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2011年8月の記事

2011.08.22

Wolfgang Vault で見れる「ラスト・ワルツ」の別映像(続き)

●前回の続きで Wolfgang Vault の「ラスト・ワルツ」映像の話で、ボブ・ディランの出演シーンについて。

 ボブ・ディランのシーンは、映画「ラスト・ワルツ」では、フェード・インするように入ってくる Forever Young 以降の映像しか見ることができません。初めて映画を見たときは、単にこのシーンだけを使ったのかなと思ってましたが実は映画用のフィルムもForever Young 以降のシーンしか撮影されていないことを、前回触れたリヴォンの本(「ザ・バンド 軌跡」)を読んで知りました。

 本の中に、ディラン側の撮影許可が取れないままディランのステージが始まってしまい、ようやく最後の2曲を強硬撮影した様子が書かれてます。

 最後の二曲になった。技術係があわててヘッドセットをつけ、カメラがむきを変え、照明がつき、ステージはふたたび映画のセットと化した。<フォーエヴァー・ヤング>のあと、ボブがまた<ベビー・レット・ミー・フォロー・ユー・ダウン>をやりだした。ぼくたちはおどろいたが、きっとボブは映画の中に昔のロックンロールが一曲もないことに気づいたのだと考え、あとに続いた。やがてボブもくわわって大フィナーレがはじまり、ステージの横でビル・グレアムが大きな声でボブの側近たちを止めようとしていた。演奏がつづくなかで、このごたごたがあり、ビルが「ばか!カメラをまわせ!これをとらなきゃだめだ!」とさけぶのが聞こえた。ボブは怒ってなかったし、ぼくたちも笑ってそのままよい演奏を続けた。(253頁)

 ということです。グレアムのやったことは完全に正しかったと思われます。というか、あのフィナーレが撮影されなかったかもしれないことを考えるとゾッとします。

●Wolfgang Vault の映像はボブのセットもすべて見ることができるのはありがたいです。最初のBaby Let Me Follow You Downから演奏部分は修正されまくってますが、ボブのヴォーカルはそのままだと思います。さすがにディランにスタジオでもう一度やれとは言えなかった思いますが、そもそも修正の必要をまったく感じない出来。

●Forever Young 中間のロビーの素晴らしいソロはそのまま使われてます。その後で、ボブが最前列の客の方を向いて微笑むシーン(下の画像。DVDより)は、自分が最も好きなシーンなのですが、Wolfgang Vault の映像(4:14あたり)だとちょっと分かりにくいですね。ボブはヴォーカルに戻った後もそちらの方を指さすシーンもあるのですが、あれはどういうやりとりなのでしょう。

Lw_bob1

●無修正音源を聴くと、修正というより別音源というくらいの差し替えがある箇所もあり、もはやドキュメンタリーとしての同一性すら疑わしいくらい。

 前回書いたジョン・サイモンの言葉によると、ホーンセクションは取り直したということですが、例えば、The Shape I'm In はそもそも「ラスト・ワルツ」のステージではホーンなしの演奏なので、公式版は完全なオーヴァーダブです。映画の同曲のシーンでは、ステージ上にホーンが映ってないのにホーンが鳴るという不思議な場面が展開されますが、無修正音源を初めて聴くまで自分はそのことに気づきませんでした。

●ちなみに、ザ・バンドは「ラスト・ワルツ」の年の76年にもツアーをやっていますが、FMで中継された9月18日のNY、Palladiumでの演奏を聴くとThe Shape I'm In はホーン付で演奏されてます。ツアー時にホーン付で演奏しているのに、ラスト・ワルツ(11月25日)ではなぜホーンを外し、あとで丸々オーヴァーダブするという面倒なことをしたのか不思議です。
(キング・ビスキット・フラワー・アワー音源の聴ける8月16日のDC公演はホーンなし。上のNY公演は Palladium のこけら落とし公演)

●「映画」を見ても、リヴォンの本を読んでも、ろくに準備もせず行き当たりばったりでカメラ回している凡百のライブ映画と異なり、スコセッシは周到な準備をして「ラスト・ワルツ」に臨んでるのが分かると思いますが、音楽好きの知人を話していると、スコセッシの音楽映画が好きでないという人も結構います。
 劇映画のように緻密に構成し過ぎて、ライブ演奏の「生」の雰囲気が吹っ飛んだ「作り物感」がするあたりが嫌われる理由なのかな、と思うのですが。ストーンズの映画だと 作り物的な Shine a Light(スコセッシ) より Let's Spend The Night Together(ハル・アシュビー) の方が好まれるみたいな。

