。本は紙で読む方が好きなんですけど。

●最近のクラプトンの話題と言えば、一つはもうツアーを止めるんじゃないかということ。これは日本ツアーの時にもすでに話題になっていて、ツアーパンフにも彼自身のそのような言葉が載ってたのは多くの人が知っていると思います。もう一つは、近年のアルバムが古い楽曲のカバー・アルバムになってきているということ。どちらについても、結構語ってます。

●まず引退について。

やりたいことは山ほどあるけど、引退ということも視野に入れている。来年は70歳。JJは賢明にそうしたけど、彼は70になったら自分の中では(unofficially)引退だと言ってた。無理のない範囲でレコーディングは続けていきたいけど、どこに行くにも時間がかり、人質になるみたいなツアーは、耐えられず、億劫になってきた。空港を往復し、飛行機にのったり、車で移動したりで。他人にずけずけと自分の生活を乱されたくないという気持ちが強くなりすぎたんだ。昔はそういうのも楽しかった。旅は楽しみだったし、色んな風景を観るのも楽しかった。新たに人と会って、違うカルチャーに触れたりするのもね。でも今はカルチャーはグローバルになってしまった。どれも皆アメリカの別バージョンなのは残念で退屈だね。インターネットのお陰で生活は捗ったけど、別のところに身体で移動するということが機能しにくくなってる。10年もすると、家から出てどこか別の所へ行くなんて出来なくなるんじゃないの。

 家から人が出なくなるとかはさすがに極論だと思いますが。自分が面倒になってきたことを語っているうちに、イヤイヤ感情がますます膨らんできていらんことまで口にするといいますか。あんた言い過ぎだ(笑)。

 それはともかく、上のような感覚というのは誰しも加齢にともなって共通して抱くようになるものだと思うわけです。刺激や好奇心よりも、自分にとって本当に必要な最小限の人や物に囲まれて暮らしたいみたいな。ストーンズみたいな勢力旺盛な人たちもいますけどね。インタビュー中で、自分の代名詞みたいな曲をさらに作りたいとは思わない。他の有名な曲と同じくらい気に入ってるのはレプタイルに入ってて、妻のことを歌ってる Believe In Life。控えめで、表に出ない小さな感じが好きだ、と語ってますけど、そういう小市民志向とツアーを嫌う感覚というのは裏腹なんでしょう。「アルバムのために何かツアーをするとかは考えてない。80年代みたいにアルバム作ってツアーなんてことをする可能性もあるかもしれないけど苦痛でしかないだろう」とも言ってるので、大規模なツアーがなくなるのは間違いないんでしょうね。

 むしろ、気になったのは、

(ステージでギター渡されたらやってみたくなる)Tell The Truth、Pretending、Sheriffみたいな曲は、古い肘掛け椅子みたいなもの。レコードではいい感じでも必ずしもステージ映えしない曲を仕上げるのは骨が折れる作業なんだよ。わかってるだろうけど、働きたくないんだよ。

みたいな発言なんですね。こういうのってヘタすると創造性の枯渇、陳腐化になりかねないので。「働きたくない」って、あなたねえ。

 まあ、70歳なんて定年年齢ですから仕方ないんでしょうけど。例えばコンサートのセットにしてもEC1人に決めさせたら刺激に乏しいルーティーンになってしまうのは、近年散々見てきたわけで。出来るだけ楽してもいいから、ドイル・ブラムホールみたいな若旦那を置いておいてですねえ、ある程度自分を刺激する部分を残して置かないとダメになりますよ。まだまだ Breeze みたいな作品を集中して作ってしまうエネルギーはあるようですけど。

●もう一つ、アルバムにカバー曲が増えてることについて。上にも書きましたが、「自分の代名詞みたいな曲(killer song)をさらに作りたいとは思わない」とはっきり言い切ってるわけですね。過去の曲について、こんなこと言ってます。

