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2011年2月の記事

2011.02.28

スーズ・ロトロ(1943-2011)

Freewheelin_suze_5


「ボビーはとてもおもしろくて、ふたりでよく笑った。彼といっしょにいると楽しかったし、彼がそばにいてくれること、部屋の向こうから見ていてくれることがうれしかった。また、彼が完全に自分の中に閉じこもってしまえるところ、他のことを忘れて頭のなかで聞こえる音楽や心をよぎった考えに集中できるところも好きだった。彼はほんとうに、しばらくのあいだ、その場から消えるのだった。彼は今がそのときだと思えば、いつでもどこでもやりたいことを実行する。彼にはそういうことができる能力と自信があり、私はそれを尊敬した。」
(「グリニッチビレッジの青春」p111)


Suze Rotolo, Bob Dylan's Girlfriend and the Muse Behind Many of His Greatest Songs, Dead at 67
http://www.rollingstone.com/


2011.02.27

ソウルでCDショップを物色する

●ソウルで旧跡やら観光名所の類を訪問する時間もなかったのでレコード店のぞいてきました。といっても、ガイドブックに出てるようなお店を2店だけですが。

●最初に行ったのが、Hot Tracks というお店。

 教保文庫という大書店と同じフロアの片隅にありました。雰囲気はソウルナビのこちらのページがよくわかりますが、書店とは思えないような混み混み状態。人の間を避けながら歩く感じ。日本と違って、町中に小さな書店がないようですが、それでこういうお店に人が集中してしまうのかしらん。

●店舗の全体の広さの割には、1Rマンションほどの別室に区切られたクラシック売り場が充実。

 韓国仕様の韓国盤というのが少ないせいもあり、輸入盤(日本盤含む)と韓国盤がまぜこぜで陳列。定価の刻印された「国内盤」だけがずらりと並んでいる日本の一部のショップのような光景はないです。

●日本で買うより概ね300円から500円位安いかなという感じ。レギュラープライスが1500、1600円くらいで買えますが、現地の人の経済力からするとそれなりのお値段と思われます。

 全体的にレギュラープライス盤とミッド、ロープライス盤の価格差が少ない印象。最近出たグールドの未発表ベルリン公演のライブ The Secret Live Tapes が1万7000ウォン(約1300円)。ブルーレイの新譜がだいたい4万ウォン(約3000円)前後。

●色々物色しましたが、外国でディスク散財すると宿でパッキング時に自己嫌悪に陥るので必死に自制。日本で見つける度に微妙に高いため躊躇してた64年ザルツブルクのケルテス「魔笛」が2万9500ウォン(約2200円)だったのでこれだけ購入。

Dvd1

 こんな感じでディスク情報を書いたシールも。

Dvd2

 貼られたシールのオレンジに塗られた箇所のハングル部分を調べてみたら「白黒」という意味でした。「ステレオのカラー作品じゃないから買う人は覚悟してね。」ということでしょうけど丁寧なお仕事。表カバーが見えるように立てて陳列された店の推奨盤ディスクの選別を見れば、音楽の教養があるマネージャーが売り場を管理してると思われます。

 ポップ系の品揃えは今一つ。ディランの Witmark Demo が 例のブランダイス大学のライブ付で売られていて、へっーって感じでしたが。

●ついでに本(ハングル読めないので洋書)も買いましたが、一冊くらいだと、特に袋にも入れず、こんな感じで購入済みを示す小さな赤スタンプが押されました。本を奇麗にしておきたい人は嫌でしょうね。

Seoulbook

 外国書コーナも端の方にありましたが、日本書はそれとは別の良い場所、広いスペースで売られてました。日本関連の書籍は現地の日本人だけでなく地元の人にも需要はあるのかなと思った次第。

●もう一軒訪れたのが、コエックス(COEX)という巨大ショッピングモール内にあるエヴァン・レコードというお店。ショップの公式サイトはこちら

 日曜だったのでショッピングモール大混雑。かたやレコードショップ内は閑古鳥。経営大丈夫なんでしょうか。

Evan1

 上のHot Tracksに比べると店内は広いのですが、在庫はかなりムラがある感じ。クラシック売り場はかなり広いですが都内のタワーレコードのような品揃えにはほど遠いです。都内もショップかなり減ってますけど。値段的にはHot Tracksと同じ感じ。

●エヴァン・レコードで見つけたのが、このスコセッシの The Blues シリーズのDVD。

Bluesdvd

 値段見た瞬間。ギョッとしました。DVD7枚組で2万2000ウォン、約1600円!

