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2014年2月の記事

2014.02.16

テデスキ・トラックス・バンド、2014年日本ツアーを観る

●2012年2月の日本公演からちょうど2年振りの来日。デレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンドとしての2010年フジロック出演を入れると夫婦バンドとしての来日は3度目。

 前回の日本公演があまりにも素晴らしかったので東京の3公演(2/6 渋谷公会堂、2/10 Shibuya-AX、2/11 昭和女子大学人見記念講堂)を見ました。

 以下、ランダムに印象に残ったことを。

Ttb2014a

●今回の東京は3公演とも大入り満杯。客層は圧倒的に男だらけ。どの日も売り切れ表示が出ながら当日券はありましたが、2月11日は20数枚のチケットが瞬殺だったようで、自分が着いた時は、スタッフの方が「完売御礼 当日券の販売はございません」という札を持って立ってました。その側で「チケット譲ってください」札を持った人も数名。2012年はチケットの売れ方がスローだったので、今回も追加公演は客が少なかったらイヤだな、と思ったら大間違い。

●3公演ともそれぞれ違う雰囲気で面白かったのです(お客さんの反応の良さは、スタンディングだった2/10が最高)が、今は最後に見た最終日が、一捻りあったセットのせいか、あるいは単に最後に見たせいか、深く余韻が残ってます。

 2年前の前回の最終日もデラニー&ボニーの Comin' Home が飛び出すサプライズがあったのですが、今回も途中から入るはずのドイル・ブラムホール2世が最初から登場して「おお、さすが最終日」とニヤニヤしていたら、鳴り始めたのは聴き慣れたギターのリフ。これはなんだっけ?と思ったら、Wah Wah と歌い出したので仰け反りました(TTBのレパートリーですけど)。このジョージ・ハリスンの曲、ご存知のように途中ホーンのカッコいいリフが入るのですが、もちろんそこはTTBのホーン隊が担当。あのホーンのリフ、生で聴くとメチャクチャカッコいいですね。

●最終日だけ演奏された曲は、ハウリン・ウルフの 44 Blues、ドミノスの Anyday、DTB時からのレパートリーでマイク・マティソンがヴォーカルを取る Get What You Deserve、ジョン・プラインの美しいバラード Angel From Montgomery で、どれも楽しめましたが、私的には、デレクが引っ込んで、スーザンとキーボード、ベース、ドラム1人という小編成で演奏された Angel From Montgomery に聴き惚れてしまいました。

 スーザンがソロ時代からカバーしているこの曲、TTBのショーでは定番のレパートリーで、去年1月のフロリダではこんな感じで演奏されてます。

 この映像では、Angel From Montgomery と、デレクが途中から入るグレイトフル・デッドの Sugaree がメドレーになってますが、この日はデレクは出て来ず、4人の小編成のまま Sugaree の歌詞が Angel From Montgomery の静かな雰囲気を持ったまま歌われただけで、上の動画とはかなり違います。

 終演後に見せてもらったセットリスト紙の記載は ANGEL>SUGAREE となっているのですが、どういう流れの演奏にするかというのはおそらく現場で瞬間的に決められるのでしょう。全5公演で歌われた Midnight In Harlem のイントロ部も、初日はこの曲の演奏の定番であるデレクのラーガ風のソロの他、テナー・サックスのかなり長いソロがありましたが、東京の他の2公演ではサックスのソロはありませんでした。いたる箇所で聴けたそういう即興的に変化する部分がとても興味深かったです。

●前回の来日公演の時にも書いたのですが、録音で聴くだけでは(シャウト気味の箇所など)ちょっと荒いところがあるのかなと思ったスーザン・テデスキのヴォーカルは生で聴くとそういう印象はなく、特に今回はどこか余裕を持ったまま歌いこなしているという印象。さらに良くなってる感じでした。All That I Need や Shelter のような曲を聴けば分かりますが歌の表現の幅がとても広く、一本調子のシャウト・ヴォーカルだけの人では絶対にないです。ギターも Palace of The King では、デレク、ドイルに伍して弾いてしまうのですから立派。前回より Susan! の掛け声も多く飛んでたし(笑)。

