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2012年4月の記事

2012.04.28

Levon Helm Band / Ramble at The Ryman (DVD)

●リヴォン・ヘルム・バンドの2008年9月のライブ。収録はナッシュヴィルのカントリー音楽の聖地ライマン・オーディトリアム。CDでも出ていてそちらはグラミー賞取ってますが、私の持ってるのはDVDだけです。

Ramble at the Ryman [DVD]
Ramble at the Ryman [DVD]

 リヴォン・ヘルム・バンドの演奏は、この5ヶ月前にMerle Festivalに出演した時のライブ音源が正式に発売されてますが(ここにちょっと書きました)、曲目はそれほどダブっていません。何より、リヴォン・ヘルムという人の晩年の活動が映像としてきちんと記録されたのは嬉しいです。

 収録より3年経った2011年のリリースですが、リヴォンの声はこの翌年にオールマンの結成40周年ビーコン公演にゲスト出演したときには不安定で、昨年はもう歌える限界という感じでした。

●出たときに買って1回さらっと見ただけだったのですが、あらためて見直してみました。

 アメリカのポピュラー音楽の伝統に根ざした、普通の素朴な音楽。リヴォンの声も当然病気後の声で往年の力強さはないです。リヴォンに思い入れのない人が見たら、爺さん率いる田舎バンドにしか見えないかもしれません。でも、こういう音楽こそ生き残る。ウィントン・マルサリスのようなインテリがやる頭でっかちな伝統回帰とは大違い。ここにそのまま伝統があるじゃないか、という感じ。別にウィントン嫌いじゃないですけど。

 Merle Fest盤でも聴けた Ann Lee なんて三重唱に楽器はラリーのフィドルだけという素朴さ。その後に続く Rag Mama Rag は、この歌がどんな根っこの上に出来た歌か完全に実感させます。

 Chest Fever の冒頭は、ザ・バンド好きにはガースのオルガン即興ソロでお馴染みですが、この盤のもいい感じ。見てない人もいると思うので内容は内緒にしておきます。

●Merle Fest盤同様リヴォンがすべてのヴォーカルを取るわけではなく、娘のエイミーやラリー・キャンベル、ブライアン・ミッチェルが歌う場面もあります。彼らは傑出した歌い手ではまったくないのでちょっと物足りない感じ。でも、最後に出てきて The Weight を歌うジョン・ハイアットの歌はやはり別格。流石です。

●Merle Festでも参加してたマンドリンのサム・ブッシュが途中から参加して、最後まで出ずっぱりで弾いてます。バックに徹していて目立つシーンは少しだけですが彼のマンドリン素晴らしいです。才人。

 他にハープ、ヴォーカルが聴けるリトル・サミー・デイヴィス(この翌月心臓発作で倒れてます)、シェリル・クロウがゲスト参加。シェリルはリヴォンと Evangeline をデュエットしてて歌詞の記憶が怪しいですが、まあご愛敬。バディ・ミラーもずっと出てますが自分はこの人のことよく知りません。

●4人のホーン隊の付く大編成ですが、本当に普通のシンプルな音楽。Back to Memphis ですらベースはアップライトです。

 これがグラミーというのはリヴォンに対する過剰リスペクトかなという気もしますが、もし自分がこの現場に居たら幸せな気分で帰ったと思うし、最後の The Weight では泣いたかもしれない。ステージ上の全員が本当に楽しそうで、かつてクラプトンが憧れた「ザ・バンド」というバンドの有り様を決めた核になったのはリヴォンだったのかも。

 ドラムを叩くリヴォンの姿は文句なしに格好よく、ライマンの雰囲気も良く伝わってきます。

Levonryman
(写真はDVDからのキャプチャ)

2012.04.20

リヴォン・ヘルム(1940-2012)

●ザ・バンドのドラマーを長年務め、近年はリヴォン・ヘルム・バンドを率いて活動していたリヴォン・ヘルムが、4月19日に病気のためNYの病院で亡くなりました。71歳でした。かつて活動を共にしたボブ・ディランがツアーで滞在中のブラジルから送った言葉はこちら

●2月に行われたヒューバート・サムリン追悼コンサートの出演者として伝えられながら出演をキャンセル。同時期に、彼の住むウッドストックで継続している Midnight Ramble セッションの出演を病気治療のためしばらく休むという告知を公式サイト上で見た時は、声帯、というより命を失いかける大病を患ったことのあるリヴォンに、こういうことも起こり得る、と覚悟はしていました。