●スコセッシは、ジョージ・ハリスンのドキュメンタリー映画「Living In The Material World」を制作していて、初公開はテレビで、10月5日に米HBOで放送予定(リンク先で予告編が見れます。映画館公開は11月23日)。ボブの No Direction Home はとても良かったので、むしろドキュメンタリー映画の方が抵抗なく受け入れられるのかなと思います。

 NHKも共同制作として関わっているので、No Direction Home の時同様、日本でも放送されるはず。今まで必ずしも深く掘り下げられて来たとは言えないクラプトンとの交友関係も触れられるはずだし、大変楽しみです。

2011.08.18

Wolfgang Vault で見れる「ラスト・ワルツ」の別映像

Lastwaltz●ビル・グレアムがらみのライブ音源を中心に公開していた Wolfgang Vault が、少し前から映像の公開を始めてます。その中に含まれているザ・バンドのラスト・ワルツの映像が含まれていて、50以上の映像を見ることができます。

 映像は数年前から出回っていて、映画用とは思えないアマチュア撮りのような映像だったので出所はどこなのかと思いましたが、おそらくビル・グレアム側のスタッフが撮ったものということなのでしょう。
 白黒で画質はあまりよくありませんが、部分的にしか見れなかったブートとは違い、ビル・グレアムの最後の挨拶と恒例のグリーンスリーブス(途中)までフルで見れます。

●スコセッシ作品として映画にまでなった伝説的なお別れコンサート The Last Waltz ですが、音源部分はかなり事後修正されてることは今ではよく知られていると思います。というより、この解散コンサート自体、メンバーの合意によって決められたものではなく、ロバートスン=スコセッシ組が推し進めた「解散芝居」だったことを後から知らされたわけです。

 以下、リヴォンの言葉でその辺の事情を辿ってみます(「ザ・バンド軌跡」(菅野彰子訳、音楽之友社刊。原題 The Wheels on Fire by Levon Helm with Stephen Davis))。

 9月のいずれかの時点で、ロバートスンとマネージメント・チームが勝手に事態を進めていることがわかった。もうたくさんだと感じたロビーはマネージメント・チームといっしょになって、ザ・バンドをつぶして終わりにすることにした。最初それを聞いたとき、僕は冗談だと思った。しかしロバートスンは、もううんざりしてるんだ、これは真剣な話だといった。実際、ロビーすでに具体的な計画を立てていた。(239頁)

「ほんとうは何が理由でグループをつぶしたいのか知らないが。迷信深いことをいって自分の命が惜しいからといって、ぼくたちの音楽をとりあげて引退させるなんて最低だ。弁護士と会計士の全部を見方につけているのは知っているが-やつらは甘いことばかりいうが自分の取り分のことしか考えていないんだ-、これは間違っている」
 ロビーは何もいわず、会議は終わった。僕は部屋を出た。(241頁)

 続いて、コンサートでの録音について。

 ジョン・サイモンはつぎのようにいっている。「たしかマディ・ウォーターズのヴォーカルをのぞけば<ラスト・ワルツ>のなかでライブの音そのままなのは、リヴォンの音だけだと思う。ほかのものはすべてオーバーダブしてやりなおしてある。リヴォンはラスト・ワルツのいっさいにいや気がさして、ロサンジェルスにいなかった。ロビーはもう一度やってくれと頼んだが、リヴォンは知らん顔だった。すべてがいかがわしい感じがする。リヴォンはぼくにそういうっていた」
「オーヴァーダブした方がいいというロビーの考えにも一理あった。リチャードの歌はできがわるかった。リックのベースは調子がはずれていたし、ロビーのギター・ソロももっといいものにしたかった。それにホーンの録音はバランスがわるく、しかたなくヘンリー・グローヴァーとぼくのアレンジでニューヨークで録音をしなおした。すごいと思ったのはリヴォンのドラムはもともとやり直す必要などなかったことだ。リヴォンは最初からちゃんとやっていて、それがそのまま最終的なドラム・トラックになった。リヴォンは、オーヴァーダブが実際に行われたことさえ知らずにいたんじゃないかと思う。」(261頁)