自分も最初は「丘の上の人」とか「枯葉」みたいな曲から始めて、そういう曲は脳みその一部みたいになってしまってるんだけど、そういう昔の曲の自分のバージョンなんてブルース・バージョンにしかならないだろうって、いつも思ってる。どうやってプレイしたらいいかわからないし、かっこいいバージョンを仕上げてやろうとも思わない。ロバート・ジョンソンが「ブルー・ムーン」をどんな風に歌うか聴けたらと思うよ。どういうことか分かる? 自分のカバーなんて、視野の狭い(ignorant)ブルース・バージョンでしかないんだ。それが好きなんだけどね。前にボブがビング・クロスビーの古い曲を彼が自分流にやった(rewrite)アルバムを聴いたんだけど、コード進行はその曲固有の(identical)ものであることに変わりはないんだ!と 思ったね。「何がしたいか分かったよ。過去に戻ろうとしてるんだろ」って。どんどん過去に戻って、戻って、パーセルやヘンデル、ヴィヴァルディの頃にまで戻ってみれば、自分の流儀や解釈のヒントが見つかるだろうって。でも、いざそうやってみたら、自分の価値を判断されることから逃げるために、たぶんメッセンジャー的な役割を果たそうとするんじゃないかな(笑)。僕を責めないで、自分はただのメッセンジャーだから。僕の価値なんて判断しなくていいから、コピーしてるだけだからそれを聴いてくれ、って。逃げてると思うだろうけど。

 カバー曲をやる理由というより、過去曲をカバーする難しさを語っているわけですが、この後に「曲を作るより、過去の音楽をきちんと解釈する方が難しい」と言ってるので、じゃあカバーをやるのはなぜよ、と思う人もいるでしょう。ただ、ボブ・ディランもそうですが、老境に入るにつれ、過去の音楽の枠の中に入って自己表現したい欲求って、やはりあるんでしょう。猪突猛進する中から新しい物を生み出す気力よりも、すでに形としてある様式のきちんとした物の中で簡潔な自己表現をしたい欲求とでも言うんでしょうか。自分はボブやECの近作にも魅せられてる人間ですが、ロックに若い人間の猛進するパワーみたいなイメージしか持たない人はそういうのは理解しにくいと思いますね。無理に理解しなくていいいですけど(笑)

 メッセンジャー云々、というのはECがカバー曲やるときはあまりオリジナルをいじらないこと(古典ブルース曲集 From The Cradle ですらそうだったです)を思い出すと率直な本音なのかなとも思います。

●最後に、あと一つだけ触れると、手本にしたくなるようなギタリストはいますかの質問には、カート・ローゼンウィンケルと答えてます。「ジャズギター・プレイヤーで、流れるようなプレイをする。本当に天才だよ。人間的にも良いし。耳で聴いたことを頭で受け止めてダイレクトに反応してプレイできる。自分はそんな風にはできない。古ぼけた同じ文法(phraseology)に従ってやるか、前もって準備しないと対応できない。本当のジャズ・ミュージシャンで、敬意に値する」と言ってます。ローゼンウィンケルは去年のCGFにも出演していて、DVDではオープニングのバックに彼のギターが流れてますが、ECの敬意の現れなのかもしれません。

Uncut2

●その他にも色々興味深いことを語っているのですが、私も気力がなくなってるので興味のある人は買って読んでください。面白いので、そのうち日本の雑誌に翻訳でも出るのではないですか。

2014.08.13

Puss n Boots のデビュー作、No Fools, No Fun

Pussnboots●脱力系オルタナ・カントリー・グループ(でいいのか)、Puss n Boots のデビュー・アルバムです。レーベルはブルーノート。グループ名は「長靴をはいた猫」のもじり。

 メンバーは全員女で、ノラ・ジョーンズ、サッシャ・ドブソン、キャサリン・ポッパーの3人組。どうしてこんなアルバムを名門ブルーノートから出せるのか、と思うようなレイドバックしたサウンドですが、それはもちろんメンバーの1人にノラ・ジョーンズがいるからです(笑)。こういうことをさせて貰えるのも、ノラの莫大なアルバムセールスという実績があるからで、まあ世の中そういうものです。ドブソンも、ポッパーも調べるとすでに知名度のある人ですけど、自分は全然知りませんでした。ポッパーはリヴォン・ヘルムで知られるミッドナイト・ランブルのバンドに参加歴があり、リヴォンが亡くなった時に立派な追悼文も書いてる人でした。

