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2014年3月の記事

2014.03.01

エリック・クラプトンの2014年日本ツアーを観る

●ツアー開始前は初日と最終日のチケットだけ買ったのですが、結果的に4公演を観ました。以下、4公演の間の、10日間のただの自分史。ちょっとレビュー。

Ecjapantour2014

●2013年ツアーに参加していたグレッグ・リース(スティール・ギター)とドイル・ブラムホールが抜け、リズム隊は強烈なグルーブを叩き出すスティーブ・ジョーダン&ウィリー・ウィークスからスティーブ・ガッド&ネイザン・イーストに変更。自分は去年のメンバー、セットで見たかったという気持ちが強く、さてどんなセットで来るのかと興味津々で迎えた初日、2月18日日本武道館。

 一曲目 Tell The Truth のイントロが鳴った瞬間、ああ、それなのね、と軽く失望しました。それが私の正直な気持ち。TTTに続く、Key To The Highway、Pretending、Hoochie Coochie Man が聴き慣れたアレンジで淡々と演奏されるのを聴いていて、最近のクラプトンはドイル(たぶんこの人がセットリスト選びの黒幕)のようなアクの強い番頭さんや、ウィンウッドみたいな自分と対等のカウンターパートがいないと、平凡に流れてしまうのよね、という印象のまま私のクラプトン2014年日本ツアー初日は終わりました。ご陽気担当のネイザンもなんか地味だったし。レゲエ・リズムの Wonderful Tonight イントロのミストーンは(大阪でもやらかしました)、お歳を取れば God も木から落ちますという感じ。本当に木から落ちて頭打っちゃったキース・リチャーズよりはいいか(笑)。

●良かったのは、去年のツアー(音源)で感じたポール・キャラックの弾くオルガンの素晴らしさ。私的にはECバンド歴代キーボード奏者としてはビリー・プレストンと並んで最強。バッキング、ソロも良いですが、彼が歌う Honest Man や High Time We Went のグルーブ、高揚感がなかったら今回のツアーは少し味気ないものになってたと思います。ECのソロが、キャラックのソロ直後に回ってくる場面では、明らかにECはONになっていて、淡々とソロを取るECとは別人でした。こういうのを向こうの人は chemistry というのでしょうけど。いっそセットリストの選択にもどんどん口挟んでくれたら良かったのに(笑)。

●中間のアコースティック・セットはとても良かったです。フルスロットルでかっ飛ばす必要がない、ああいう雰囲気の方が今のECは、無理なく素晴らしさが味わえます。定番の Driftin' は表現の引き出しの多さにいつも驚かされます。Tears In Heaven は去年のツアー同様レゲエ・アレンジで、グレッグ・リースが弾いていたスティール・ギターのパートはクリス・ステイントンがスティールギターの音色を模したキーボードで弾きました。自分の子を失うという体験から生まれた曲とは思えないような軽妙なアレンジ、うつむいて力なくつボソボソと歌ってたこの曲の当初の歌いっぷりとはまったく違う強い歌い方。過ぎていった年月の大きさ、曲というものは、それを作った当時者の中ですら、客観的な「作品」として自立していくのだということを思わずにはいられません。

●終演後は、恒例のステージ前に全員横並びでのお辞儀。この儀式、東京での最初の2公演でしか見られませんでしたが、この儀式を止めたのは、バッキング・ヴォーカルのシャロン・ホワイトの足の怪我のせいかなと思いました。21日は歩くのも辛そうでしたので。

 でも勝手なもんですね。Tell The Truth なんて2006年に何十年ぶりかでセットに入った時は狂喜してたくせに。なんてことを終演後の宴で友人達と話して帰宅。

●帰宅してから、公演前に買ったまま未読だったパンフレットに載ったEC自身の序言を読んで、心は千々に乱れました。

 明らかに自分のキャリアが終わりを迎えつつあることを自覚したECの言葉。「たぶんお別れツアー(probable farewell tours)になるであろうツアーの始まり 」、「ひょっとしたら、もう戻ってくることは出来ないかもしれない」、「どのくらい続けられるか分からないし、歳をとるに連れ、家族と家で過ごすことにより惹かれるようになった」…

 こんな気持で選んだメンバーが今回のメンバーです、というECの言葉を読んだら、そうだよね、もうちょっと心して聴かなきゃだめだよね。去年のツアー・メンバーの方が良かったなんて言わず、もっと大切に聴こうよ、と深く自分に言い聞かせたのでした。我ながら単純。

