ディランのブートレッグ・シリーズ Vol.8 デラックス・エディション届く
●ボブの Bootleg Series, Vol. 8: Tell Tale Signs, Rare and Unreleased 1989-2006 が届きました。dylan.comで購入した bobdylan.com Exclusive:Limited Deluxe Collectors Edition です。
色んな意味で溜息が出る代物なので、まず「物体」として粘着してみます。
デカさがわかるようにvol.7と重ねてみました(左)。ゴツく厚いスリップケースに2冊詰め込まれてます(右)。想像してたより小ぶり。BobDylan.com 限定のビニル・シングル盤は2冊の間に挟まってました。
2冊正面図。左がCDの収納された本体。右がThe Collected Single Sleeves というシングル盤のカヴァー集。両者の体裁は共通のハード・カバー仕様。
本体を開くとこんな感じで。
右側をぴらぴら開いていくと、こんな感じで3CDが入ってます(レーベル面が商品サンプルとは違って白)。
●CDの収納されている本体掲載の作家 Larry "Ratso" Sloman による解説は非常に興味深く、最初の方で、ロック史上初のブートレッグである、ボブの Great White Wonder (下写真の白カバー)を入手したときの体験を生々しく語ってます。
彼によると、入手したのは、69年6月27日。プロコルハルムとバーズのショーを見るため、フィルモア・イーストの前に並んでいた時で、売人が行列を行ったり来たりしながら並んでいる客にセールスしてたそうです(笑)。
値段を聞くと5ドル。その夜のフィルモアのショーの料金は3.5ドル。セールで買い集めたボブの旧譜は1.88ドル。高い・・・しかし買う。仲間ですな(笑)。
ショーのあとディスクを聴くのを待ち切れず、アパートにダッシュ。side2収録の ザ・バンドとのウッドストック音源に興奮しながら、部屋にいた仲間と何度も繰り返し聴いたそうです。生々しい歴史的証言。
しかし、Great White Wonder って何とも詩的で美しいタイトルです。
他に、後に出たいくつかのブートについても触れられています。Thin Wild Mercury Music の写真が載ってたので、現物を重ねてみました(何やってんだか・・・)。
●これが物議を醸した?The Collected Single Sleeves の表と裏。画集ですわな、こりゃ。
The Collected Single Sleeves の中身。
左は One too many mornings 収録のUK盤。絵下手すぎでしょ(笑)。右は It ain't me, babe (74年ライブ)のドイツ盤シングル。
右に使われてる写真の撮影者は、今年、写真集 Real Moments を出したバリー・ファインシュタイン。私の好きな写真(74年ツアー)ですが、Real Moments にはこの写真は収録されてませんでした。
こちらは、BobDylan.com販売限定の、45回転のボーナス・シングル。
あと、最初の5000オーダー限定という、おまけのポスター。
●以上のように、Deluxe Edition 自体は非常に美しい仕上がりで、まあ、よくここまで作ったなと呆れます。
値段にうんざりしながら結局買ったわけですが、手にして感じる不思議な恍惚感。
「ベトナム戦争に賛成してるジョン・ウェインにはうんざりするが、ジョン・ウェインの映画に感激してしまう」という不思議な?人間心理を語っていた高名な映画好きの文学者がいらっしゃいましたが。たぶん同じような心理状態です。ほんとかい・・・
ということで、お安くはないブツですが、過ぎた決済はすぐ忘れる特技をお持ちの変態コレクターの方はお買いになってもよろしいかと。
そのうち、通常の2CD版も買うと思います。トホホ。
●曲はこれから聴きます。収録曲の内訳等は大まかですがこちらに書きました。
以上、未確認回転物体3CD観察ルポ。
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ボブ・ディランの『Tell Tale Signs』を検索していたら辿り着きました。今後とも宜しくお願い致します。
さて、アウトテイク集とは思えないほどの出来でしたね。スタジオ録音でもライヴでもいきいきしたディランの様子が窺えました。
今回は歌詞カードが付いておりません。聞き取れるほどの英語力があればと思うのですが、どのみちディランの歌詞は難解なので生半可な読解力ではとても理解できません。輸入盤だと当然のことながら対訳がないので、2枚組の発売しかないにも関わらず国内盤も参考のために買ってしまいそうです。
投稿: Fineline | 2008.10.18 15:24
Finelineさん、
こちらこそ、よろしくお願いします。
聴く前は、この時期のボブのアウトテイクをどれくらい楽しめるか不安でしたが、蓋を開けてみたら意外や意外の二重丸。ずっと聴いてます。
値段も含めて(笑)賛否両論かと思いますが、同時期の「表アルバム」はそれほど好きではないのに予想外に楽しめた、と言われてる方が少なくないみたいです。
個人的には、この時期のボブを見くびっていたと少し反省してます。
選曲については、各ディスク独立したコンピレーション・アルバムとして楽しめるという印象を受けました。これならdisc1のみのバージョンがあるのも納得です。
私も歌詞はどうにかしたいです(苦笑)。邦盤訳詞担当の中川氏の訳は少し言葉が平易すぎる気がして、個人的にはちょっと苦手です。英語詩ならWeb上で見つかると思うので時間をかけてゆっくりという感じですかねえ・・・
でも日本盤も買ってしまいそうです。
今月のレコード・コレクター誌にvol.8関連のミニ特集があり、3枚分の収録曲解説も掲載されていてけっこう参考になりました。
投稿: Sato | 2008.10.19 16:57
再びお邪魔します。
中川五郎さんの訳は私も苦手です。苦労されているのは分かるのですが、何か釈然としないものが残ります。結局はミュージシャン中川五郎の世界でしかないのでしょうか。
また、過去に担当された片桐ユズル先生の訳は詩人片桐ユズルの世界であり、三浦久先生の訳は大学教授だった三浦久の世界なのかもしれません。
本当は自分で訳すことが出来れば良いんですけどね。たびたびノーベル賞候補にノミネートされるディランの詩はネイティヴにも難解のようですし、いまさら英語の勉強をしても無理でしょうねぇ。
投稿: Fineline | 2008.10.19 18:25
私は片桐さんの訳が一番しっくりくるのですが、単なる慣れかもしれません。
翻訳自体一つの表現行為で、10人がやれば10通りあるという感じなので、いろいろな先生方の訳を参考にしながら自分なりのイメージを膨らませるというのがよろしいんでしょうね。
競馬の予想みたいですが(笑)。
投稿: Sato | 2008.10.22 17:23