リヴォン・ヘルム、Dirt Farmer を聴く
●少し前に出たリヴォン・ヘルムの最新作。ようやくまったり気分になれた年末に買ってみました。レーベルは名門ヴァンガード。
プロデュースは、ディランの Never Endling Tour でしばらく主にスティール・ギターを弾いていたラリー・キャンベルとリヴォンの娘エイミー・ヘルム。 もちろんラリーはいろんな楽器を弾いて参加してます。
●アルバムは、ドの付くようなストレートなカントリー・アルバムで、ザ・バンド時代はもちろん、RCO All Stars のようなサウンドではまったくありませんが、聴いていて Acadian Driftwood の雰囲気がよぎる瞬間もあります。曲はトラッド(13曲中5曲)から、新作まで様々。アルバムは彼の両親に捧げられてます。
喉頭ガンを患ったと聞いたときは、あの素晴らしい声がもう聞けないのかと感傷的になりましたが、治療が効を奏し、重病の影響を感じさせないような声で歌ってます。
ただ、あまりにもベタなカントリー過ぎて、自分の中でヘビー・ローテーションとなるか正直微妙なところです。
ちなみに、2007年度グラミー賞の Best Traditional Folk Album にノミネートされてます。日本でも毎年 WOWOW がTV中継してるので、もし受賞するようなことがあれば(受賞しなくても)、公の場でリヴォンの姿が拝めるかもしれません。
●Dear Friends という書き出しで始まる長文の解説というかメッセージをリヴォン自身が書いており、病のこと、スタジオの火災のこと、リック・ダンコの死のことなどに触れていて、彼の人柄(勝手な想像ですが)がにじみ出てくるような文章です。5曲目の The Girl I Left Behind という曲は、教会で音楽活動もしていた彼の両親が最初に教えてくれた曲の1つだそうです。
●現在のリヴォンについて調べてみたところ、ウッドストックにある、小さなスタジオ(火災で焼失後再建)で The Midnight Rambles というライブを続けているようです。
Ramble Session がらみのDVDも出てますが自分は未見です。去年、新星堂なんば店に行ったときに、ディスカウント価格で売ってるのを見て迷いましたが買っておくべきでしたね・・・
なお、Midnight Ramble とは、公共の場での人種分離が合法(Jim Crow laws)だった時代の、黒人のための夜通し映画上映会のことだそうです。
今年の3月には、NYの Beacon で2日間のショーをやり、Dr.ジョン、オールマンのウォーレン・ヘインズ、ガース・ハドソンがステージにも登場したそうで。うーん、ABBの Beacon Run 目当てに行ってれば見れたわけですな・・・残念(笑)。
●「土まみれの農夫」というタイトルが、ザ・バンド後、荒波を乗り越えてきた彼の現在の心境を物語ってるような気がしますが、どうでしょう。今年のCGFで数万人の聴衆に囲まれて、すかしたスピーチと冴えてるとは言い難いギターソロを披露したロビー・ロバートソンとは対照的な人生ではあります。
別にロビーが嫌いなわけじゃないですよ、私は(笑)。
下は、ブックレット掲載の写真。いい顔してます。
リヴォン・ヘルム、67才。公式サイトはこちら。
娘の Amy については、一緒に Evangeline をデュエットしてる映像がここで見れます。
(追記)
辞書を引いてみたら、dirt farmer とは、「自分で耕作に従事する農民」のことだそうです。
(追々記)
Dirt Farmer はグラミー賞を受賞しました。
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