ボブ・ディランのブートレッグ・シリーズ Vol.10 について
●次作がちょうど10作目になるボブ・ディランのブートレッグ・シリーズですが、内容は1969-1970年の音源になるようです。
毎年4月に行われてるインディペンデント系レコード店を支援するイベント、Record Store Day 用の商品に、この時期の音源2曲(Wigwam と Thirsty Boots)を収録した7インチ・シングルがVol.10からの先行ということで先頃リリースされてます(左写真)。ソニーの公式サイトで買ってみたのですが、アナログ・プレイヤーを外したままなのでまだ聴けてません。ちょっと不思議な曲である Wigwam については、カバーの裏面には「デモ・ヴァージョン」と書かれています。Thirsty Boots はエリック・アンダーソンの曲。
ディランのファンジン ISIS では Self Portrait セッションのアウトテイクやオーバーダブを省いた音源がもっぱら指摘されてますが、他のサイトによると Nashville Skyline から Dylan までの音源ではないかということです。
●この時期にリリースされたアルバムをリリース年順(録音時期はクリントン・へイリンの The Recording Sessions 1960-1994 から。主なセッションのみ)に見ると、
1969 Nashville Skyline(69年2月ナッシュヴィル録音)
1970 Self Portrait(69年4月、5月ナッシュヴィル録音、70年3月NY録音)
1970 New Morning(70年5月、6月NY録音)
1971 Greatest Hits Vol. II(71年3月、9月NY録音)
1973 Dylan(70年6月、71年11月NY録音)
一言で言えば「ナッシュヴィル期」ということになるんでしょう。
リリース時期は73年にまで及んでますが、73年リリースの Dylan は、アサイラムに移籍の決まった後に契約上の理由で Self Portrait と New Morning のアウトテイクから作られたアルバムで、ディラン本人は制作に関与してません(米本国ではCD化されていないし、過去にCD化された日本でも再発はなく品切れ状態)。
Self Portrait は2枚組の大作と言えば聞こえはいいですがポップソングのカバーとワイト島のライブ音源中心で自作曲は少ない変なアルバム。グリール・マーカスにローリング・ストーン誌のレヴューで「何なんだこの糞は?」と書かれてしまったそうですが、誰だって1曲目の All The Tired Horses を聴けば同じような感想を持つでしょう。自分も愛聴盤とはほど遠く、ろくに聴き込むことなく今日に至ってます。
クリントン・へイリンの本によると、ディランはこの時期にカバー集とオリジナル集の2枚のアルバムを作ろうとしていたとありますが、Self Portrait はそれにワイト島のライブ音源が混ざって、グチャグチャになった印象です。この時期のセッションのデータはへイリンの本やオロフさんのサイトを見れば分かるのですが、実際にはどんな音源が残されてたのか、Vol.10 が楽しみです。
●70年の5月1日にはジョージ・ハリスンとNYのコロンビアのスタジオでセッションをしていて、それらはブート等で非公式に聴けますが、ハリスンの音源を収録するとなると契約上の問題もあるので、はたして収録されるんでしょうか。ザ・バンドとのワイト島でのライブ音源(69年8月31日)の未発表分もありますが、そちらもどうなるのか。
●Vol.10のリリースは秋でしょうから、それまでに Self Portrait や New Morning をもっとちゃんと聴いて、その時期の周辺についてちょっと私的に整理してリリースに臨もうかなと思います。真面目。
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コメント
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何なんだこの糞は?
・・・べつに深いイミはありません。自分も言ってみたかっただけです

そもそもSelf Portrait、通して聴いたことないし
アルバートホールよりも新フェスティバルホールに行きたいぞ

アルバートホールでディランは観たことないがフェスティバルホールでならあるし
何なんだこの糞コメントは?
投稿: ブルー爺 | 2013.05.04 09:22
まだUKなんですか?もしかしたら永住、あるいは国籍取得とか。笑
新フェスは山下達っつぁんの新フェス・デビューを昨日体験しました。
ネガティブ意見も出てますが、私はいいホールだと思いましたよ。
旧フェスの神様も十分許してくれるはず。
帰京したらこちらにちょこっと書く予定。
投稿: Sato | 2013.05.04 11:12