ウェザー・リポートのDVD、Live In Germany 1971 を見る
ちょっと書き込みが中断しましたが、多忙で、ほぼ精神がシャットダウンしておりました。いただいたコメントはしっかり読ませていただいてます。お返事せずにすみませんです。m(__)m
再開。
●旧西ドイツの音楽番組 Beat Clubのために収録された1971年のスタジオ・ライブのDVD化です。
黄色い看板のショップの店内で流れてるのを見つけたときは、どうせブートまがいの半端物だろと思ったのですが、小さなモニター上で見る画質が良く、安かったので買ってみました。
家で再生してみても71年のビデオ映像としては極上。モノラルですが音も良いです。今までブートで見れたものかどうかは知りません。
●ウェザーリポートのステージ映像がまとめて見れる公式盤としては、76年モントルー(Eagle Eye Media)、78年オフェンバッハ(4枚組コンピレーションBOX Forecast:Tommorowに収録)の映像に続いて3本目(でよかったかしらん)。
なぜか3本の中で収録時期が一番古い本映像の画質が一番良いです。奇を衒ったところのない手堅いカメラワークも良し。ドイツの放送局は本当に良い仕事します。
●観客はおらず、演奏用のセットもない殺風景なスタジオで演奏してます。撮影クルーが映像に映り込んだり。ビートルズのトゥッイケナム・セッションみたいない感じ。 ただし、演奏はスパーブ。あらためてWRは驚異的なグループだったのだなと。
●ベースがミロスラフ・ヴィトゥスだった時代のWRですが、「ソロと伴奏」的な固定的な役割分担がなく、「オレが主役でお前は脇役」みたいなヒエラルキーのない集団即興演奏でしか出せない緊張感の高い演奏は素晴らしいです。
ジャコ期のウェザーは、集団即興演奏による興奮の極地が味わえるような Teen Townですら、ジャコが刻むビートが中心というか土台にでーんとあったわけで。こういう「中心点」のない演奏の面白さは、後のWRでは聴けなくなってしまいました。
役割分担がルーティン化していった隠遁前のマイルスもそうですが、こういうコレクティブな演奏スタイルが長続きしない、というのはちょっとミステリーというか興味深いです。ミケルス/クライフのオランダ・チームには引き継がれましたが(ウソ)。
●ザビヌルとヴィトゥスとの間の確執で、ザビヌル/ショーター/ヴィトゥス期のWRは終わったわけですが、「ヴィトゥス期こそ真のウェザー・リポート」という人の気持ちがよくわかる極上演奏。演奏時間は49分弱ですが、こういう緊張度の高い演奏はそのくらいの演奏時間が限界なのかなと。
全編でポリリズミックなリズムを刻み続ける Alphonse Mouzon のドラムも素晴らしいです(ヴォーカルはご愛敬ですが)。パーカッションのDom Um Romãoが机の上、床にずらりと並べた無数の打楽器も見物。木製サンダルまで叩いてますが(笑)
●得たいの知れないレーベルからのリリースですが、カバー裏にはBeat Club を放送していた Radio Bremen のロゴがちゃんと入ってるし、マスター級の高画質。冒頭にちゃんFBI Warning も出るし、どういうプロダクションなのかちょっと不思議。
今年聴いた/見たディスク中、最驚愕かも。大手のレーベルは、ヨーロッパの放送局のアーカイブにたくさん眠ってるこういうものを単品でストレートにリリースしてほしいです。ごてごてと変な抱き合わせのオマケ付デラックス・エディションなんていらんので。
Weather Report / Live In Germany 1971
1 Umbrellas
2 Orange Lady
3 Waterfall
4 Seventh Arrow
5 TH
6 Morning Lake
7 Improvised Medley Including Dr Honoris Causa
Joe Zawinul (key)
Wayne Shorter (sax)
Mirosrav Vitouš (bass)
Alphonse Mouzon (dr)
Dom Um Romão (per)
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