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2012年7月の記事

2012.07.21

ボブ・ディランの新作 Tempest が9月にリリース

●ボブ・ディランの新作が9月11日に出ます。すでに色々情報出てますが書いておきます。

Tempest
Tempest

 タイトルはTempest(大嵐、大騒動)で、収録曲は下記の10曲で68分。公式サイトのリリース情報はこちら

●表カバーに使われてる彫刻像のアップ写真は、ウィーンにあるオーストリア議会建物の正面にある彫刻像の一部だそうで、ディランのファンジンISISによると、オリジナルはこちらだそうです(既存写真の有償使用は、前作 Together Torough Life と同様)。よく調べられるもんだと思いましたが、曲数、総時間も5月にISISが伝えたものと一致。内部のどなたかがこっそり情報教えてくれるんでしょうか。おそろしや。

●以前から伝えられていたとおり、タイタニックについての歌(ISISによれば14分の曲)が入ってるそうですが、ジョン・レノンについての歌も入るという情報あり。収録曲見ると最終曲の Roll On John がそれに該当すると推測されます。

 奇しくも同名曲は、1962年2月に行われたラジオ・ショー(Cynthia Gooding Radio Show)を収録した有名ブート Folksinger's Choice にも入ってますが、そちらはトラッド曲で、詩もレノンと関係ありません。トラッドの歌詞を差し替えるという手もありますけど、曲調は今のディランのスタイルではないし、Tempest 収録の Roll On John ははたしてどんな曲なんでしょう。

 とりあえず、ディラン版トラッドのRoll On John はこんな感じでした。

 録音に参加したデヴィッド・イダルゴが語ってたメキシコ音楽へのアプローチとかも楽しみ。

●Tempest というタイトルがシェイクスピアの最後の作品名と一致しているため、これがディラン最後の作品では、とか適当につぶやいてる記事も出てますが、そういう変なご意見は勘弁していただきたいです。

●ディランは8月から10月までUSツアーの日程がびっしり。昨秋の欧州ツアー同様マーク・ノップラーのバンドと回ります(共演もありました)。10月17、18日開催のサンフランシスコ、Bill Graham Civic Auditorium は市内にいれば地下鉄で行けるし、ダメもとでチケットだけ買おうかな。


Bob Dylan / Tempest

1. Duquesne Whistle
2. Soon After Midnight
3. Narrow Way
4. Long And Wasted Years
5. Pay In Blood
6. Scarlet Town
7. Early Roman Kings
8. Tin Angel
9. Tempest
10. Roll On John

2012.07.11

デラニー・ブラムレットの語るジョージ・ハリスン

●世間の流行は何なのかわかりませんが。最近デラニー&ボニーをよく聴いてます。スタジオ録音中心。もちろんライブ音源も聴きますが。他に彼らやFriendsについて書かれたものを読んだりと。

 関心の始まりは、例の On Tour with Eric Clapton のBOXの発売時に色々調べ物をしたことだったのですが、それに加えボビー・ホィットロックの自伝はやはり大きかったです。デラニー&ボニーの初期から、デラニー&ボニー&フレンズへの拡大、ジョージのAll Things Must Pass、ドミノスまで実によく書かれてますんで。あとスコセッシのジョージ映画もその関心圏。それから、Friends のメンバー達の他の活動も(Mad Dogs and Englishmen とか)。直接、間接みんなつながってます。

●そうして目にしたもの中で、2008年の4月に SWAMPLAND.com というサイトに載ったデラニー・ブラムレットのロング・インタビュー(聞き手はMichael Buffalo Smithという人)は非常に面白かったです(Part OnePart Two)。正直、デラニーが亡くなった2008年当時にはそれほど彼に対して感慨が湧いたわけではないのですが。

 インタビューの中で特に面白いのが、デラニーが「自分の会った中で最高に感じの良いやつの1人」と言うジョージ・ハリスンとの関係が非常に具体的に語られているところ。もちろん1969年暮れに、クラプトンらと共に、デラニー&ボニー&フレンズとしてUKを含む欧州ツアーをしていた頃の回想です(上のリンクの Part Two で出てきます)。

