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2013.03.14

クラプトンの Old Sock をさっそく聴いてみた

●ジミ・ヘンドリックスの最後とされる公式アウトテイク集も面白かったですが、色々思い、何か書いてみたくなるのはやっぱりこの人。惚れた者の弱み。

Old Sock
Old Sock

 海の家のオジサンみたいなカバーだけど(裏カバーは冬の山小屋の管理人)、内容は素晴らしかった・・・見栄えとギャップありすぎ。

●すぐ分かるのはサウンドがものすごく緻密に作り込んであること。数回聴いたくらいじゃとても把握しきれないくらい緻密。ここは誰のソロ、次は誰のソロなんて単純なサウンドではなく、アンサンブルが重層的に重なり合うサウンド。なのにボテボテした分厚い感じがなくものすごく繊細。平凡なカバー曲集なんかでは絶対にないです。もちろんクラプトンだけでなせることではなく、他の共同プロデューサーたちの技によるところも大きいはず。一番の貢献者はやはりサイモン・クライミーか(ミキシングはクライミー1人でやってます)。

 それすら分からず「クラプトンのギターってさあ、もうあれなんだよね」とか言ってる人は、音楽を一面からしか聴けないただの未熟なダメな人、とはっきり言ってしまいましょう(こういう音楽が好きでないのはかまいませんけど)。今回、共同でプロデュースに復帰したサイモン・クライミーが担当した Pilgrim も作り込んだアルバムでしたが、Pilgrim にあったギミックぽさというか、楽器よりマシーンを感じさせるようなところが全くありません。

●とにかく、ものすごく幸福感の伝わってくるアルバム。音楽も詩も両方ともハッピー。タジ・マハールのハープが聴ける1曲目の Further On Down The Road から、ずーっとハッピー。Born To Lose のような涙ためて微笑む、みたいな曲も含めて。

 サンプルで全曲聴けるようになった時に、なんでレゲエが多いの?と単純に思いましたが、今の(というか少なくともこのアルバムを作っている時の)ECの中から自然に湧き出してくる幸福感とよく合うのがレゲエという音楽だったということなのではないですか。それは、コーラス部分がレゲエの Every Little Thing の後半で、EC娘たちの拙いけど可愛らしいコーラスが入ってくる部分を聴いても実感します(この3人娘コーラス効果はすごい)。ブルースでこの幸福感を出すのは不可能。ブルース求道者のたどり着いた境地がレゲエのオジサンかい、って、まあ良いでしょう(笑)。

●ギター・ソロは大げさなところがなくシンプルで本当に良いです。これまたレゲエの Till Your Well Runs Dry でのギター・ソロなんてあっさり弾いてるようでものすごくドラマチック。以前は何十小節もかけて力んで表現してたことを、数小節であっさりとやってる感じ。本アルバム中、多くの人が期待するようなヘビーなギターを弾いてるのはGotta Get Overですが、このアルバムの中ではそれすら異質に感じられてしまいます。

 2011年のソウル公演のシットダウン・セットで淡々とギブソンのセミアコを弾くクラプトンを見て(ツアーが進行するにつれて普通のアコースティック・ギターに変えてしまいましたが)、この人はもうクロスロードとかコカインとかで頑張ってギター弾かなくてもいいんじゃないかと思いましたけど、前作やこういうアルバムを聴くと私的にはだんだんその気持は強まります(楽理的、演奏技術的な分析は私にはできないので、その筋の方はいつものように後でこっそりおしえてください)。

●Still Got The Blues はこのアルバム中、唯一「闇」の見える曲。ストリングス付きのアレンジのせいもありますが、もうレイ・チャールズみたい。そこに被さるウィンウッドのB3オルガン。うーん、この曲苦手だったのに完全にやられました。レコード会社の中の方、これ上手くプロモートすれば売れますよ。日本人好みのマイナー曲想だし。「哀愁のヨーロッパ」とか「ホテル・カリフォルニア」を目指してみたらいかがですか。有線とかどうでしょう(笑)。

●収録曲の全タイトルが発表された時に分かった新曲2曲は、どちらもドイル・ブラムホール、ジャスティン・スタンレー、ニッカ・コスタの共作。要するにクラプトンの曲はこのアルバムに1曲もありません(ソロ後では、ブルース・アルバム以外史上初)。でも、今のクラプトンには、誰が作った曲か、いつ作られた曲か、自作曲が入ってるかなんてどうでもよいことなんだと思います。

 誰の曲か謎だった Angel はJ.J.ケイルの曲。Your One and Only Man はオーティス・レディングの曲でしたが、ここもタジ・マハールのハープ付きのレゲエ・アレンジでオリジナルとは似ても似つかない歌、演奏。真面目なオーティス・ファンが聴いたら怒るかも。でも、レゲエ・アレンジになっても、Take These Blues という歌詩で始まるサビの部分から漂ってくる匂いは紛れもなくオーティス。