●幸い、何度か来日して演奏、歌を聞かせてくれた彼は、日本での体験について、こんな言葉を残してます。


「日本の会場はどこも満員だった。その国の貨幣に、天皇や政治家ではなく稲の絵がついているのを知ったときから、日本を好きになるのがわかった。農民は、尊敬の対象であるといってもよかった。あの国の人たちは、何がいちばんたいせつなものなのか、それを知っている」
(「ザ・バンド軌跡」(菅野彰子訳、音楽之友社刊。原題 The Wheels on Fire by Levon Helm with Stephen Davis))


 ザ・バンドのメンバー中、唯一のアメリカ人。農家の子供として生まれたリヴォンらしい言葉ですよね。彼はまた、スタジオで作った最後の2作のアルバム、Dirt Farmer と Electric Dirt で、タイトルに「土」(dirt)という言葉を付けた人でもありました。

 声帯を失いかけるという大病に見舞われ、経済的な困難に見舞われながら、彼はドラムを叩き続け、歌い続けました。

●さよなら、リヴォン。あなたの歌が本当に好きでした。

2012.04.15

ジョン・メイヤーの新作、Born and Raised

●Battle Studies 以来2年半年ぶりの新作。ジョンとドン・ウォズの共同プロデュース。発売は5/22。

Born & Raised
Born & Raised

●アルバム・カバーも、公式サイトのトップで表示される西部風の衣装着た写真もいい感じですが、すでに全曲聴けるサンプル音源聴いてもいい感じ。良い意味での軽さがあるというか。ど派手なギターソロも良いですが、この人のソングライターとしての才能素晴らしいです。

 米iTuneストアでは Shadow Days 1曲だけ先行販売してます。アルバム買う人はダブリますが、何度も聴けるジュークボックスと割切れば買うのも悪くないかなと。でも、ここで聴けます。つうか他の曲も聴ける。おそろしや。

●公式サイトでプレオーダーすると、ドン・ウォズとメイヤーが新作について語り合ってるビデオのダウンロードリンクを教えてもらえます。

 でも、なぜか見れます。

●喉の不調で春のUSツアーをキャンセルしたジョン・メイヤーですが、良くなったらまた日本ツアーに来てね。待ってます。

2012.04.07

テデスキ・トラックス・バンドのライブ盤 Everybody's Talking が5月に発売

●すでにリリースが告知され、公式サイトで「入れて欲しい曲募集します」状態だったテデスキ・トラックス・バンドのライブアルバムの詳細がわかってきました。発売は5/22。

Ttblive
Everybody's Talking

 こちらのサイトでアナログ盤の詳細情報が見れますが、アナログは3枚組で全11曲。CDは2枚組。国内盤にボーナストラックがあるかどうかは、非公式レベルでちらちら語られてるようです(コメント欄ご覧ください)。

●すべて日本公演でも聴けた曲。収録地の内訳は、コネチカット公演5曲、トロント公演4曲、DC公演3曲。Midnight In Harlem がトロントとコネチカット両音源の編集版(Little Martha イントロ版)。2CDで11曲なのは一番演奏時間が短いのが Everybody's Talking であとは全部8分超えだから。

●Rolling Stone誌にこのライブ盤についてのデレクのインタビューが載っていて、それによるとデレクはステージ終了後にセットリストと演奏内容をチェックして、グレートだったかそうでなかったか目印を書き込んでいたそうです。真面目すぎるぜデレク。彼がグレートでない、と判断した演奏だって凡演とは正反対だったと思いますが、頭が下がります。

●最多5曲収録のコネチカット公演は、ツアー最終日にもかかわらず大雪の降る悪天候で州内の多くが停電するような事態でキャンセル寸前。実際ソールド・アウトなのに会場に来れない客がたくさんいたそうです。ショーはまったり始まったものの、最後はグレートな内容だったということです。吟味したたくさんのショーの中から選ばれた音源なのだから、デレクの言葉に偽りはないはず。楽しみです。

-収録曲-
Everybody's Talkin' (CT)
Midnight In Harlem (Swamp Raga intro with Little Martha) (ON & CT)
Rollin' and Tumblin' (DC)
Bound For Glory (DC)
Nobody's Free (ON)
Darlin' Be Home Soon (CT)
Learn How To Love (ON)
That Did It (CT)
Uptight (ON)
Love Has Something Else To Say (DC)
Wade In the Water (CT)

ON=Oct 25, 2011, The Danforth Hall, Toronto
DC=Oct 28, 2011, Warner Theatre
CT=Oct 29, 2011, Fairfield Theatre, Bridgeport



(追記)
 アルバムを公式サイトでプレ・オーダーすると、プレ・オーダー独占ダウンロードとして

Simple Song / Take You Higher
Extended 11 minute live version.

