ピーター・バラカン著/「魂(ソウル)のゆくえ」(改訂版)
●平成元年に新潮文庫から初版が出版された、ピーター・バラカン氏の名著「魂(ソウル)のゆくえ」の改訂版がアルテスパブリッシング社から出ました。
4月に再発されたのでもはや旧聞かもしれませんが、散々お世話になった本なので、ちょこっと書きます。
●当時440円だった文庫本(左写真。読み過ぎて表紙破けました(笑))は、ソフトカバーの1890円になりましたが、喜んで財布開きました。自分が買ったのは7月頃でしたがすでに3刷になってました。
旧版との異同について、「新版の読者のみなさんへ」から、そのまま引用しますと、
(旧版の)原稿にコンピューターで手を入れながら少しずつ形を整えていきました。内容を大きく変えたというよりも、あくまで雰囲気やニュアンスの部分です。(略)七〇年代に関しては少しだけ情報を加えましたが、むしろ気がかりなのは八〇年代以降のほうでした。八九年の発行当時、日本の洋楽界を最も賑わしていたウィットニー・ヒューストンとマイケル・ジャクソンについては原本ではずいぶん字数を費やしていましたが、今や二人とも過去の人という印象が強いのでその部分は削り、代わりに九〇年代以降段々勢いづいてきた「ネオ・ソウル」に関する動きを追加することにしました。
ということです。
「ヒップ・ホップの時代」という章も加わりましたが、ピーターさん自身の筆は、この音楽についてはあまりご熱心ではありません(笑)。
●CD、DVD、本のガイドもすこぶる助かります。旧版発売時には、邦訳が存在せず、英語版のみが紹介されていた、ピーター・グラルニックの SWEET SOUL MUSIC (驚異的な本です)も今では邦訳で読めるという素晴らしい時代になりました。当然、新版では、邦訳本が紹介されてます(著者は英語版で読んだ、という断り書き付きですが)
スウィート・ソウル・ミュージック―リズム・アンド・ブルースと南部の自由への夢
もし、注文をつけさせていただくとすると、紹介されている個々のエピソードについては、 SWEET SOUL MUSIC をはじめ出典となった本があるわけで、出来れば文献名が明記されているとよかったかなと。
●私なんぞが言うまでもなく、ブラック・ミュージックに興味を持つ人(特に持ち始めた人)には、格好のガイドであるわけですが、そういう実際的な価値を超えて、好きなことを美しく語れて、読み手を喜びにひたらせことができるというのは素晴らしいなあと、ページをめくりながら思うのでありました。
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