●イーストウッドの2番目に新しい映画です。2010年作品。公式サイトはこちら。

ヒア アフター ブルーレイ&DVDセット(2枚組)
イーストウッドの映画はできるだけ映画館で見るようにしていて、この映画も例外のつもりはなかったのですが。日本公開時に映画館のそばを通り「今日見て行こうか、ちょっとくたびれてるので今日は止めよ」と見過ごしたのが去年の3月11日の数日前。その週末のあの地震に津波。スマトラ地震の被災シーンが含まれるこの映画の上映は打ち切られてしまいました。
見たのはブルーレイで今年の2月頃です。見れるようになってから時間が経ってるので以下ネタバレを含みます。
●ヒア・アフター(Hereafter)は死後の世界という意味ですが、丹波哲郎的華麗なる死後の世界なんてものではもちろんありません。自分自身の、あるいは自分に近い他者の死というものを見つめざるを得なくなった人たちの話。タイトルから死後の世界を描いた映画のように誤解されてますが、出てくるのは「死後の世界」ではなく死と向き合いながら「生きている」人の話。被災で死に近づきながら生還した女性キャスター、妻の病死を看取った中年男、幼くして小さな兄弟を失った少年とか。
彼らののぞきこんだ死というものに関わらざるを得なくなった霊能力者(マット・デイモン)が主人公ですが、下手するとオカルトに堕しかねない素材なのに、受ける印象はその正反対。ほんとに人間のピュアな精神の話。
自分が一番惹かれたのは兄をなくした少年。失った兄に少しでも近づこうとする小さなロード・ムービーみたいな味わいがあり、無垢ないたいけさがたまらないです。
●イーストウッドのここ10年程の作品は、心の中に闇を抱え込んだり、世に対する違和感を抱えた人の話が非常に多いです。それ以前も「バード」や「許されざる者」はそういう系列かと(2009年の「インビクタス」だけちょっと肌合いが違いますが)。近年はそういう傾向がどんどん深まる感じで、西部のガンマン役、サンフランシスコの強面警官役としてのイーストウッドを見てた多くの人は、今の監督クリント・イーストウッドという人の作品を想像できたでしょうか。
最新作の「エドガー」は映画館で見ましたが、こちらも素晴らしかったです。もう一度見たいので、そのうちディスク買う予定。
●イーストウッド、82歳。若い人も頑張らないかんですよ。凡人ながら私も。
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