 「ラスト・ワルツ」についてのリヴォンの言葉。

 いまも大勢の人が『ラスト・ワルツ』がとても好きだとぼくにいいにくる。僕は礼儀正しくありがとうといい、ぼくにはあの映画を恥さらしに思えることはいわないようにしている。(263頁)

 もちろん、これらは一当事者の視点であって、立場が変われば別の視点があると思います。リヴォンだって、「ラスト・ワルツ」のステージをまったく楽しめなかったわけでなく、自伝の中にはそういう言葉もあります。
 ロバートスン以外のメンバーとは面識がないにもかかわらずゲストに呼ばれたニール・ダイヤモンドについては(彼がなぜゲストなのかという)リヴォンの不満の言葉もありますが、私はダイヤモンドとの Dry Your Eyes が好きで、ラスト・ワルツの暴露話を知った後でももそのことは変わらないです。ここで見れる修正前の Dry Your Eyes と比べるとかなり変わっちゃってますけど。

 リヴォンが楽しそうに回想してるDown South in New Orleans も私の好きな演奏ですが、映画には未収録なので「グレアム映像」で初めて演奏シーンが見れるようになりました。リック、ロビー、ボビー・チャールズ、ドクター・ジョンの4人がステージ中央でマイクを囲んでます。ドクター・ジョンはギター弾いてたんですね(画像はブートのもの。Wolfgang Vault の映像はもっとマシな画質です)。

Downsouth

 こちらも音の方はかなり修正が施されてます。ガースのアコーディオンなんて完全に別物。

●長くなったので中断。続く(予定)。

2011.08.15

久しぶりに 24 nights を見てみる

24nights_dvd●ときどきふと見直してみたくなったもののVHSテープしか持ってない。さすがにわざわざデッキをつないで・・・というワケにはいかずしばらく放置してましたが、この度DVDで買ってみました。うっかり安い米盤買ったらリージョン1で少し萎えましたけど。

 87年から始まったロイヤル・アルバート・ホールでの連続公演ですが、オーケストラとの共演を含む豪華バージョンだった90&91年の収録で、一気にファン層が拡大した92年のUnplugged直前のクラプトンが拝めます。

●なにせ今から20年前、40代ビンビンのクラプトンなので今の彼との差は歴然。次から次と溢れ出る楽想とそれを音にしていくテクニック。今のECには残念ながらそういう姿はもう見ることはできません(身体能力の劣化が演奏に一番反映されやすい楽器は弦楽器でしょう)。特に9 PIECE BANDが素晴らしく、現場で生体験してたら感激はさぞかしだったかと思いますが、この頃はわざわざ海外遠征しようなんて発想は皆無でした。

●ある時点をピークに少しずつ衰えていくのは人間の宿命ですが、1、2年単位でねじを巻き戻して観察しても劣化というのは分かりにくいもの。さすがに20年一気に戻ると歴然としてしまいます。ラン奏法にしても今のECのような苦し紛れ感もないですし。

●バブリーなステージ衣装は、ほとんど普段着のままステージに上がる今のECとの落差が激しすぎ。この頃は煙草もまだ吸ってますし、Unplugged映像でお馴染みになった老眼鏡もまだかけてません。表情も昔のEC特有の憂いというか不機嫌感のある表情。
 2人の女性コーラスの横幅も最近とは相当違いますが、そういうことは言ってはいけません。

 当時の雰囲気をDVDからのキャプチャで。9 PIECE BAND時のお姿。

24_9piece

 ブルース・バンド。ストラップもド派手。DVDで見るとピカピカ光ってます。

24_blues

●4 PIECE BAND、9 PIECE BAND、BLUES BANDにORCHESTRA、と4種のフォーマットで展開された超豪華な公演ですが、この作品はそれぞれから3、4セットだけつまんだ細切れ編集

 加えて、全体的に画質がどんよりと暗め。演奏者に寄ったショットが多くホール内の雰囲気があまり伝わってこないばかりか、白黒になったりスローになったりと変なエフェクトが掛かってる箇所もあり。CDもDVDも個々の演奏は聴き応えありますけど、作品としては今一つ散漫な印象。

●ヴァージョンupビジネスがお盛んなレコード業界なので拡大版を期待したいところですけど無理ですかねえ。

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