デュアン・オールマン参加セッション、サム・サムディオの Sam, Hard and Heavy が初CD化
●デュアン・オールマンが録音の一部に参加してる、サム・サムディオ(Sam Samudio)の1971年アトランティック・レコード作品 Sam, Hard and Heavy が初めてCDになりました。
リリースしたのは Real Gone Music という会社ですが、制作はライノが担当してます。当然アトランティックから正規にライセンスを取っていて、レーベル面のデザインはアトランティック・レコード仕様。自分はアナログ盤は持ってないので通しでちゃんと聴くのは初めてです。
●60年代初期から活動してるというメキシコ系アメリカ人ロック歌手のサム・サムディオという人の過去の作品やバイオを自分は何も知らないのにこのアルバムに興味を持つ理由は、ほとんどの人と同じく、一部の曲にデュアン・オールマンが参加してるからです。デュアンが聴けるのは Relativity、Going Upstaires の2曲の他、ドブロを弾いてるもののシングル盤でしか聴けなかった ボーナス・トラックの Me and Bobby McGee 含め計3曲。
●このアルバムに興味を持つ理由はもう一つ。録音が、1970年にレイラを録音していたデレク&ザ・ドミノスと同じマイアミのクライテリア・スタジオだということで、録音時期も被ってます(マッスル・ショールズ録音と紹介されることがありますが違います)。ただし、録音日の詳細データーは不明。ドミノスの録音にも参加してたデュアンが、いつこの録音に参加したのか謎。
プロデューサーはトム・ダウドでつまり二股。ウィットロックの自伝によると、トムは、クライテリアでドミノスとサムのスタジオを行ったり来たりしてたそうです。
(追記:3月にリリースされたデュアン・オールマンのアンソロジー・ボックス Skydog Retrospective 付属のブックレットによると、デュアン参加の3曲の録音データは6月15日と9月2日でした。9月2日分については、ドミノスのレコーディング時期と一致しているので、デュアンはサムとドミノスそれぞれの録音にかけもちで参加したと思われます)
●収録曲に Key to The Highway が入ってますが、同じくウィットロックの自伝によると、サムがこの曲をやってるのを知ったドミノスの連中が、じゃあ俺たちもやってみないか、ということでドミノスもやったそうです。ドミノスがテープを回さずに演奏を始めてしまい、トム・ダウドが吹っ飛んできて、レコーダーを回し始めたという逸話(だから頭がフェイド・イン)は、ウィットロックの自伝が出た時にこちらに書きました。
ちなみに同曲の両者の演奏は全然違います(笑)
●Bobby McGee は、クリストオファソンとも、ジャニスとも、デッドとも違う雰囲気で、ストレートなカバーとは異なった面白さ。Bobby McGee以外の2曲で、デュアンのスライドはうなりまくってます。とくに Relativity。ただし、デュアンだけ聴ければいいという人は、今度出るデュアン・ボックスに3曲とも入ってるので買う必要はありません(笑)。
●おおまかなカテゴリーとしてはスワンプ系で、サムの泥臭い味のある歌が聴けます。ブルース系の曲もいくつかやっていて、Key to The Highwayはちょっとリヴォン・ヘルムに似た感じの声で歌ってます。
けして天下の名盤というわけではないと思いますが、ディキシー・フライアーズ(The Dixie Flyers)の名手達がバックを務め、スタックスのメンフィス・ホーンズ、名コーラス隊スウィート・インスピレーションズが参加した聞き応えのある佳作ですので、興味のある方はどうぞ。芽瑠璃堂というショップのサイトでサンプル音源が聴けます。
●ちなみに、本作は72年のグラミー賞最優秀アルバム解説賞(Best Album Notes)を受賞してます。最優秀アルバムじゃなく、最優秀解説。対象は本CDにも掲載されてるサムの長文詩です。
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