●今回帯同することになったドイル・ブラムホールは、もともとTTBの曲作りやレコーディングにも参加してるので準メンバーみたいなものですね。ドイルが入ったことで、スーザン、マイク、ドイルという3人のヴォーカルが聴ける豪華版になりました。

 ドイルは、最終日のWah Wah 以外では、中間の5曲とアンコールで登場(アンコールは初日のみバッキング・ヴォーカルだけ。他の4公演はギターも弾きました)。別表にまとめてみましたが、性格の異なるバラエティーに富んだ5曲で聴き応えありすぎ。特に Palace of The King(2/10 公演はスーザンの Everybody Like Freddie King? のコールに応え、Yeah! でスタート) は、ドイルがワウの効いたギターを弾くトリプル・ギター・バトルでド迫力の興奮状態。この曲、マイク、マーク、スーザンの3人でヴォーカル歌い分けてました。

Doyleset_3

 ドイル・ブラムホールという人は、デレク・トラックスのように、どんな瞬間でもとんでもないレベルでこなしてしまうというには不器用なところがありますが、ハマった時(例えば最終日のSt. James Infirmary)のソロはやはり素晴らしいです。例によってあまり動かずプレイする旦那より、スーザンにベタベタくっ付いて演奏するヤバいシーンもありましたが、うーん、まあいいんでしょう。旦那がそれでいいなら(笑)

●全日演奏された曲では Midnight in Harlem がイントロだけでなく、1コーラス終わった後でも拍手が起きてましたが、名曲ですから当然ですね、はい。マイク・マティソンのヴォーカルを聴かせる曲 I Know も名古屋以外の全日で演奏されましたが(名古屋は More & More)、最終日は早めのテンポで、マイクのヴォーカルはノリノリでしたが、バンド全体のグルーブも半端でなく、私の数列前にいたピーター・バラカン氏が思わず立ち上がって踊り出すくらいでした。これ、証拠写真。

Ttb2014b

 セット全体では2作目の Made Up Mind の曲が多かったです。アンコール前の最後に演奏された The Storm はアルバム同様に終盤のデレクのソロが凄まじい迫力(2/10公演では弦切ってました)。この時のスーザンはどの日も途中で演奏を止めて、コーラス隊の台にお座りして旦那のソロを見つめてました。

Ttb2014c

●個々のメンバーにもちょっと触れておきます。キーボードのコフィ・バーブリッジは、Bound For Glory では、冒頭のゴスペル色濃厚のソロ、中間は一転しての音色の違う2台のキーボードを引き分けるファンキーなソロと大活躍。初日のアンコールの Space Captain のソロもかなり聴き物でした。固定メンバーになったベースのティム・ルフェーブルについては、デレクは絶賛してますが私の素人耳では手堅くバンドを支えるという印象。前任の華麗なるオーテイルと比べるのはちょっと酷かもしれません。ホーン隊はアンサンブルのリフだけでなく各人がソロを取る場面もあり、3人とも地味なアンサンブル奏者のレベルを遥かに超えてます。マイク・マティソン(愛嬌のあるおっさん風ですが実はハーバード卒の学位持ち)がバッキング・ヴォーカルというのも勿体ないですが、もう1人のバッキング・ヴォーカルのマーク・リヴァースも部分的にソロで歌います。とにかく全員の技量がとんでもなく高い。

●演奏以外の話では、2/10の公演では椅子のある2階席で、18日から始まる日本公演のリハーサルのためにすでに来日していたクラプトンがドイルと並んで見ていたそうです(ドイルは自分の番でステージへ)。実現していたら初となっていたTTBへのクラプトンの飛び入りはならずちょっと残念でしたが、ご本人のライブのいい刺激になってくれたら良いかなと(笑)。

 2月15日時点で、大阪以外の4公演の音源がArchive.orgに上がってます。写真は撮影可だったので載せました。

●とにかく素晴らしいバンド。こんなバンドを現役バンドとして味わえる幸福。毎年生で聴きたいと思うのですが、渇望感を持ちつつ聴ける2年位のペースでもいいのかな。次は何時でしょう。

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