 「DVD7枚にこの値段はないだろ。パイレート盤か?」と思いましたが、パイレート物によくあるディスクと違ってボックス裏面に会社名、住所あり。ただし、会社名を検索しても情報はほとんどなし。Lightning in a Bottle や、日本でも公開された「永遠のモータウン」の韓国内のディストリビューターだったようですが、もう活動してないのかも知れません。

 スコセッシの The Blues はCS、BSで放送されたものを録画しただけだったので購入。薄型ケース入りで解説書の類はなし。字幕は本編に英語と韓国語が出るだけでボーナス映像の方は字幕なし。まあ、タダみたいなこの値段ならよいか。

●両店とも、映像物が日本で買うより割安なので、音楽物のDVDやBlu-rayをソウルに行ったついでに買うのはよろしいんじゃないでしょうか。

 ポップ系の輸入CDは日本の通販店でもまとめ買いすれば充分安いのでわざわざこちらのショップのぞく必要ないかなと。 お国物の k-pop という分類もありましたが特にそこだけを強調したような展示にはなってませんでした。あくまで1ジャンルという感じ。

 エヴァン・レコード入り口横にあったクラプトンのソウル公演の告知です。

Evan2

●ということで、外国のショップをのぞく度に日本のショップの偉大さを再確認するわけですが、今回も例外でなし。日本のショップは表も裏も、在庫の豊富さは世界一。といっても一部のお店だけですが。

2011.02.21

クラプトンの2011年ソウル公演を聴く

●春の日本ツアーがないのなら行かせていただきます、という感じで見に来ました。クラプトンの韓国公演。2011年2月20日、ソウル、オリンピック・ギムナジウム(Olympic Park Gymnastics Gymnasium)。上から3番目の席でお値段12万ウォン(約9000円)。土日使える日程でありがたや。

Ec_seoul1

 会場のすみまでお客さんでびっしりの超満員。若いお客さん多し。女の子比率高し。いいねー。
 見なくても分かるようなセットリストはこちら

●とっても良いショーでした・・・なんて生やさしいもんではなく、正直こんな、スパーブなショーを味わえるとは想像してませんでした。最大の原因というか功労者は韓国のお客さん。熱いのなんの。シャイで大人しい日本のお客さんとは完全に異質、異次元。

●ショーの最初から、イントロで大拍手、ECがプロジェクターに映っては大拍手・歓声、歌い出しで大拍手・歓声、ソロ始まって大拍手・歓声、ソロの途中の唸るような箇所でも大拍手・歓声、ソロが終わって大拍手・歓声、その都度「ウォー」って感じ。これが最初から最後まで2時間続く(笑)。しかもショーが進行するにつれてどんどんパワーアップ。

 単にやみくもに騒いでるだけじゃないのなんて野暮なことは言いません。コカインなんて、お約束の Cocaine! の大合唱後に、ウォー!と地鳴りのような歓声が続くすさまじさ。何なんすかソウルの人たち。

●Old Love での出来事。ソロを終えたECに大歓声。思わずEC御大、弾き終えてから頭を深々と下げてお辞儀。あり得ない光景にあぜん。当然さらに大歓声でティムがソロに入るタイミングがつかめず、ECが手をティムの方に向けて、「次は彼のソロですからそちらを聞いてください」みたいな感じでどうにかようやくティムのソロに。

●ティムやクリスにもソロの度に大歓声。Little Queen Of Spades で、ティムがロング・トーンで盛り上げるともの凄い反応が返ってくる。思わず、両手を天に突き上げ立ち上がるティム(笑)。当然また大歓声。こりゃ演奏者はたまらんて。

 最後の一同揃ってのお辞儀後、帰りながら客席に半身を向けて両手でダブル・サムアップをしながらステージを去っていくECなのでした。そりゃそうよ。こんな客を前にすれば演奏者冥利に尽きる。またこの地に戻ってきて演奏したいと思うはず。

●会場は正円形のアリーナ。摺り鉢状になっていて、最後方最上席でも位置はそんなに高くないので、どの席で見やすそうでした。音響状態もアリーナ級の会場としては非常に良し。客の拍手・歓声がダイレクトに響き渡るのも丸。