●というような感じ。そして、時間が出来たので初日から中2日挟んで、当日券で見た日本ツアー3公演目の2月21日、日本武道館。当日券は武道館の1階北東スタンド。ステージ真横、少し後方から眺めるような席。音は劣悪でしたが、ステージに近いこの席、視覚的にはある意味最高。実際のステージより少し高い位置からの眺めは、メンバー間のコミュニケートの様子が丸分かり。まるでスタジオ・セッションを見学するような体験でした。

 ECとお仲間達は、楽しそうに演奏していて、パンフに載った「お別れ言葉」なんて完全に忘れて見てました。実際ステージ上はそんな雰囲気全然なかったし。うーん、自分はちゃんと音楽「だけ」に集中して聴けているのか、言葉に酔わされてるのか、音楽「だけ」を聴く必要なんて別にないのか・・・取り敢えず平常心で残りの公演を見ましょうという気持ちで帰宅。

●その後の横浜、名古屋公演を称えるファンの皆さんのコメントを嫉妬まじりの気持ちで読みながら、友人のピンチヒッターとして、放浪者気分で大阪公演に参加。公演直前に慌ただしく短距離とは言えない移動をし、宿からホールまでどう行けばいい、最寄り駅行きはこっちのホームでいいのか、終演後の飯食う場所はあるのか等々悶々としてホールにたどり着くと、さすがに疲れてちょっと眠く、集中力を欠いたまま鑑賞。そういうのは演奏者にも言えるのかなという印象のECバンド。ソロの入りでロング・トーンを多用したりちょっとお疲れ感あり。

●迎えた日本ツアー・ファイナル、2月28日、日本武道館。でも、これが最後とかいう気持ちは全然なく、普通に武道館に向かいました。もしかして東京にいるストーンズの人、出るかもとか邪悪な期待はちょっとあった(笑)。結果的には、自分の見た4公演中、最高でした。演奏のどの部分が他よりどう上回ってたとかではなく。公演中所々体験できた高揚感、感傷、終わってからの満足感、充実感等々、全体の印象がこの日はMAXでした。

●ECの声域からすると低い音で歌い出す Pretending は、大阪でも感じましたが、かつてのECに比べるとヴォーカルにちょっと力がない印象。その後も淡々と聴いてましたが、多くの人が褒めている Sheriff のソロは本当に素晴らしく、この日のECはここを堺に On Fire になった感じ。

 Sheriff 演奏後は、いつも冷静で大人しい武道館のお客さんも大拍手。拍手はアコースティック・セットの準備中も延々と続き、ECが椅子に座っても続き、ECがポロポロとギタを弾きはじめてようやく収まったのでした。自分がクラプトンのコンサートで味わった中でも、忘れがたくなるであろう至福の時。Sheriff の演奏中はECってこんな体動かしてギター弾いたっけ?と思いましたが、68歳のギター奏者にとっては、たぶん肉体的にはMAX、限界なのでしょう。こういうのは生で観てこそ味わえる至福。鳴ってる「音」だけが「音楽」じゃなくても私はそれでいいです。ミーハー万歳。そういう瞬間を味わえる幸運を神様に感謝、ギター・ゴッドにも感謝。

●キャラックが素晴らしかったのは今さらなのですが、Little Queen Of Spades でのキャラックのソロでは、他のメンバーも巻き込みものすごい状態に。キャラック・ソロ場面でのスティーブ・ガッドは、ちょっと腰の重いビートを刻むいつものガッドとは別人。フィルが入りまくり、スロー・ブルースの4ビートから逸脱するようなビートでキャラックに襲いかかるような感じで、これがガッドかと思うような茫然とするような瞬間でした。この曲ではクリスのソロも素晴らしく、手癖のクリシェとは無縁。会場が聴き惚れて静まり返ってました。こういう瞬間を味わってしまうと、複数公演追っかけるようなヤバい人になる危険があるので、皆さん気をつけましょう。

 Crossroads 冒頭の無伴奏ソロは、1分程度とは思えないようなワウ踏みの印象的なソロ。パウゼ挟んでそのまま Crossroads のリフに入るのかなと思ったら、また少し無伴奏で弾いたりと、まあそういうことやらかす時はご本人は気分がいいというか好調の証。ソロ1コーラス目は Wheels of Fire でのソロを思い出すような瞬間(もちろんあれほど流麗でも激しくもありませんが)があったのですが、楽理に強い方は分析お願いします。