●2008年から「活動」しているということですが、元々は、ノラがブルックリンでドブソンと一緒にギターを教わるグループに参加していたのが始まりとのこと。やがてポッパーが加わり、ライブ活動は本当に内輪の友達の前で、自由に好きな歌を唄うことからスタート。なんの計画もなしに何度か活動しているうちに、なんとかバンドっぽく成ってきて、レコード作れるんじゃないかとも思うようになり・・・って緩いわ(笑)。

●タイトルの No Fools, No Fun (お馬鹿になれなきゃ、楽しくない)は、収録曲 Bull Rider の歌詞の一節から取っていて、まあ、見事にこのアルバムの内容を表しているというか。カントリー方面の知識のある人はニンマリする曲がけっこうあると思いますが、自分はザ・バンドの Twilight とニール・ヤングの Down By The River をやってるのにつられて買いました。あと、ノラの最近のグループ The Little Willies がとても気に入っていて、そっち系のサウンドだったので。The Little Willies よりもっとユルユルですけど。

 Down By The River(ライブです) でのノラのギターソロはプロとしてはどうなのよ、という出来ですが、いいんです許します。サビのコーラスのガーリーポップ風の響きも面白いし。ポッパーのベースは本職なのでさすがに立派です。

●プロモ動画を見ると、女子ノリというか、男がいないとこうなるかい、と思うくらい3人ともリラックスしていて、そういうノリが良いなと思う人は楽しめるでしょう。

 下はメンバーが一曲ずつ説明してる動画ですけど、その辺の姉ちゃんがお茶飲みながら雑談してるみたい。その下の Don't Know What It Means はノラが日本ツアー中に書いた曲だそうです。

●歌は上手いです。って当たり前だ。YouTubeに公式動画がたくさんあり。米Amazon限定盤だと2曲多く自分はそれを買いましたが、聴き逃すのがもったいないその2曲は日本のiTune Storeで買えます。

Puss n Boots / No Fools, No fun

1. Leaving London (Tom Paxton)
2. Bull Rider (Live)(Rodney Crowell)
3. Twilight (Robbie Robertson)
4. Sex Degrees of Separation (Sasha Dobson)
5. Don't Know What It Means (Norah Jones)
6. Down by the River (Live)(Neil Young)
7. Tarnished Angel (Live)(Roger Miller)
8. Jesus, Etc. (Jeff Tweedy)
9. Always (Catherine Popper)
10. GTO (Jeb Loy Nichols)
11. Pines (Catherine Popper)
12. You'll Forget Me (Sasha Dobson)
-Bonus-
13. Cry, Cry, Cry
14. In A Shanty In Old Shanty Town

2014.08.07

クラプトンの2014年中東・アジアツアーのドキュメンタリー Planes, Trains And Eric が11月に発売

●SNS上のクラプトン系のグループによると、今春のクラプトンの中東・アジアツアーのドキュメンタリーが11月に発売されるようです。発売は Eagle Rock の模様。155分というのはかなり長いです。

Planes Trains and Eric
Planes Trains and Eric

●タイトルは Planes, Trains And Eric で、ツアー中の日常を追ったドキュメンタリーのようですが、収録曲14曲がすべてフル演奏で収録というのはうれしい。日本ツアーのセットは18曲でしたからかなりの曲が聴けますね。

●気になるのは日本ツアーの映像の量ですが、カバー画像見ると新幹線が映っているし、そもそも「飛行機と電車とエリック」ってタイトルにしても、春の中東・アジアツアーで電車移動する国なんて日本しかないので、日本での映像が含まれているのは間違いないはず。

 今年の日本ツアーではECの日本でのアリーナ公演では異例の大型モニターがステージ左右上部に設置されてましたが、あれはこのドキュメンタリー映像の収録を兼ねていたということなんでしょう。