Ec_seoul2_2

●曲毎の具体的な感想も時間があれば、またあらためて。Nobody Knows You When You're Down And Out や Wonderful Tonight なんて耳タコ曲を、こんなに喜んで喝采をあげるオーディエンスが世界中のどこにいるのか。セットがなんだかんどブツブツ言ってる塵にまみれた我が身を思わず振り返る。「セットリストだけがコンサートじゃないよ」。まったくその通り。

●EC生聞き体験は、東京、大阪、ロンドン、ニューヨーク、ドイツ数都市。どの会場のお客さんもそれぞれ特徴があって興味深いのですが、少なくとも今夜は、「あんたらが一番だよ、ソウル」、と言いたい気分。我がECショー体験中、見終えた後の幸福感では最上位リスト入り。

Ec_seoul4_3

●次回もまた来たいニダ。

2011.02.15

マイルス・デイヴィスの Bitches Brew Live (Sony Legacy)

●Sony Legacy から先週発売されたエレクトリック期のマイルス・デイヴィスのライブ盤。

Bitches Brew Live
Bitches Brew Live

●収録されているのは、一つが1969年7月5日、ニューポート・ジャズ・フェスティバル出演時のライブ。もう一つが、1年以上飛んで、翌1970年8月29日、ワイト島での有名すぎるライブ。どうしてこの2つが合わさって Bitches Brew Live なのかよくわかりませんが。
(ちなみに、かの Bitches Brew は69年8月中旬の録音)

Md_bbl_rear_3●ワイト島の演奏はDVDで見れた他、2009年に出たコロンビア・ボックス(70枚組)のオマケに付いてましたが私は後者は買ってません。本盤のブックレットの表裏を逆にすると左写真のようなワイト島仕様になります(なんだかなぁ・・・)。

●興味は初出の69年ニューポートでの演奏になるわけですが、当日出演予定のウェイン・ショーターが出演時間に遅刻するという間抜けな事情により、ロスト・クインテットからウェインの抜けたマイルスのワンホーンによるカルテット編成。

 24分程しか入ってませんがこれが当日のすべてだそうです。フェイド・インで始まりますが音は悪くなく、公式発売されてる約3週間後のアンティーブ(フランス)でのライブよりもステレオ感があり聴きやすいです。

●ショーターが抜けて4人になっても、ロスト・クインテット期特有の異常なテンションの高さは変わりがないし、ワン・ホーンだからといってマイルスのブローイング度が特に高いという印象もありません(5人揃ったアンティーブでも吹きまくってるし)。

 むしろ、アンティーブでは、ホランドのベースの自由度がかなり高まっているのに比べ、ベースがまだ大人しいという印象。その分、アンティーブの演奏で聴けるような「5つ巴」的な緊張感は薄いというか。それは、ホーンが1人いないという理由だけではないのではないかと。

 ま、もうちょっと聴き比べてみます。それにしても、凄いグループです。私的にはマイルスの全キャリア中、最強。

●面倒くさいのでワイト島は省略。タイトルはちょっとあれですが、いいもの出してくれました。
「銀盤クローズアップ」さんの情報によると、箱のおまけディスクより音質がかなりアップしてるそうです。

 なお、69年のマイルスについては、中山康樹氏の「マイルスの夏、1969」という本が出てます。
 いつもの中山節ですが、あまり脱線しておらず、関係者の証言等、資料を使いながら、69年のマイルスをクロノジカルに検証していて読み応えがあります。

マイルスの夏、1969 (扶桑社新書)
マイルスの夏、1969 (扶桑社新書)


2011.02.14

1964年のコンサート映画、T.A.M.I. Show のDVD

Tamidvd_2●T.A.M.I. Show ことTeenage Awards Music International Show のDVD。去年リージョン1で出ていたそうですが、最近リージョンオールでも発売。まだ輸入盤のみですが、2000円前後とお安いです。(リージョン制限の有る在庫も残ってると思われるので通販で買われる方はご注意を)

 本編が123分。1964年の10月28日と29日に有名なサンタ・モニカ・シヴィック・オーディトリアムで行われたテレビ番組用の公開ショーの模様を映画化したもので、お客さんは地元の無料招待の高校生だそうで、ド派手にギャーギャー騒いでます。映像はリストアが施されたそうで見やすいです。

●T.A.M.I.Showの映像を自分が初めて見たのは、多くの方同様、縦縞のシャツを着たビーチ・ボーイズの演奏シーンですが(特に Surfer Girl のシーン)、もちろんその時はT.A.M.I.Showなんてことは知らず。