 本編ラストのCocaine はお馴染みの「ネイザン・イントロ」ですが、最終日はECとネイザンが距離を置いて居合抜きでもするように向き合って応酬してましたが。これって別の日でも見れましたっけ。少なくとも初日は普通に並んで演奏してたような記憶なんですけど。

 アンコールの High Time We Went(ジョー・コッカーの曲ですが、クリス・ステイントンも共作者)での主導権はヴォーカルを取るキャラックに委ねられていて、エンディングで立ち上がってキュー出すのもキャラックで、ECは気持ち良さそうにバッキングに徹してました。2001年のUSツアーのアンコールで、ビリー・プレストンにビリーの持ち歌 Will It Go Round In Circles 歌わせてたのと同じような心境なのかなと、思いました。俺のコンサートは俺が締めるみたいなこだわりのなさがいかにもEC。

●自分を含む長年聴いてきた、うるさ型の人には、やや平凡で今ひとつ魅力に乏しいセット・リストについて。

 コンサートが終わって素晴らしければ、セットだけがコンサートじゃないよ、といつも思うのですが、最近毎年見ている山下達郎が、コンサート中の語りでこんなことを言ってます。

 曰く、セット選びについて、自分のコンサートは今では親子2世代で観に来るお客さんもいる。最近の自分の曲を知り興味をもって見に来てくれる人もいる。そうするとどんな曲を演奏すればいいのか選択に悩んでしまう、マニアックな選曲をすれば一部の人は喜ぶだろうけど、それが楽しめない人もいる。だから、セット選びは本当に難しい。こんな感じの内容。ECはそういうことをコンサート中に語ったりはしませんが、たぶんECにも共通するんでしょう。Wonderful Tonight、アンプラグド版の Nobody Knows You、Layla、Tears In Heaven での大きい拍手を客席で体験すると、スレた私もこれでいいのだ、とバカボンのパパのように呟いて、自分を納得させたのでした。 同じようなブルースばかり、と思ったあなた。いつも同じようなのがブルースという音楽です(笑)。ECは最近作るアルバムとコンサートの内容が乖離しすぎてますが、まあ、それも含めて、これでいいのだと思うことにします。

●最終日の Laylaの途中では、「40年間ここで演奏してますが、まだ生まれてなかった人もいるでしょう。演奏する最高の場所、世界で最高の場所です。来てくれてありがとう」(I've been here for 40 years, before some of you were born. The best place I've ever played. The best place in the world. Thank you for coming.)という信じられないようなコメントも出て、さすがにこの時は鬼の私もジーンとなって涙腺が緩みかけました。We Love You, Eric という叫んだお客さんに控えめに Thank you と応えるシーンも。40年前は酔漢として武道館のステージに現れた29歳のギターリストは、今は68歳になり、こんな姿で同じステージの上、我々の前にいるのでした。

●自分が見た公演では、終演後に膝に手を置いて丁寧にお辞儀をしていたクラプトンですが、これが日本での最後のコンサートだという思いは、自分には全然ありません。根っからのミュージシャンのこの人がライブ演奏を辞められるとは思わないし、The Best Place In The World とのたまった落とし前として、体の動くうちはまたふらっと来て演奏していただきましょう。B.B.みたいに椅子に座って演奏したっていいです。もしロンドンでしか見られなくなったら、無理をしてでも行くかもしれない。でも自分には、生まれて、大人になって、歳を取っている所で見るクラプトンが最高なのでした。

2014budokan

Eric Clapton 2014 Japan Tour

1 Pretending (初日は Tell The Truth と曲順入れ替わり)
2 Key To They Highway
3 Tell The Truth
4 Hoochie Coochie Man
5 Honest Man (vo/Paul Carrak, song by Lowell George)
6 Wonderful Tonight
7 After Midnight (横浜公演からは I Shot The Sheriff)

-seated-
8 Driftin'
9 Nobody Knows You When You're Down And Out
10 Alabama Woman Blues (song by Leroy Carr)
11 Layla
12 Tears In Heaven

13 How Long (vo/Paul Carrack)
14 Before You Accuse Me
15 Crossroads
16 Little Queen Of Spades
17 Cocaine

-encore-
18 High Time We Went (vo/Paul Carrack, song by Joe Cocker & Chris Stainton)


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