●当然日本盤も出るはず。Blu-rayは輸入盤で買って、ライブ音源をむにゃむにゃするためのDVDは国内盤で買おうかな。

Planes, Trains And Eric

1) Tell The Truth
2) Pretending
3) Crossroads
4) Driftin’
5) I Shot The Sherriff
6) Little Queen Of Spades
7) Layla
8) Wonderful Tonight
9) Key To The Highway
10) Before You Accuse Me
11) Tears In Heaven
12) Cocaine
13) Hoochie Coochie Man
14) High Time (Credits – Audio Only)

Bonus Track
1) Nobody Knows You (When You Down and Out)
2) Alabama Woman

●予告編が出たので追記。2月の日本ツアー最終日で話題になったレイラ演奏中のコメントの一部が見れます。

2014.08.04

Eric Clapton & Friends: The Breeze (An Appreciation of JJ Cale) を聴く

Ecbreeze_2●楽しみだったクラプトンのJJ. ケイル(1938-2013)へのトリビュート・アルバム The Breeze (An Appreciation of JJ Cale) が届きました。繰り返し聴いてますが、いいですね。全16曲。

●発売までに何度も見ていた印象的な表カバーのイラストは貞本義行氏でした(ブックレットに記載があります)。ECの Pilgrim のカバーのイラストを描いた人、というよりエヴァンゲリオンの人といった方が世間では通るんでしょうか。ブックレット裏面の Special thanks に Udo Artists, Inc と表記があるので、最初はウドーが何を手伝ったのか不思議に思ったのですが、Pilgrim の時と同じく、貞本氏への作画依頼のコーディネイトをウドーが担当したのでしょう。Pilgrim のカバーはあまり好きじゃないのですが、これはいいなあ。

●ECは全トラックで弾いてますが、他の参加メンバーはドラムはジム・ケルトナー、ベースはネイザン・イーストで固定のようです。ただし、Additional Drums という表記もあって、その数名の中にJ. オールデイカーの名もあり。EC以外にギター弾いてるのはペダル・スティールのグレッグ・リースを入れて12人。誰がどのトラックで弾いているか、ちゃんと記載されているので助かります。

●プロデューサーは Old Sock から引き続きサイモン・クライミー。音作りは Old Sock にそっくり。特定の楽器を際立たせるとか、クラプトンのギターだけを目立たせるとかは絶対にしない(もっとギターを目立つようにして、と感じる人もいるでしょうけど)。ものすごく緻密なのに、すべての楽器が全体のアンサンブルの中にバランスよく融け合ってる感じ。もっと参加者の「個」の違いを浮き立たせて欲しいと思う人もいるでしょうけど。クライミー自身が担当した Drum Programming という表記もありますが、ギミックな箇所はまったくなし。ほんと才人です。

●USAのAmazonで面白いメイキング映像が見れますが、驚いたのが、デレク・トラックスが参加したあの06/07年のECツアー中、唯一JJ.ケイルがステージに登場したサン・ディエゴ公演(2007年3月15日)の映像が所々断片的に入ってたこと。全部見せて~(笑)

●収録曲のうち、Someday(マーク・ノップラー)、Songbird(ウィリー・ネルソン)、Train To Nowhere(EC、マーク・ノップラー、ドン・ホワイト)の3曲は未発表曲。

 みんな、JJみたいな歌い方をしてて、微笑ましいです。Cajun Moon のボーカルはクラプトンですが、ダブル・トラックみたいに聴こえるボーカルはJJとハモってるみたいに聞こえます。どうすればこんな歌(音)にできるのか不思議。ほとんどの曲が2、3分台で終わっていて、あっという間にフェイド・アウトしてしまう曲が多いのもJJぽいというか。Cajun Moon なんてECの2ndソロが始まった途端にフェイド・アウトされていくので、オイオイって感じになりますが、JJ. ケイルという人の作った音楽の枠というか流儀に従えばそれで正しいのでしょう。

