カラヤン/ベルリン・フィル、最後のロンドン公演を聴く
●未発表、未CD化、ライブ音源の発掘リリースで根強いファンを持つ、英テスタメントの最新盤は、カラヤン/ベルリン・フィルの80年代後半のロンドン公演ライブ録音2枚。
特に88年録音はこのコンビの最後のロンドン公演。場所はロイヤル・フェスティバル・ホールで、シェーンベルクの「浄夜」とブラームスの1番。
Brahms - Symphony No 1; Schoenberg - Verklärte Nacht
ブラームス冒頭のティンパニー1発目の直後、ちょいルバートかかり気味の箇所ですでに、「おっ」。主部に入る瞬間のティンパニ1発目も強烈。これぞライブ。
明らかに録音用のセッションとはドライブ感の違う終楽章も興奮度高し。終演後の爆発的拍手はまるで日本(笑)。
特に感じるのが、音楽が前に前によく流れていくなあ、ということ。70年代までの演奏に比べテンポは落ちてるとはいえ音楽が若い。80歳超えてからのベームはこんな音楽はやらなかった。、
シェーンベルクは、表現濃厚でブーレーズあたりとは別世界ですが、ベルリン・フィル弦楽セクションの表現力は強烈。このコンビの「浄夜」を生で聴けたロンドンの聴衆が羨ましいです(東京公演はモーツァルトだった)。
同年、5ヶ月前の東京公演の録音もCD化されてますが、自分はまだ聴いてません。
と、なんか淡泊な感想ですが、実は85年録音の方にやられまして・・・。
●その85年のロンドン公演のライブ。場所は同じくロイヤル・フェスティバル・ホールで、ベートーヴェンの4番とR.シュトラウスの「英雄の生涯」。この「英雄の生涯」には参りました。
Beethoven - Symphony No 4; R Strauss - Ein Heldenleben
英雄のテーマで始まり、オーケストラの強奏が次から次へ怒濤のように押し寄せてくる冒頭部分の迫力の凄まじいこと。録音で聴いててもこちらの脈拍が速くなるような興奮度。これ生で聴いた人はヤバかったんじゃあないでしょうか(笑)。
ソロパートが弱音で絡み合うな部分から、オケの全奏部まで、全曲通じて、当時のベルリン・フィルの合奏力はもう異常なレベル。とてもライブ録音とは思えんです。生、CDを合わせて「英雄の生涯」の私的最高体験。
ベートーヴェンの感想は手抜き省略。テンポ遅いですが、腹の底から突き上げてくるようなトゥッティとかすごいから聴いてみましょう。
●完璧指向のカラヤンという人は、生前、ライブ録音のリリースを極端に嫌ってましたが、もしもっとライブ録音が発売されていたら、あなたの名誉はもっともっと高まったいたでございますよ、ヘルベルト。
2CD聴いて夕食連続2回食った気分。今のベルリン・フィルからはもうこういう音は聴けません。85年録音の方が分離の良い音で聴きやすいです。88年録音は若干間接音多め系の音。
●余談ですが、テスタメントは、今回から日本語解説付きの日本プレスという日本規格のCDを作り始めました。私の買ったのは国内盤ですが、上にあるUK盤の表カバーの左上に見えるBBCのロゴが国内盤の表カバーにはありません。
写真は残念ながらロンドン公演のものではなく、ベルリンのフィルハーモニーで演奏する両コンビ。
両録音の詳細はこちらが詳しいです。
●久々にテスタメント公式サイトの新作ラインナップを見たら、昔、NHK-FMでも放送されたジュリーニがベルリン・フィルの定期で振った時のブルックナー7番まである。わたしゃ、ほぼ同時期に録音されグラモフォンからリリースされたウィーン・フィルとの録音よりベルリン・フィルとの演奏の方がずっと好きで変なブートまで買いました。公式発売など期待してなかったので、もう狂喜乱舞の世界。
ジュリーニ/ベルリン・フィルのライブ録音は、ブルックナーの7、8番も含め6種、計8CDがリリース予定。全部買いだ(爆)。
テスタメント恐るべし。
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