がmp3でダウンロードできます。ダウンロード可能日は発売日の5/22。

 日本公演でも聴けたスライ・メドレーじゃないすか。悩ましい、というかこっちにオーダー変えようかな。

 と思ったら、国内盤は、Don't Let Me Slide とこのスライメドレーの2曲がボーナス・トラックです。さあ、どうする。

2012.04.02

ボビー・ホィットロック自伝の補足インタヴュー

●3/30に67歳になったクラプトンなので強引にちょっと関連話を。

 去年出たボビー・ホイットロックの自伝ですが、結局日本語訳が出る気配はなし。一級の資料、秘話満載、米アマゾンでは100個以上のレヴューが付き、ほとんどが5つ星評価の絶賛状態なんですけどねえ。

●この自伝が出た後、ちょうどレイラの40周年盤が出た頃の去年の4月に、Where's Ericに自伝本の補足みたいなボビーのインタビューが載りました。その中のレイラ録音時の話がとても面白いので、今頃ですが、ちょっと書いておきます。

●ドミノスはジャムってから曲、という感じでレコーディングを進めて行ったそうですが、(I Looked Away、Bell Bottom Bluesの次の)3曲目のジャム終了後にクラプトンが「ギター、もう一つ重ねていいかな」と言うので最初のテイクにオーバーダブ。終わった後「もう一回いいかな」でまた2度目のオーバーダブ。さらに「もう一回」で3度目のオーバーダブ。

 クラプトンは3度やったオーバーダブを、いずれも最初のテイクだけを聴きながらやったそうですが、ボビーいわく、その後全て同時に再生したところ、時間をかけて準備したかのようにすべてのギター音が溶け合うように響いた(All of the guitars blended together as if they had been worked out long before the session.)ということです。まるでレンブラントの仕事を見るようだったとボビーは語ってます。ボビーはECのことを褒めるばかりなのでちょっと大袈裟なのかもしれませんが

 「インスト曲入れる余裕はないからお蔵入りだ」というトム・ダウドに対し、ちょっと待っててとスタジオの外に出たボビーが数十分で曲に仕上げて出来たのが Keep on Growing。ボビーはサム&デイブ風にやろうとアイデアを出したそうですが、たしかに途中のヴォーカルの掛け合いとかそんな感じです。

 デュアン抜き、クラプトンだけの複数のギターが鳴ってる Keep on Growing ですが、ボビーの言う All of the guitars blended together の片鱗は体験できると思います。特に後半に延々と続くジャムっぽい部分。

●上のインタビューでは、デュアン抜きの3曲 I Looked Away、Bell Bottom Blues、Keep on Growing は、アルバムと同じ順番に録音されていったように読めますが、それってCDに記載されたデータと一致しません(データでは順に9/2、9/2、9/1)。

 もっとも、明らかに後から参加したデュアン参加のNobody Knows You のデータが8/31になってたり、何をもって録音日としてるか分かりにくいところがあるデータなので、ボビーの記憶違いと一概には決めつけられないのかなと。

●上の話はインタビューで語られた内容ですが(本にも違う表現で書かれてます)、自伝が出たときにちょろっと書いたように、こういうエピソードが満載なのがボビーの自伝です。ボビー・ホイットロックという地味なミュージシャンとはいえ、ジョージの All Things Must Pass についての面白い話も書かれてます。売れる本ではないのでお金にはならないとは思いますが、どこかの出版社さん頑張って出しませんかねえ。

Bobby Whitlock: A Rock 'n' Roll Autobiography
Bobby Whitlock: A Rock 'n' Roll Autobiography

●どうせ日本語版がないのだから米アマゾンでkindle版を買うという手もあります。Kindleには、Win用、Mac用、iPhone用、iPad用のアプリがあるのでKindleの端末持っていなくても読めます。12ドルとお手頃だったので自分はKindle版も買ってしまいました。

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