●EC以外のボーカル(トム・ペティ、マーク・ノップラー、ジョン・メイヤー、ドン・ホワイト、ウィリー・ネルソン)は皆素晴らしく、自分はECの歌より彼らの歌に魅せられたかも。自分のアルバムでも Call Me The Breeze を歌ってたメイヤーの Magnolia なんて予想以上に嵌ってます。独特の悪ガキぽい感じのはずのトム・ペティも全然浮いてないというか、まるで「JJフィルター」かけたみたいな歌で、ブラインドで聴かせたら誰が歌ってるのか分からないのではないですか。

 ウィリー・ネルソンの歌はもう別格で、未発表曲ということが信じられないSongbird(デヴィッド・リンドレイがラップ・スティール弾いてます)なんて3分切る長さなのに、JJのちょっとこじんまりとした音楽を遥かに超える彫りの深い巨大な音楽になっていて、茫然と聴き惚れてしまいます(こういう歌はJJの音楽じゃないと思う人もいるでしょう)。ドン・ホワイトの歌う I'll Be There は節回しが演歌みたいになっててちょっと可笑しい。

●各人のギターも、派手に目立つようなソロがないからこそ逆に面白いというか、ECが歌う Since You Said Goodbye のスライド(JJのオリジナルとよく似てます)は最初デレク・トラックスかなと思ってクレジット見たらドイル・ブラムホールでした。ECとトム・ペティのダブル・ボーカルの I Got The Same Old Blues でのECの歪んだ音色の格好いいソロは、オブリガートの延長でそのまま余裕で弾いてる感じ。同曲でギター弾いてるレジー・ヤングも音数は少ないですが、彼としか言いようのない音が聴けます。 I'll Be There でのECのドブロや、アルバート・リーのこれまた彼としか言いようのないソロとか、The Old Man and Meでのグレッグ・リースのペダル・スティール等々…ほんと楽しいです。

●プロモを兼ねたインタビューを基にした記事が色々と出てますが、The San Diego Union-Tribune紙に載った記事(Eric Clapton speaks up for J.J. Cale)によると、クラプトンは去年の8月のJJの葬儀に向かう時にすでにこのプロジェクトを実行しようと思っていて、飛行機の中ではどうすればトリビュートにふさわしい内容にできるかずっと考えていたそうです。葬儀の際にJJの伴侶でバンドメンバーだったクリスティン・レイクランドとマネージャーにこのプロジェクトについて話した後は、(嫁さんの故郷である)オハイオの自分のスタジオに行き、2週間で24曲ほど作り上げたとのこと。レコーディングに先立って、レイクランドから未発表曲を収めたCDを渡されていて、アルバム収録の3曲の未発表曲はそれが基になったと思われます。

 その後の作業は9月にLAで(リンク先のインタビューでは最終仕上げは英国でとのこと)。ゲストの部分はそれぞれ別スタジオ録り。作業は、最初にサイモン・クライミーがPro-Tools上で、JJの曲に少しずつキーボード、ギター、ドラムを重ねる作業をしてからJJの部分を除去。そうして作った複写(facsimile)を使って、同じキー、同じ長さで演奏し、すべての楽器を入れ替えてしまったそうです(自分はレコーディングの技術や工程のことはまったくわからないので誤解があるかも)。曲の長さがオリジナルとだいたい同じ(少し長め)になった理由がわかりました。

 クラプトン曰く「JJのように歌おうとしたけど、別の物を作り上げた達成感もある」(I try to sing like John, but I still felt we got to a place where we achieved other things.)ということです。平凡かもしれないけどこのアルバムの出来をシンプルに表している言葉かなと。常にレイクランドの確認を取るように作業を進めていったそうですが、そういうところは律儀で偉いです。

●JJ. ケイルという人は、毎日店の同じ場所に立って蕎麦を打ち続ける蕎麦屋のオヤジというか、そういうことを黙々と何十年も続けるような、限りなく控えめだけど、仕事の跡にはしっかりと個人の名前が刻まれてるような、そんな人だったのでしょう。クラプトンはそういう生き方に憧れるのかもしれないけど、あなたはそういう生き方をするにはあまりにも派手でスパーブな才能を持ちすぎてます。最近引きこもり願望出てるみたいですけど(笑)。

●でも、いいアルバム作ってくれました。天に召された友人と、残された人のためにこんなことができるなんて立派です。

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