●デラニーがジョージにスライド・ギターを教示したことはよく語られることですが、デラニー自身の回想だとこんな感じです。

 ジョージはつねに主(the Lord)を求めていた。彼はとても宗教的な人間だったけど、自分が平穏でいられる場所を見つけられずにいた。とにかくいつも神(God)というものを探し求めてたんだ。アルバート・ホールでのコンサート後に彼が、古いミシシッピ・ブルースのスタイルでスライド・ギターをどうやって演奏すればいいか俺に教えてくれるか聞いてきたのは、そういうことも理由だったんだと思う。俺はジョージに「君は悪いギターリストじゃないよ。君が置いてきたちっぽけな老舗バンドでも、とっても上手くやってたじゃないか」「君のギターリストとしての評判は悪くないよ」って言ったんだ。でも彼は、いや、僕は君がやってるような曲をどう演奏すればよいかわからないんだ、って。「僕は知りたいんだ。だから、主を称えるゴスペル・ソングをどう書いたらいいのか教えてくれないか」って。もちろんだよ、ってことでゴスペル系の音楽を彼にたくさん聴かせた。彼は学びたがってたね。彼は「すべての類の宗教にトライしてみたけど、平穏は得られなかった。ただ進む途を示してくれるような曲が書けたらいいなと思うんだよ」って。それで、最初に思い付いたメロディがこんな感じだった...He's my kind of guy. Do-lang, do-lang, do-lang


 うーん、面白いでしょ。「君が置いてきたちっぽけな老舗バンド(that little ol'group you just left)」って、それビートルズって言うだよデラニーさん(笑)

 続き。

 そのメロディを使って、臨時レッスンを始めた。俺は“My sweet Lord. I just want to feel you Lord”と歌って、バッキング・コーラスに「ハレルヤ」ってコーラスの中で歌わせてみようよってことになったのさ。もうジョージの目はどんどん大きくなるばかりだった。しばらくして俺はラジオでその曲が流れるのを聴いた。ジョージは俺に電話をしてきて「君の名前はレコードに載ってないけど、次のプレスの時には載せるようにするから」って。俺はそんなことは起きないだろうって思ったけどね。だって、そのためにはジャケットから何から変えなきゃなんないんだから。彼が俺の名前をレコードから外したとかいうことじゃないし、どうでもいいことだったよ。まあ、彼の力になれて嬉しかったよ。彼は「あの曲は僕が探し求めていた途に僕を連れて行ってくれた」って言ってた。「そりゃ良かった」って答えたさ。


●ええ話やな~って感じです。そもそも、デラニー&ボニーに早い時期から惚れ込んで、69年夏のブラインド・フェイスのUSツアーの前座として彼らをクラプトンに推薦したのはジョージだし、スタックスを離れることになった彼らをアップルと契約させようとまでしてます(エレクトラが先に契約済であることを主張したためアップルが引いた)。そこに至るまでの伏線はあったわけです。

●例の盗作騒動の件も触れられていて、デラニーは曲がどうやって出来たか証言すべきだって言われたそうです。新しい番組の仕事(この主題歌担当)が忙しく出廷できず、代わりにボニーが出廷して証言したが判事は証拠として採用しなかったということです。

●My Sweet Lord という曲の誕生について、デラニー・ブラムレットのことが語られることってあまり自分は目にした記憶はありません。インタビュー映像でもあったなら、スコセッシのジョージ映画に使われていたこと必至の一級資料。そうですよね、スコセッシさん。

 そうやって無視されちゃうところなんか、いかにもデラニーは不当な悲運を背負わされてる感じ。もっと注目評価されるべきデラニー&ボニーでのキャリアを含めて。

●ボビー・ホィットロックの自伝の中で、デラニーはけっこう辛辣なことを書かれてます。ボビーはデラニーを完全主義者と言う一方で、「自分中心でなければ気が済まない、意地悪な男(self-centered、abusive person)」とまで言ってるのですが。まあ、実際はどうなんでしょうかねえ。上の感動秘話なんかを読む限りそんなこと想像もできないって感じです。

 クラプトンはデラニーに対してそういうことは言ってないし、ライブ音源で聞くデラニーの穏やかそうな声を聞くと、そんな嫌なやつには思えませんけど(あくまで妄想、希望的観測です)。ボビーの場合、デラニー&ボニーの初期に自分がちっぽけな役回りしか与えてもらえなかったことに対する怨念みたいなものがあるのではと読んでますが。

●上のインタビュー、デュアン・オールマンやクラプトンのことも語っていて非常に面白いです。その辺のことを含め、デラニー&ボニーのアルバムのことなど、またあらためます(つもり)。

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