中山康樹著「マイルスを聴け!8」
●好評のマイルス・デイヴィス・ディスクガイドのバージョン8です。文庫本の厚さとしてはそろそろ限界か(笑)。
内容の一部は、アサヒ・コムの有料サイト、アサヒ・コム プレミアムに掲載されたものが、転載されているそうです。
●写真(左)は初回文庫版と並べたもの。488頁→1153頁に膨らみました。それだけ聴ける音源が増えたということなので、素直に喜んでよいんでしょう。膨張分はほとんどブートですが(笑)。
写真(右)は、この種のディスクガイドとしては、画期的だった、松本常男著「ビートルズ海賊盤辞典」(講談社文庫)と並べたもの。「ビートルズ」は、文庫本としては当時(昭和60年)破格のブ厚さでしたが、「マイ聴け!8」はそれすら追い越しました。
ちなみに、ビートルズの方は2400円で、25年後の「マイ聴け!8」も2400円(本体2286円+税)。「ビートルズ海賊盤辞典」が厚さだけでなく、値段も破格だったことがおわかりになると思います。
発売当時「文庫本が2400円って何じゃ~」と思いつつ買いました(笑)。まあ内容が素晴らしかったので。
●マイルス・ブートはそれほど買っておらず、自分の食指が伸びるのはウェイン、ハービー、ロン、トニーとの第2期クインテット~隠遁前の音源ですが、大変便利で助かります。読み物としても面白すぎます。
けして万人受けするような「客観的な」視点で書かれた本ではないですが、中山氏のぶれない視点が素晴らしいですね。
一箇所引用。
「マイルスのような世界遺産の場合、残された音源は、どういうかたちにせよ、すべて出す必要がある。それを聴く・聴かないは別問題。さらにブートレッグということに関していえば、文字通りミソもクソも出そうという意思がなければ、また実際に出さなければ、ダイアモンドが出てくる可能性もそれだけ減少する。大量に出す。その中に宝石がある、すなわちブートとはそのようなものであり、最良最上最強のブツばかり出つづけるということは、ありえない」(490頁)
ここまで言い切られると清々しいです(笑)。
さて、今後どこまで文庫化に耐えられるでしょうか。分冊化の日も近い?(笑)
« Layla and Other Assorted Love Songs のSACDハイブリッド盤 | トップページ | クラプトン、2009年3月のオセアニア・ツアーが発表 »
「本」カテゴリの記事
- グレッグ・オールマン自伝、My Cross to Bear が発売(2012.05.02)
- ボビー・ホイットロックの自伝 A Rock'n Roll Autobiography(2011.02.02)
- 『現代思想』臨時増刊号「総特集=ボブ・ディラン」(青土社)(2010.04.18)
「JAZZ」カテゴリの記事
- マイルス・デイヴィスのロスト・クインテット期のライブ音源、 Live In Europe 1969 が公式リリース(2012.12.24)
- マイルス・デイヴィスの Bitches Brew Live (Sony Legacy)(2011.02.15)
- ウェザー・リポートのDVD、Live In Germany 1971 を見る(2010.07.10)
- マッコイ・タイナー / Guitars(2008.11.18)
- 中山康樹著「マイルスを聴け!8」(2008.10.09)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 中山康樹著「マイルスを聴け!8」:
» ★「マイルスを聴け!Version.8」(双葉社) [廃盤日記(増補改訂版)]
少し遅くなりましたが、マイルス17回目の命日である2008年9月28日に、中山康樹先生のライフワークである 『マイルスを聴け!』 シリーズの最新刊、VOL.8が発売されましたっ!!
今回は驚異の1172ページ(!)、掲載作品数は全562アルバムと前回よりも89枚増えている計算になります。店頭で手にもっただけでもズッシリと重量感があります。文庫本としてはこれ以上増やしようがないぐらい、ページ数の限界に近づきつつある状態だと思いますが、まだまだイケそうですね(苦笑)。HMVにて税込価格2400円で... [続きを読む]
« Layla and Other Assorted Love Songs のSACDハイブリッド盤 | トップページ | クラプトン、2009年3月のオセアニア・ツアーが発表 »
これ、行きつけの書店の音楽コーナーで、なぜかいつも目に入る一冊です。やはり、その厚さが目を引いているのでしょう。しかし、手に取ったことはありません。
マイルス自体は、マクラフリンが参加している時期のみ、持っています。まだまだ、たまーーに聴く、程度のものですが。
なるほど、レビューを読む限りは面白そうな本です。旧版ですが、図書館から借りてみようと思います。
少しでも本格的に聴き始めたら、ハマる可能性を十分に秘めている。私の中では、マイルスはそんな状態にあります。つまりは、また散財ですが…。
投稿: Catpochi | 2008.10.09 23:58
Catpochiさん
>これ、行きつけの書店の音楽コーナーで、なぜかいつも目に入る一冊です。やはり、その厚さが目を引いているのでしょう。しかし、手に取ったことはありません。
目立ちますね。平積みで3冊くらいが限界。4冊積むと崩れます(笑)。
旧版でも十分楽しめると思いますんで、お暇なときにでも是非。
版が新しいほど、漫談調が目立つようになってますけど。
>少しでも本格的に聴き始めたら、ハマる可能性を十分に秘めている。私の中では、マイルスはそんな状態にあります。つまりは、また散財ですが…。
まあ、音楽にはまること自体、苦行みたいなものなので。
特に財布・・・
投稿: Sato | 2008.10.10 15:08