ティーレマン、ミュンヘン・フィルの横浜公演を聴く/ブルックナー8番
●ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の横浜公演。3月28日、みなとみらいホール。曲はブルックナーの8番で指揮は首席指揮者のクリスティアン・ティーレマン。
ティーレマンとミュンヘン・フィルのコンビを聴くのは3度目。
最初が2007年の日本公演、東京でのブルックナーの5番。
2度目が、去年の5月にロンドンに行く途中に強引に立ち寄ったウィーンで聴いたブルックナーの8番。その時の感想は、この辺に書きました。
ということで、ほぼ10ヶ月振りに自分の国、違うホールで聴く同じコンビ、しかも同じ曲の印象がどうなるのか興味津々で行ってまいりました。
●結果は、ほとんど同じ印象。当たり前か。
第1楽章はテンポゆっくりで、音楽の表情もやや穏やか。展開部後半でオーケストラが大音響で咆哮する場面でも悲劇的な高揚感というかカタスロトフ感があまりしません。スケールは大きいし、全体の見通しのよい素晴らしいバランスで鳴るんですけど。
第2楽章の主部もゴツゴツ感あまりなし。むしろ中間部でのリリカルな音楽が素晴らしい。当然、第3楽章は全曲の頂点。音のうねりの中でただ溜息。至福の二十数分間。
終楽章はテンポの速め。ガツンガツン度も十分で聴き応え満点。
ということで、ウィーン・横浜の2度とも、前半楽章、特に第1楽章に少々欲求不満感が残りましたが、ティーレマンにとっては、この曲の第1楽章というのはこういう音楽なのでしょう。まあ、全体的に力任せに押しまくるような演奏とは正反対の、慎重に慎重に頂点に向かって行き、最後は圧倒してしまうスケールのデカさみたいなものを感じましたです。
●まもなく出るこちらの4番、7番のDVDもほぼ同印象なので、ド派手な咆哮型の演奏がお好きな方には彼のブルックナーは物足りないかも知れません。自分はクラシカの放映を録画しましたが、画質・音質はずっと上でしょうから買おうかなと。あのドジョウすくいみたいな、下から振り上げる指揮姿が堪能できます。
●演奏後のお客さんの沈黙は上々。福岡公演はうるさい客がいたそうでミュンヘン・フィル公式ブログにまで書かれちゃってます。いったいブラボー馬鹿はいつ死滅するんでしょうか。
ソロ奏者を立たせるシーンではティンパニー奏者にひときわ大きな拍手。お客さんはちゃんと分かってます。ティーレマンは一般参賀1回付きの大拍手。
ティーレマンは2011年でこのオケの主席指揮者からの退任が決定しているので(次のポストはシュターツカペレ・ドレスデンの主席指揮者)、このコンビを日本で聴く機会はしばらくないかもしれません。
●日曜なので3時開演。早すぎる開演はちょっと苦手。
でも演奏は大満足。
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