 どうやってこんだけ集めたんだというくらいの出演者なわけですが。ダルな演奏する出演者がいないのはすごいです。ビーチ・ボーイズ、ストーンズあたりは普通に楽しめますが、ジェームズ・ブラウンのパフォーマンスは圧倒的。M.ゲイも素晴らしいです。ミラクルズはちょっと荒っぽい感じ。

 トリは、この年がアメリカ初上陸のストーンズですが、解説冊子によると、JBとストーンズについてはどちらがトリを務めるかで一悶着あったようです。

●ハウスバンド担当は西海岸の名手揃いの The Wrecking Crewで、音楽ディレクターはジャック・ニッチェが担当。

 バンドを連れてないマーヴィン・ゲイやシュープリームスのバックはもちろんですが、チャック・ベリーもギター1本で参戦なのでバックは彼らがやってます。自分たちのバンド同伴のミラクルズの演奏シーンでもサポートで弾いてる姿が確認できます。
 裏方なのであまり画面に映らないのですが、付属の解説冊子によると、ハル・ブレイン(dr)、トミー・テデスコ、グレン・キャンベル(g)、リオン・ラッセル(p)等々。
 ブレインのドラムはもちろん素晴らしいですが、全員登場のエンディングで格好いいギターソロを弾いてるのは誰なんでしょう。

●公式予告編はこんな感じ。

●面白いです。読み応えのある英文の解説冊子つき。

Tami_show_book_2

2011.02.13

クラプトンの2011年ツアー始まる

●とりあえず始まりました。日本を華麗にすっ飛ばして(笑)。初日は2月11日、アブダビ、UAEという一昔前ならあり得ない場所。会場のYas Arena はこんな感じで野外みたいです。

●来週のソウル公演に行く予定なのでセットリストは見ないつもりだったのですが、「変わってない」とのお声を散見したので、見てもいいや、と思い見てしまいました。

 なんだ、結構変わってるじゃないですか。この人にしては(笑)。髪の毛もすっきりしてよかったです。

Youtube で見れる Hoochie Coochie なんて、「あらら・・・」みたいな部分もありますが、私はうるさ型の聴き手とはほど遠いのでそれなり楽しめそ。Layla はお座り版ですがセミ・アコ弾いていて面白いです。

●主要メンバーは、keyがクリス・ステイントンとティム・カーモン、bassがウィリー・ウィークス、drがスティーブ・ガッド。アブダビ公演のレポートはこちら(セットリストは不完全)。

2011.02.02

ボビー・ホイットロックの自伝 A Rock'n Roll Autobiography

●ようやく出たボビー・ホイットロックの自伝です。

Bobby Whitlock: A Rock 'n' Roll Autobiography
Bobby Whitlock: A Rock 'n' Roll Autobiography

 当初、2010年の秋発売予定だったのが年末に延び、さらに2011年の春先に延びたと思ったら、あっさり1月下旬に出ました。レイラの40周年盤に微妙に合わせたのかなという気はしますが。

●巻頭の謝辞によれば、この本を書くきっかけとなったのが、アメリカの音楽掲示板 Steve Hoffman Music Forum に寄せられた質問だったそうで、「レイラ」のアルバム・カバー内側に写っている女の人は誰なのかという質問を彼の妻のココが偶然発見し、ココ経由で彼が答えたことから始まって質疑応答が膨らんでいき、そこから本を書くことになったとのこと。
 本にするよう勧めたのはマーク・ロバーティで、この本にも協力者として表記されてます。序文はクラプトン。自伝の端緒になった Steve Hoffman Music Forum の該当スレッドはこちら

 そういえば、デラニー&ボニーのアルバム On Tour with Eric Clapton がかなりオーバー・ダブされている、というボビーの種明かしがあったのも Steve Hoffman Forum で、たぶんそのネタもそこでの一連の質疑応答の中で披露された話だったのでしょう。

●当然、興味があるのは、デラニー&ボニーへの参加からドミノスでの活動について書かれた箇所なのですが、かなり興味深い話が満載です。

 特にジョージの All Things Must Pass と Layla の2アルバムについては、それぞれ All Things Must Pass Track by Track と Layla Album Song by Song という章を設けて、収録曲についてかなり興味深いエピソードやデータを語ってくれてます。特に前者は曲毎の参加ミュージシャンのデータに不明瞭なところがあったので一線級の資料になることは間違いないです。

