クラプトン・ベック日本公演2009 埼玉初日を見る
中途半端なジャムでも聴かされるんじゃないかと、勝手に邪推し迷ってましたが、とんでもない代物でした。行って良かった。
生クラプトンは75年以来カウント不能、対する生ベックは20年ほどで3回(笑)、とヒドく偏った音楽体験ですが、感想少々。
●この日までJB、ECのフルセットを見てきた方は、第2部まで終わった時点で、コース料理の品数を減らされたような感覚を覚えたかもしれません。
ECセットでは、アンプラグド版のレイラが聴けたというちょっとした驚きがありましたが。まあ、それだけ。
そして思ったのが、両者の音楽ってずいぶん指向が違うのなあ。競演大丈夫かいな・・・
●ところがどっこい。第3部のsuperbさは何なのさ(笑)。1曲目の You Need Love でジェフのギターが鳴り始めた瞬間、聴いていて鳥肌たちましたぜ。
蓋を開けてみれば、ECバンドにJBが参加したバンド編成になり、ベック・ファンの中にはご不満もあろうかとは思いますが、私的には大正解。なぜって、これが逆だったとしたら今回の成功はなかったと思うので。
(カリウタやタルが参加したセッションを見たかった方もいると思いますが、リズムセクションをダブらせるというのは音楽的に見て微妙なわけで(特にベース)。格上のウィリーがベース、同じリズム隊所属のエイブというチョイスは筋の通った選択かなと)
JBのバンドにECが参加というのは、2007年Ronnie Scott's 映像で見れたわけですが、そこでは、ECの参加でジェフのバンドのサウンドが激変することはなかったです。ECはあくまでゲスト。歌を唄って、上手にギターを弾いてお終い。
●ところが、今回の競演。ベックの参加でECバンドのサウンドは激変。サウンドに厚みが増し、ジェフのギターが鳴り出した瞬間うねるようなグルーブが立ちこめるのを聴くと、ジェフ・ベックというギタリストはそういうことを可能にしてしまう演奏家なのだというのを痛感しました。ギター1本で空間をベック色に塗り込めてしまうというか。
かって、R.スチュアート名義で発表された People Get Ready なんて、名義とは裏腹に完全にジェフ・ベックのサウンドだったことを今更ながら思い、ふむふむと納得。おそらくクラプトンにはそういう真似はできないと思います。
とはいえ今回は相手が塗り込められて終わるような柔じゃあない。
●Here But I'm Gone は非常に強烈なエッジの効いたリズムで、昨年登場したこの曲の最高の演奏と確信。時に不安定なドイルのヴォーカルも良し。ジェフがいなかったらこんな演奏になっていないはず。
Outside Woman Blues は、2006年日本公演で登場して以来お馴染みですが、最もクリームっぽい雰囲気。ここでのジェフのソロはイッちゃってます。それにつられてECも。これは凄い。スライの I Want to Take You Higher の歌詞は原曲より削られて、バック・ボーカルが Higher! を繰り返すだけで、ほとんどインストゥルメンタル。でも演奏は素晴らしい。
とにかく第3部でのジェフは息を呑むような素晴らしさ。ECも素晴らしかったですが(もちろんバンドも)、どちらが挑発したかと聞かれれば、わたしゃ躊躇なく「ジェフ」と答えます。ECのギターの音色が妙に艶っぽく聞こえたのは私だけ?
●第3部が聴けただけでも大満足。「興業サイド主導の競演だから」などと見くびってましたが、彼らは儀礼的な手合わせしてお終い、なんて皆さんではなかったのでした。
遠いので行くかどうか迷いましたが、行って良かった。そんな遠くなかったし(笑)。
参りました。
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コメント
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Satoさん、どうもです~♪
もう、全世界の Blues & Rock ファンに、日本だけゴメン!ってな、大満足のステージでしたネ!!♪
競演楽曲のピックアップの経緯に興味は尽きませんが、シンプルな blues、R&B に乗っかって、ジェフが弾き倒しまくるのを期待していたスパには、まさに極楽モードでした♪
2夜続けて観たい衝動、こんな分厚いコラボレーションは我が国では二度と... 複雑な心境でホテルの朝飯を食べてます(爆)
お互いの音楽ルーツを確認し、燃えに燃えた、世紀の快演でありました!!!
ごちゃごちゃ考えんと、未だの方は是非行くべし!♪
投稿: スパーキーズ | 2009.02.22 07:57