●録音時期、場所、スタジオの表記は一切ないのがちょっと謎(参加ミュージシャンから想像するとたぶんLAのどこか)。旧作のアウトテイクが入ってたり、録音時期には幅があるのかもしれませんが、アルバム全体に不統一感はありません。

 参加ミュージシャン全員のクレジットはありますが、個々の曲での担当は不明。ドラムは当初伝えられたガッド、ケルトナーの2人だけではなく、エイブ・ラボリエル・Jr.、ヘンリー・スピネッティの他、マット・チェンバレンの名まであります。クリス・ステイントンはピアノは弾かず、クラヴィネット、フェンダー・ローズ、ウーリッツァー、B3だけを弾いてます。ウォルト・リッチモンドの弾くピアノはとても良くて、ツアーメンバーに入ってないのが残念(ごめんねクリス)。All of Me でマッカートニーが弾いてるベースが何かは聴いてのお楽しみ。ツアーメンバーにも入ってるグレッグ・リースのペダル・スティールはやはりかなり印象的。Still Got The Blues 冒頭でのウィンウッドのB3の存在感はもう圧倒的・・・・と書き出したらキリが無い。この曲のこれは誰だろうとか色々考えながら聴く楽しみ満載。

●おそらく、クラプトンという人が作ったアルバムの中で一番幸福感に満ちたアルバム。今の自分にはそういう音楽こそ、とてつもなく大きいです。ラストがペダル・スティールの美しい「我が恋はここに」って、もう完璧。終わった後の余韻も素晴らしい(この後にボーナストラックなんて入れるのは愚劣です)。恥ずかしいけど最初に通しで聴きながら何度もジーンとなりました。明るいポジティブな作品なのに。もしかしたら、今年の私的ベスト1にもう出会ってしまったかもしれないくらいの気分で聴いてます。しばらく、ずっと聴き続けそう。同時に、今まで同様Repriseレコードからのリリースだったらこういう作品は可能だったか、とちょっと考えてしまいました。偉いさんにもっとブルースやロック入れろとか言われたんじゃないかなと。

●今日から始まるUSツアーではどうなるんでしょうねえ。従来のショーとガラリと変わったらスゴいです。でも、巨大アリーナの大歓声の中でこのアルバムみたいなインティメイトな雰囲気を出すのは無理なので、たぶんいつものやつでしょう(笑)。

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コメント

おはようございます♪
一昨日の朝、自板に身勝手なミーハー・レビューを書きましたが、表現の仕方は違えど、Satoさんの受けた感想に激しく同意!です。一部の曲を除いて、様々な曲調の中に何とも言えない“然り気無いカントリー・テイスト”を私は感じ、それが堪らなく良いと思ってます。(思い込んでます?笑)
今Satoさんの感想を読んで初めて気が付きましたが、わたし自板でのレビューの際に、スライド・ギターとペダル・スチールをごちゃ混ぜにしてしまい、カントリー・フレイバーを感じた要素を“スライド・ギター”とアピールしてしまってました。この場をお借りして、お詫びし訂正させて頂きます。
・・・て、人様のブログで謝ってどうする?笑

すろはん庵での激賞カキコ見て、
これは褒めすぎだろう、酒抜けてないかぁ〜、
と思ったんですが。

聴いて見たらすんごいアルバムでした。
疑ってごめんなさい。

まあ、詫び訂正はどこでやっても同んなじじゃないかな、世間は狭いし、わはは。

自分的には絶賛とまでは行きませんが、今作はかなりの好盤だと私も思っています。が、海外からは相当辛辣なコメントも少なからず聞こえてきます。とくにコア・ファンを自認する層からの声が。
それらの多くが、楽曲や演奏に虚心に耳を傾けるのではなくて、「ハッピーなクラプトン」というイメージにまず拒否反応を起こしているんじゃないか、という感じを受けます。紆余曲折の末にクラプトンが今、幸せだと感じているのなら、音楽もそういう心境を反映しているのが自然でしょう。
ただ、カリフォルニアの青いバカ、を地で行くようなジャケ写はやっぱりペケ。幸せを通り越して、こいつな〜んも考えてないんじゃないか、という印象を与えかねない。いくら裏ジャケが冬仕様でも、メディアを通じて大衆が目にするのは表のカオがすべてですから。
あのおかげで今作の評価は三割方ダメージを受けていると思います(笑)。

まあ同じものでも意見が正反対、というのはカルチャーの宿命ですからねえ。ただし、クオリティが高いことは明々白々なんですからゴミとかいうのはどうなんでしょう。そういう人にはきっとold shockだったんでしょう。笑。かくあるべし的な先入観を払って心をオープンにして聴いて欲しいです。

カバーは最初見た時脱力しましたが、個人的には、勘弁して〜感はむしろ前作の方が強いです。あれは昭和40年代の歌謡曲ジャケットみたい。フランク永井ザ・ゴールデン・ベストとか。

ブラウニーレプリカの宣伝写真の髪型も起きたばかりのオールバックのおっさんみたいだったし。オシャレなクラプトンも美的に飾るって感覚がもうないのかな。ステージ衣装もそうですが、楽なのが一番みたいな。

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