R.Cooder、My Name Is Buddy を聴く
しばらくCDほとんど買ってませんでしたが、こちらは買ってました。
発売から2ヶ月近くたっちゃいましたがお気に入りなので書きます。発売前に書いたエントリーはこちら。
国内盤買う予定でしたが輸入盤にしました。国内盤は対訳が充実してるそうなので、英文読むのが面倒な人はちょっと高いですけど国内盤がよろしいかと。
各曲に、シニカルなユーモアたっぷりな Vincent Valdez のイラストの添えられたミニ・ストーリ付き絵本仕立て。全曲歌詞付き。
お話は、Buddy Red Cat(ネコ)、Lefty Mouse(ネズミ)、Tom Toad先生(カエル)3匹のアメリカ珍道中。時代は大恐慌直後あたりのアメリカ。絵本を開くと、いきなり、マルクス「資本論」のイラスト。でも沖縄風音楽なども出てきます(笑)。
●最初はカントリー色が強く、ややとまどいましたが、聴き終えたらバンザイでした。聴けば聴くほど気に入るばかり。フラコの美しいアコーディオンもたっぷり聴けます。
ボビー・キングとテリー・エバンスのソウルフルな歌がかっこいい Sundown Town って曲があり、「Sundown Town って何だ?」と調べみたら、実は「黒人居住禁止、夜間通行不可」というアメリカ現代史の暗部そのものの街のことなんですねえ。
他に登場するのも、警察に睨まれる炭鉱労働者、疲れ切ったトラック運転手、不信心な飲んだくれ等々、まあ今で言う格差社会?ってやつの底辺にいる人たちですが、シリアスな告発調とはまったく無縁。パワーとユーモアに満ち満ちてて、ライの芝居っ気たっぷりの歌が楽しめます。
途中に、「ハンク・ウィリアムスはあんたらには大スターだろうけど、オレのダチで、ヤツが車の中で歌うのを聴いたんだぜ」みたいな、嘘だかホントだか分からない脱力系?のおかしな Hank Williams なんて歌があったり、超有名スタンダード・ジャズ・ソングが丸々長々と引用された(でも、クレジットは All songs written by Ry Cooder(笑))Green Dog なんてのがあったり。
とにかく面白いす。
●一番好きなのが終曲で、トラッド曲(知りませんでした)にライが新しい詩を付けた There's a Brightside Somewhere.
詩の内容はタイトルそのまんまですが、冒頭のV.D.パークスのリリカルなピアノで軽く卒倒、それまでたっぷり聴けたフラコのアコーディオンはここでも美しく、そこへやや控えめだったライのスライドがここぞとばかりにギュイーン・・・・これは泣けます。
「これこそが、ホントのライだ」なんて言いません。ラテン路線も含めて全部「ホントのライ」なんでしょう。あとは聴き手がついて行けるかどうか。
でも、今度のは大好き。お勧め。
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