●Layla については、例えばフェイド・インで始まるのが不思議だった Key To The Highway について、

Key To The Highway は録音中に発生したジャム・セッションの中の一つで、もともとは、Hard and Heavy というアルバムをレコーディング中のサム・ザ・シャム(Sam The Sham)がこの曲をやろうとしているのを知ったエリックが自分たちもやってみよう、ということで始めた曲だった。我々はトム・ダウドがちょうど中座した時に自然に演奏を始めてしまった。この曲が途中からしか収録されていないのは、トムが戻ってきた後だけが録音されているからで、彼は「フェーダーを上げろ!」と叫びながらスタジオに駆け戻ってきたのだった。(p96)

 スタジオ内での演奏はすべてテープを回して収録させていたというトム・ダウドにしてみれば、テープを回してないところで勝手に演奏されるというのは一大事なわけで。そりゃ叫びたくもなるでしょう。
 というか、もしダウドが戻ってこなければあの超ド級の演奏は録音されずに消えていたということですから恐ろしや・・・

 ちなみに、トム・ダウドの二股プロデュースの下、ドミノスと同時期にクライテリア・スタジオで録音していたサム・ザ・シャムの Hard and Heavy の中で、少なくとも1曲(Goin' Upstairs)はデュアン・オールマンがゲストで弾いているそうですが私は聴いたことがありません。

●あるいは、アルバム最後の曲 Thorn Tree in The Garden について、

この曲は、かつて私の住み家からいなくなってしまった子犬についての歌で、我々はレコーディングの最終日に演奏した。我々は意図的に無指向性マイクの周りを囲むように座った。木製スツールに座った私の左にエリック、ジムは彼の左、やや下がり気味のところでベルを鳴らした。デュアンは私のちょうど向かい側、やや右寄りの位置に座りドブロを弾いた。カールはジムとデュアンの間でベースを弾いた。我々は通しで2回演奏して、最適なポジションを確認し、テープを回した。ワンテイクで完了。トム・ダウドは自分の行った最高のステレオ録音だと語った。全員で1つのマイクを囲み、完璧という他なかった。(p97)

 「庭の木」って犬の話でしたか。ずっとラブ・ソングと思って聴いてましたが・・・

●関心のあるところだけの摘み読みですが、驚くのはホィットロックの記憶力のすごさ。例えば、かなり高音質のソースが残されたフィラデルフィアの Electric Factory で演奏した時の話。

 当日、ホテルに向かう途中、コンサートの告知看板が Eric Clapton and His Band になっているのに気づいたクラプトンがガソリン・スタンドで車を止めさせてロンドンに国際電話をかけ、看板から自分の名前を消さない限りショーをキャンセルするとゴネたそうで、実際、看板は書き換えられたそうです。ソールドアウトのショーだったので一瞬みんなビビったと。

 デュアンが参加したタンパ公演の録音も最近聴いたそうですが(当然ブート音源でしょう)、レイラ・セッションでのデュアンについてはかなり賞賛する一方で、ライブでのデュアンについては微妙に音楽の方向性が違うのではないか、ということを自分とグレッグ・オールマンの演奏スタイルの違いに触れながら語ってます。デュアンは数回参加したと語っているので、デュアンがタンパ以外でも弾いたのはほぼ間違いないと思われます。

 興味のない人間にとってはどうでもいいような音楽とは無関係な話もありますが、少なくともドミノスに関しては、埋められるパズルのピースについては、音源はもちろん、ヨタ話の類まですべて知りたいと思っている私のような人間にとっては、非常に興味深い話が色々出てきます。

●私的に興味深かったのが、The Domino Flat という章の中に、ロバート・スティグウッドがロンドン滞在中のドミノスのリズム隊3人のために、地下鉄 South Kensington 駅そばの 33 Thurloe Street というところにアパートを借りたという記述。グーグルマップで検索したら、なんと、South Kensington 駅舎の向かいじゃないですか。


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 ロイヤル・アルバート・ホールの最寄り駅なので、ここの前を何度か通ったことがあります。何も知らずにすたこら通り過ぎてましたが、もしまた行く機会があったら、拝みながら通ることにします。

●読んでたら、ドミノスの音源をいろいろ聴き直してみたくなり、実際聴きました。そうやって40周年盤も買わせようとするのがあちらの手なんでしょうけど(笑)。でも、この本を書いてくれたホイットロックには感謝せずにはいられません。全部読まないかも知れませんが(ごめんボビー)。

 翻訳版も出るという話も聞きましたが具体的な情報はまだ分かりません。地味なジャンルなんでどうでしょう。

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