ウィーン国立歌劇場で、ティーレマンの「マイスタージンガー」を聴く
話題が飛びまくって恐縮です。先日のウィーン訪問時ネタを(たぶん最後)。
●お約束で、ウィーン国立歌劇場に行ってみました。1月16日の上演で、演目はワーグナーの「ニュルンベルグのマイスタージンガー」。指揮はクリスティアン・ティーレマン。興味を惹く上演があってラッキーでした。
ワーグナーの舞台物を生で見るのは初なのでツベコベ言うのもなんですが、以下手抜きルポ。
●ウィーン国立歌劇場の外観は壮麗そのものですが、内部は意外と地味でした。
特に通路は薄暗く、壁も灰色がかってて、ちょっと古めかしい感じです(第2次大戦の空爆でほぼ破壊され55年に再建された際、客席内装、天井は財政事情から簡素仕様になったそうです)。
ただし、破壊を免れたエントランスとそこから2階に上がる階段部分は例外。圧倒されました。
●ティーレマンの指揮は、去年東京で、ミュンヘン・フィルとのブルックナーの5番を聴いた時ほど、圧倒的な印象は受けませんでした。まあ、マイスタージンガー聴き込んでるわけではないので何ともいえませんが。
当地でのティーレマンの人気は上々で、最初ピットに登場時に早くもブラヴォー。2幕登場時にブラヴォー増加、3幕登場時にはブラヴォーさらに増加、カーテンコールでさらに・・・という感じ。
ミーハー人気のある歌手はいませんでしたが、ベックメッサー役の Adrian ErÖd の性格役者振りが素晴らしく、カーテンコールでも一番ブラヴォーを受けてました。
●意外だったのが、オケ・ピットから聞こえるオーケストラの音があまり良くなかったこと。
1階平戸間の真ん中よりやや後方で聞いてましたが、オケの全奏時のバランスがあまり良くないです。聴いていて、東京文化会館のピットから聞こえる音もまんざらではないんじゃないかと思ったくらいで(笑)。
ちょっと調べてみたら、平戸間よりも上の方で聴いた方が音的には良いみたいです。
こちらは指揮台。
●演出はオットー・シェンクのオーソドックスなもので、そもそもワーグナー通どころかオペラ通とはほど遠い私にはありがたかったです。
行きの飛行機の中で、メスト指揮チューリッヒ歌劇のDVD(テレビ放送を録画したやつ)を見てたのですが、3幕1場なんて、舞台中央に本が山積みされ、ヴァン・ダム演じるハンス・ザックスも苦悩する詩人、って感じですが、本公演はちゃんと靴屋さんベース(笑)の演出。
3幕の歌合戦の場面は、写真でみるよりはるかに明るく、祝祭感に満ち満ちていて、正直幕が開いた瞬間クラッときました。
シェンク演出のものはレヴァイン・MET盤がDVDで出てますが、国内盤は怒りがわく程値段が高いので見てません。私の見たウィーン版はユルゲン・ローゼの舞台装置ですが、MET版とどのくらい違うかはわかりません。まあ、いつか輸入盤で見ます。
●椅子の背もたれの後ろにある横棒に横長の液晶画面が付いていて、そこに字幕が出ます(当夜は独・英)。こんな感じ。下の赤いボタンでon/off、言語の切り替えができます。
自分は英語でちらちら見てましたが、かなりありがたかったです。隣席の地元のマダムもちょくちょく目を落としてました。視野角が狭い液晶で、他の席の画面が視界に入って邪魔ということもないです。
●余談ですが、ベルリン、ウィーンの有名ホール、劇場だと、さすがに音楽ファンの聖地みたいなもんなので、開演前、休憩中、終演後にバシバシとフラッシュが焚かれてます。さすがに演奏中にフラッシュ焚く馬鹿はまずいませんが、この日は、3幕の歌合戦の場面でフラッシュ焚いた馬鹿がいました。やめなさいっつうの・・・・
撮影についての歌劇場当局の見解は、プログラムによると「上演中の舞台を撮影することは、著作権法により例外無く禁止されています。上演の前後や休憩時間にプライベートな目的で写真撮影することは差し支えありません」(ここだけ日本語でも書かれてます)ということです。
上は、こっそり撮ったカーテンコール(ごめんなさい)。
●平日5時開演で、カーテンコールを最後まで見て、劇場の外に出たら10時45分頃。ちと疲れました。
地下鉄のプラットホームや駅構内で、左の公演ポスターをよく見かけました。まあ、ウィーンということで。
おしまい。
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