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2011.08.18

Wolfgang Vault で見れる「ラスト・ワルツ」の別映像

Lastwaltz●ビル・グレアムがらみのライブ音源を中心に公開していた Wolfgang Vault が、少し前から映像の公開を始めてます。その中に含まれているザ・バンドのラスト・ワルツの映像が含まれていて、50以上の映像を見ることができます。

 映像は数年前から出回っていて、映画用とは思えないアマチュア撮りのような映像だったので出所はどこなのかと思いましたが、おそらくビル・グレアム側のスタッフが撮ったものということなのでしょう。
 白黒で画質はあまりよくありませんが、部分的にしか見れなかったブートとは違い、ビル・グレアムの最後の挨拶と恒例のグリーンスリーブス(途中)までフルで見れます。

●スコセッシ作品として映画にまでなった伝説的なお別れコンサート The Last Waltz ですが、音源部分はかなり事後修正されてることは今ではよく知られていると思います。というより、この解散コンサート自体、メンバーの合意によって決められたものではなく、ロバートスン=スコセッシ組が推し進めた「解散芝居」だったことを後から知らされたわけです。

 以下、リヴォンの言葉でその辺の事情を辿ってみます(「ザ・バンド軌跡」(菅野彰子訳、音楽之友社刊。原題 The Wheels on Fire by Levon Helm with Stephen Davis))。

 9月のいずれかの時点で、ロバートスンとマネージメント・チームが勝手に事態を進めていることがわかった。もうたくさんだと感じたロビーはマネージメント・チームといっしょになって、ザ・バンドをつぶして終わりにすることにした。最初それを聞いたとき、僕は冗談だと思った。しかしロバートスンは、もううんざりしてるんだ、これは真剣な話だといった。実際、ロビーすでに具体的な計画を立てていた。(239頁)

「ほんとうは何が理由でグループをつぶしたいのか知らないが。迷信深いことをいって自分の命が惜しいからといって、ぼくたちの音楽をとりあげて引退させるなんて最低だ。弁護士と会計士の全部を見方につけているのは知っているが-やつらは甘いことばかりいうが自分の取り分のことしか考えていないんだ-、これは間違っている」
 ロビーは何もいわず、会議は終わった。僕は部屋を出た。(241頁)

 続いて、コンサートでの録音について。

 ジョン・サイモンはつぎのようにいっている。「たしかマディ・ウォーターズのヴォーカルをのぞけば<ラスト・ワルツ>のなかでライブの音そのままなのは、リヴォンの音だけだと思う。ほかのものはすべてオーバーダブしてやりなおしてある。リヴォンはラスト・ワルツのいっさいにいや気がさして、ロサンジェルスにいなかった。ロビーはもう一度やってくれと頼んだが、リヴォンは知らん顔だった。すべてがいかがわしい感じがする。リヴォンはぼくにそういうっていた」
「オーヴァーダブした方がいいというロビーの考えにも一理あった。リチャードの歌はできがわるかった。リックのベースは調子がはずれていたし、ロビーのギター・ソロももっといいものにしたかった。それにホーンの録音はバランスがわるく、しかたなくヘンリー・グローヴァーとぼくのアレンジでニューヨークで録音をしなおした。すごいと思ったのはリヴォンのドラムはもともとやり直す必要などなかったことだ。リヴォンは最初からちゃんとやっていて、それがそのまま最終的なドラム・トラックになった。リヴォンは、オーヴァーダブが実際に行われたことさえ知らずにいたんじゃないかと思う。」(261頁)

 「ラスト・ワルツ」についてのリヴォンの言葉。

 いまも大勢の人が『ラスト・ワルツ』がとても好きだとぼくにいいにくる。僕は礼儀正しくありがとうといい、ぼくにはあの映画を恥さらしに思えることはいわないようにしている。(263頁)

 もちろん、これらは一当事者の視点であって、立場が変われば別の視点があると思います。リヴォンだって、「ラスト・ワルツ」のステージをまったく楽しめなかったわけでなく、自伝の中にはそういう言葉もあります。
 ロバートスン以外のメンバーとは面識がないにもかかわらずゲストに呼ばれたニール・ダイヤモンドについては(彼がなぜゲストなのかという)リヴォンの不満の言葉もありますが、私はダイヤモンドとの Dry Your Eyes が好きで、ラスト・ワルツの暴露話を知った後でももそのことは変わらないです。ここで見れる修正前の Dry Your Eyes と比べるとかなり変わっちゃってますけど。

 リヴォンが楽しそうに回想してるDown South in New Orleans も私の好きな演奏ですが、映画には未収録なので「グレアム映像」で初めて演奏シーンが見れるようになりました。リック、ロビー、ボビー・チャールズ、ドクター・ジョンの4人がステージ中央でマイクを囲んでます。ドクター・ジョンはギター弾いてたんですね(画像はブートのもの。Wolfgang Vault の映像はもっとマシな画質です)。

Downsouth

 こちらも音の方はかなり修正が施されてます。ガースのアコーディオンなんて完全に別物。

●長くなったので中断。続く(予定)。

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